2008年02月18日

大井町「権正」

権正玄関.jpg「権正」は、JR京浜東北線東急電鉄臨海高速鉄道の3線が乗り入れる大井町駅改札から徒歩30秒という便利な立地ながら、東急電鉄大井町線の線路下で、駅前の歩道から見れば半地下にある為か、残念ながら店の面構えである入口が、いま一つ華やかさに欠ける。

店構え同様、一見そっけなくクールな職人風貌の店主だが、その実人懐っこく笑顔がチャーミングなので、私は密かに「はにかみ店主」と名付けようかと・・・失礼なことを。ともあれ確かな腕前は、さすがに飯チャンの会。おおもとの大井「布恒更科」を筆頭に、このグループの蕎麦は時折どうしても食べたくなる。

権正石臼.jpg■そば粉主に北海道産を、店の前面にある麺打ち室内に設えた電動石臼で自家製粉。どのくらいのメッシュで篩っているのか伺うと、「全部手篩いですからねぇ、30メッシュが精一杯です。もぅ年ですし、腕が疲れちゃって。お金がなくって機械が入れられないです。」と、冗談を交えて教えてくれた。粉の説明をしてくださるはにかんだ笑顔がとても楽しそうで、こちらまで嬉しくなってくる。権正打ち場.jpg

■蕎麦伺ったのは金曜日のお昼2時をまわった頃、食べようと思っていた季節の変わりそば(伊予柑切りそば\1000.-)が既に売り切れとなっていた。こちらの変わり蕎麦は、透明感のある更科粉と香り高い混ぜものが素晴らしいので、「終わり」と聞いてがっくり。もうやだ〜(悲しい顔)少し残念。それでは・・・何か天麩羅を揚げてもらうか、とろろ蕎麦もいいなぁ〜と、迷いに迷った末、鴨汁そば(\1600.-)をお願いした。 

厚い鴨のスライス4〜5枚とやはり厚めの小口切りで味のしみたねぎが、ほんのり柚子の香る温かいお汁に入っている。しっかりと濃厚な辛汁と鴨の油が一体となって、ごちそう感で思わずにんまり。

 権正鴨汁.jpg権正二八.jpg
     濃厚な鴨汁             二八そば

修業先である「布恒更科」のつゆは、濃いのに塩辛すぎず角もなくまろやかで、成熟した旨味があり好きだ。「権正」のお汁もよく似ているので、基本製法は同じかと店主に伺ってみたら、やはり飯チャンの会の各店舗のお汁は、基本的に同じようなところから出発していると教えてくれた。「でもうちは、土間がなく下がコンクリートですからねぇ」と言う。

「布恒」の土中に埋め込まれたあの甕に秘密があるのだろうことは、皆よく知っているのだが、実際あの味はなかなか作れない。たぶん由緒ある酒蔵のように、あの土中の甕に、家酵母かなにかが作用しているのだろう。言ってみれば天使の仕業だ。だから、同じ信州須坂 塩屋醸造の醤油をつかって同じように甕に寝かせても、「権正」と「布恒」の汁は同じにならないと言いたいのだろう。しかしそれぞれの環境や製法で、満足のいく独自の汁を工夫し作っていくとのこと。その辺りにも熱意を感じた。
 

普段の私であれば、この鴨で・・・まず熱燗をいただきたいところではあったが、午後の用事が控えいたので涙をのんで我慢。運ばれた二八に手をつける。姿も美しく、水切れの具合もいい、量もまずまず、安定した職人の仕事のしてある二八だ。きっちりと修業したプロの技が、実にさり気無くあたりまえに詰まっている。薬味には、山葵とねぎ。
 

■蕎麦湯
きっと釜の湯を変えたばかりであったのだろう。別につくることもしない蕎麦湯は、サラサラであった。実は、鴨汁を頼んだ時、“もぅ一つ蕎麦猪口をくれないかなぁ〜、くださいと言おうかなぁ〜”と思っていながら・・・。最初の一杯の蕎麦湯は、こちらの蕎麦猪口に残ったお汁を薄めても、飲み干すには濃い。だから、取り分けて蕎麦湯のおかわりの度に、汁を足していければ尚美味しく飲めて嬉しいのだ。二杯目は、柚子の香りが嬉しい七色を少し入れて。そう思いつつ、今回も言い出せなかったなぁ。でも、当たり前に蕎麦の香りのする蕎麦屋の蕎麦湯。はぁ〜っハートたち(複数ハート)と思わず声のでる熱々蕎麦湯で、うぅ〜〜満足っ満足っ。
 

■住所
品川区大井1−1−6■電話03-3776-8580■営業時間11:30〜15:00、17:00〜20:00■定休日日・祝■アクセスJR京浜東北線・東急電鉄大井町線・臨海高速鉄道、大井町駅徒歩30秒


     次項有大井町「権正」 2006年7月18日の記事を読む
posted by 笑門来福 at 05:16| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 目黒・品川・大田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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