2008年05月23日

駒形「蕎上人」

蕎上人 (4).jpg蕎上人盛り塩.jpg

数日前は初夏のような陽気の中、半袖で過ごしたのだが、この日は一変。台風スカートの裾が強い北風にはためき、スプリングコートの襟元を押さえていても、まだ寒い。テレビでは3月の気温と言う。

昼食は家で済ませたものの、雨交じりの冷たい風の中で川縁を歩くうち、すっかり冷えて何か温かいものが欲しくなった。そこで、蕎麦前好きの私が、日頃なかなか辿り着けない蕎麦屋の甘味、「ぜんざい」¥900-を頂くことを思い立つ。

台風台風のような強風の中、嬉しいことに営業中

 
暖簾をくぐると、そこは別世界。当たり前のことに、店内に強風は吹いていない。和んだ空気、花番さんの笑顔が温かい。避難所に逃げ込んだようだ。ほぉ〜〜っ、と一息。そしてすぐに出された熱いお茶を、両手で包み込むようにして一口ハートたち(複数ハート)ほぉ〜〜っ。 
蕎上人ぜんざい1.jpg
■甘味
「ぜんざい」の塗りの蓋を開けると、ふわりと湯気がたった。真っ白な餅の入った甘い甘い「ぜんざい」を、女子高校生・乙女のおやつとするならば、目前の蕎上人の「ぜんざい」の仕立ては、海原雄山風?和服の紳士が、箸を運ぶに相応しい風情、大人の甘味と言えるのかもしれない。椀中の甘みを抑えもったりと煮込んだ粒あんと蕎麦掻きの色のコントラストも、渋い。蕎麦掻きは、お玉で半球状に形成してあるようで、表面滑らか。もっちりとした歯ごたえがあり、きめ細やかである。それに抹茶(御薄)と口直しの茎山葵の醤油漬けがついた。もぅ〜ほんの少し値段を下げてくれれば、文句の付けようはない。
 

■余談
この日は、「蕎上人」店長さんから、かえしの作り方をお聞きすることができた。

恥ずかしながら私は自分で打つ蕎麦が、いつまでも半人前で、ちっとも上達しないのに、いろいろとレシピを知りたがる。すっかり耳年増だ。嬉しいことに「蕎上人」に限らず多くの蕎麦職人さんは、自らのレシピ公開にあまり躊躇がない。むしろ蕎麦談義を喜んで受けてくださり、丁寧に解説してくださる方々も多い。シンプルな食材を技で仕上げるので、食材や配合を教えても、必ずしも味の再現ができるとも限らない…そんな事情があるからなのか、もともと気前の良い人が蕎麦職人になるのか。
 

るんるん包丁一本、さらしに巻いてぇ〜るんるんではないが、江戸時代には、蕎麦職人専門の仕事手配師がいて、職人は店を渡り歩くことも多かったらしい。「切べら23本」の言葉もあるように、細切りを好んだ江戸では、より細く美しく喉ごし良く蕎麦を仕立てられる腕前の職人が高給であった。現在でも修業先を何件か移ることもあり、食べ歩きや職人同士の交流もあることだし、秘密にしても仕方がないと感じているか?“腕前が勝負”との自負が懐を大きくしているのではと想像している。
 

■品書き
せいろ\1000.-、田舎そば¥1000.-、けし切り¥1300.-、ゆず切り¥1300.-、茶切り¥1300.-、すずしろ¥1300.-、そばとろ¥1500.-、鴨せいろ¥1900.-、冷やし鴨南そば¥1900.-、五色そば¥1800.-、冬の鍋\3800.-、甘味(そばがき、しる粉、甘味そば、ぜんざい)各\900.- 


■住所台東区駒形2-7-3■電話03-3841-7856■営業時間11:3014:00 17:0020:30(売り切れ次第閉店)■定休日月・第2・第4■アクセス都営浅草線浅草駅A2出口より徒歩5

 次項有駒形「蕎上人」2008年3月15日の記事を読む
posted by 笑門来福 at 06:35| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 文京・墨田・台東区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初コメントさせて頂きます。
TBとご訪問をありがとうございます。
数ある浅草の蕎麦屋のなかでも
「蕎上人」は町の喧噪を逃れてゆっくり出来るのも魅力です。
しかもなんというタイミング♪お彼岸最終日の本日はちょうど祖母の墓参に母と田原町の菩提寺に参りますので、久々に訪れるのには最高です。私の行動を予測されいるようでうれしいようなこわいような…笑。これからもよろしくお願いいたします。
Posted by あんころりん at 2008年09月25日 09:00
あんころりんさま

コメント&TB有難うございます。
今日お墓参りですか、お彼岸ですものね。気を付けて行ってらしてください。
なんだかちょっと肌寒いので、「ぜんざい」の美味しさが一層嬉しいものとなるような…。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by 笑門来福 at 2008年09月25日 09:33
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