■■蕎麦切りの色は、
■■使うソバ粉の色
「蕎麦切りの色」と言われて思い浮かべるのは、薄茶色でしょうか。新ソバの頃の薄緑色も、蕎麦好きを惹きつけてやまない魅力的な色だと思います。
実際に、「蕎麦切り(=ソバの麺。ここでは変わり蕎麦は含みません。)の色」は、基本的には使うソバ粉の色です。麺の色からその粉を想像し、ソバの実のどこの部分が使われているのか、外皮や甘皮は入っているのか、挽き方はどんなか、時には打った後の保管状況や時間(熟成という類にする場合も)によってオレンジ色に傾いたりもするので、手繰る前に微妙な麺の色を観察し、予め風味や状態を思い描くことも、蕎麦好きにとっては楽しい習慣となっているのではないでしょうか。
日穀製粉の以下のページを見つけました。
〜〜季刊 信州そばの国だより 〜〜〜〜〜
かつては「そば切り色」という色名が使われていたそうです。この言葉はいくつかの詩にも登場しています。
弁慶がそば切色は生まれつき 玉水
夕山やそば切色のはつ時雨 一茶
仙人もそば切りいろに落ちかねる 番風
この頃の「そば切色」とは、おそらく田舎そばのような色だったと思われます。現在では製粉技術の進歩と食の多様化からそば切りの色も白いものから黒いものまで多種多様になっています。今回は「そば切りの色」に注目します。
…・・・
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〜線内 太字は、日穀製粉そば学入門 その13 蕎麦切りの色 より、抜粋させてもらいました。この続きを読みたい方は、日穀製粉当該ページへどうぞ。つまり
日穀製粉によれば、かつては「そば切り色」という色名が使われていて、田舎そばのような色だったかもしれないとのことですが、私が思うに今現在では、それぞれが、それぞれに好きな「蕎麦切りの色」をイメージしてしまうし……もはや基準となるようなものが、無いのではないかと漠然と感じていたのです。私勝手に、ベースは淡やかなベージュで、薄緑がかった粗いソバ片がきらきらと混じる色を想像して思わずニンマリしたりもして。
■■蕎麦切色は、色名として残った
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ところがある日、時々お世話になっている呉服屋の長老店員さん?番頭さん?から、突然この言葉が発せられました。彼は今でも、ごく当たり前のこととして、普通に使っていたのです。
大まかに再現すれば、
番頭さん:探しておられた縮緬がいくつか入りましたよ。
どんなお色にしましょうかね。
「淡紅藤」か「淡藤色」など、いかがでしょう。
「蕎麦切色」は少し渋くなり過ぎますかね。
お顔映りを見られては、いかがでしょうか。
笑門来福:えっ?今なんて?
蕎麦切色?!と仰いましたか?
ツルツルっと手繰る、あのソバ? ですね?
番頭さん:えぇ、そうですよ。
どうかしましたか?
そうなんです。和の世界では、現在も日本の伝統色を和色名で表す方々が残っているのですね。私が無知だっただけで、「蕎麦切色」も今の言葉としてキチンと残っていました。
こんな遣り取りがあって…単細胞の私は、唯 色名に惹かれ、「蕎麦切色」の色無地を仕立ててしまったことは、読んでくださっている方々の想像の通りかもしれません。でも、もぅ蕎麦好きとして本望で、とても嬉しく思います。
そしてこの度、仕立てあがってきた私の「蕎麦切色」色無地は、コレ ♪
こんな風に八掛も蕎麦切色にしました。番頭さんの言葉通り少し渋すぎたでしょか…本人も地味目なので、この位でも丁度よいと思います…とても気に入りました。
帯を明るく晴れやかな物にして、何かで蕎麦に係われる日におろしたいと思います。
写真では光の具合で写った色が少し違うかもしれません。それに、それぞれのモニターの加減でどんな色に再現されるか…難しいですね。
ということで、PCで再現する日本の伝統色を和色名蕎麦切色(#d4dcd6)はこの色です。
どうでしょう。これが「蕎麦切色」だそうです。皆さまの「蕎麦切りの色」のイメージと合いましたか?