■■峰越の館〜民宿「焼畑」
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山の幸をふんだんに用いた品々が並ぶ夕食の中でソバを使ったものは「ソマ切り」。湯ごねし短く幅広く切ったそば切りを昆布や干しシイタケなどで取った温かいダシ汁に入れたもので、大切な来客があったときに出されるものとされている。お代り自由で食べたい気だけはあるのだが、他にも料理にも箸が移り、お代りは1回だけ。その後、椎葉民謡の大会で何回も日本一となった方の熱唱を拝聴する。
■■焼畑〜共同作業体験場
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続いて焼畑のすぐ下にある共同作業体験場で石臼でのソバ碾き体験とワクド汁作りをする予定だったが、天気が良いのでワクド汁作りは地元の皆様にお願いし、熊本県境までの見物となった。ワクド汁とは、干しシイタケやイリコでダシを取った味噌汁に野菜を入れ、そばがきを入れて煮たものであるが、そばがきが椎葉ではワクドと呼ぶ蛙に似ているのでその名がついている。
ワクド汁は昼食にアワを入れて炊いたおにぎりと一緒に出されたが、素朴さの中にも蕎麦の甘さが際立ち、加藤晴之氏が絶賛した焼畑の蕎麦の素晴らしさの一面を理解出来たような気がした。
2日目は旅館鶴富屋敷泊りとなる。夕食の会場は重要文化財である鶴富屋敷の座敷。膳には大根おろしをのせた細切りの冷やかけそばが並んでいる。椎葉産と隣町の美郷町産の粉とを混ぜ外二で打ったものとのこと。量が寂しいので、もりそばを追加オーダー。そばの香り、風味は良く、汁はほとんど浸けず、一気に食べてしまった。食後、椎葉神楽が演じられた。重要文化財の建物の下で演じられる重要無形文化財の神楽舞の組み合わせ。このような恐れ多い機会は再び得ることがあろうかと思いつつ、間近で見物させて貰った。
また、鶴富屋敷には、水唐臼・唐臼・搗き臼・石臼と様々な臼が展示されており、そちらにも興味を惹かれた。
帰京してからこのツアーの目的を私なりにまとめたところ次の3つにまとまった。
● 秘境といわれた椎葉の焼畑の蕎麦を実感すること(聴く、見る、食べる)
● 秘境と言われた地でも限界集落とならないよう努力している人がいることを知ること
● 椎葉の自然、民俗を楽しむこと
ということで、いずれをも堪能出来た旅であった。実行関係者の皆様に心より感謝する次第。
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