
蕎麦についてお話しを伺うことも、初めて訪れた客にとっては、憚れる気配だ。或いは通いつめれば、かわってくるのかもしれないのだがしかし、「小学生未満お断り」の張り紙もある通り、あまり雑多な客を沢山とらないで、客層を絞って選りすぐりの常連さんを迎え入れたいという狙いがあるようだ。そもそもお試し気分のお客自体を歓迎しない様子がジワリと感じられ、メモをとることもできなかった。品書きやその正確な価格は、酔っ払いには到底覚えきれるものでもなかったが、銀座という場所にしては静かで総じて価格が安く、お蕎麦もまずまずであったので、データ整理のつもりであっさりと書かせていただくことにした。
※お蕎麦などを写真で確認したい方は、All aboutグルメやtabelog.comをみると一通りの写真が掲載されている。
さてここ銀座「湯津上屋」は、一度行ってみたいなと気になっていた店だった。銀座タワーの直ぐ裏なのだが、細い細い路地の中にあって、ひっそりと目立たないように・・・常連さんだけを相手にしようと隠れているのかもしれない。昭和スタイルの小さく落ち着いた構えに、魅了される人の気持ちもわかる。
藍色の短い暖簾をくぐると、直ぐ左手に麺打ち室が設えてあるが戸を閉ざしてあり、店内からは中が見えるようでいて見えない。蕎麦打ち道具を眺めることも楽しみの一つなのだが、それは叶わなかった。外が暗くなれば、麺打ち室を使っていなくとも明かりを灯しているのだから、外に面してつくった施設を、隠すつもりはなさそうなのだが。
店内は、カウンターに椅子が3つ。一方がベンチ型の腰掛になった二人がけのテーブルが4つ、いろいろに組み合わせて使うのだろう、椅子は他に5客あった。
お店の内装は、枠組みだけを大工に頼み、あとは4か月かけてご主人が自分で仕上げたらしい。やはり自分で大正築・再建築不可66uの古民家を、半年かけて改装工事した「眠庵」 店主を思い出したが、手作りの“遊び”感が伝わってくる「眠庵」と比べると、同じように若い店主でも、こちらはプロ志向なのか“遊び”はなく、清楚でこざっぱりとした感じ。一見土壁にみえる落ち着いた色の壁紙つなぎ部分も、とても上手にできていて、「玄人はだしだなぁ〜」などと妙に感心した。
そしてその若い店主は、那須塩原「多助そば 湯津上屋」 の息子さんだそうで、(残念ながら親御様のお蕎麦を食べた事はないが)昼休憩を取らずに通しで営業するスタイルは同じようで、お客にとってはとても有難い。
■蕎麦前取り合えず、


静まり返った店内に、若い店主が、まだ長い山椒のすりこぎ棒と大きな鉢を使い、仕事をしている音だけが響く。他に客はいなかったが、評判の若い女将はクールで、なんだか声が掛けられない。料理を運んでもらった折に、気後れしつつ次の品を頼むことで、なんとか注文を済ました次第。
■蕎麦もり(\700.-)をお願いした。豪華に


若い若いご主人だから、まだまだ今後を期待したい。しかし、蕎麦の好みも十人十色。ご主人のめざす方向と一人の客の好みが一致すると思い込むのは乱暴で勝手な話しだろう。自戒したい。
■蕎麦汁と薬味辛汁は甘みを抑えあっさりと軽快で上品な作りだ。(麺の水切りがしっかりされていれば)蕎麦ともよく合う。薬味は、ねぎと山葵。ねぎは丁寧な極細切り、晒してある。

■住所中央区銀座1-22-14■電話03-3567-0838■定休日月■営業時間火〜金11:30〜21:00/土・日11:30〜19:00