並木のようにソバ畑の一辺に並ぶ背の高い高いユーカリの木 から落ちるユーカリの実や、つぼみのがくや花弁が合着した蓋のような部分が、脱穀の段階になってもソバの実の中に混入し、昨年は打った蕎麦がユーカリ風味となった。
さて今年はどうなるか…若干の不安を抱きつつ12月2日(日)、夢の島公園で収穫したソバと小麦を使い、我々江戸ソバリエ20名と江戸川そばの会14名が、蕎麦振る舞いボランティアを行った。朝9時から200食分を用意、お昼前に集まったお客様は刈り取りや脱穀の作業ボランティアなど110名あまり。行列のできる繁盛店?の様相に、釜前の気は急くのだが、釜に据えられたコンロの火力が今ひとつ。湯が思うように沸いてくれない。(サンフランシスコに遠征したメンバーも同じように火力に悩まされたらしい。あちらの厨房では湯をグラグラと沸かす方法がなかった、と後に聞いた。)
そんな事情で、ほんの少量ずつ茹で上がる蕎麦であったが、御並びいただいたお客様も、不満を言うでもなく皆さんニコニコとしていた。誰もが自分たちの作業を経て、供される蕎麦に喜んでいるのだ。家族連れが、お年寄りが、小さな子供たちが、芝の上に設置されたテント席で、皆嬉しそうに蕎麦を手繰る。蕎麦がつなぐこの細く長いご縁、この光景に、涙腺が緩みそうになるのは私だけか。


蕎麦打ち会場では水回しの時に、少し匂ったユーカリ臭は、茹で上がった蕎麦にはあまり感じられず、良い蕎麦に仕上がった。まぁ〜蕎麦を生業にしたプロではないが、打ち手の殆どは有段者であるし、打ちたて茹でたてを出しているのだから、そこらへんの町やの蕎麦屋よりも美味しいのは、当たり前と言えば当たり前のことではあるのだが、召し上がった公園来場者の「美味しい!」の一言に、とてもとても嬉しくなった。子供たちの中には「凄〜〜く美味しい、これお蕎麦なの?」と首を傾げながらも、蕎麦湯までググっと飲み干す子もいて、微笑ましい光景にオジサンおばさんが幼子の笑顔になった。
ソバ粉も割り粉も夢の島産、打ち方は二八細打ちの江戸流で、“これぞ江戸前”との合言葉が飛び交う中で、ボランティアの取りまとめを行った江戸ソバリエのWさん、そばの会のKさんに促された館長玉木恭介さんから「来年もやりたい」という言葉がでて、参加者拍手のうちに会はお開きとなった。
兎にも角にも楽しい一日であった。来年は、ソバ畑の生育状況もブログ公開しよう。勿論、蕎麦振る舞いにも参加の意思表明を今からしておく。笑門福来の来年の話に、鬼も大いに笑ってくれるだろう。
最後に、会場裏で戸外の流しの冷た〜い水で延々と器を洗い続けたそばの会のお姉さま方、彼女たちの活躍には頭が下がった。井戸端会議ならぬ流し台端会議で陽気に話の花を咲かせながらも、手は真っ赤。縁の下の力持ちに感謝。
■住所江東区夢の島3-2■電話熱帯植物館03-3522-0281■アクセス東京メトロ有楽町線・JR京葉線・りんかい線 新木場下車、夢の島公園内を熱帯植物園まで徒歩15分
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あのユーカリ臭、打っている時は凄いのに、茹でると消えてしまう、ホントに不思議です。ということは、変わり蕎麦に練り込んだ香り成分も同様の経過を辿るということ。残したい香りをどう残すのか、うーん。
去年の蕎麦振る舞いの日のあと使おうとしたら
茹でても匂いが強烈に残って食べられなかったそうです。
今年はそれを教訓に、
脱穀の前に一生懸命ユーカリを取り除いたそうです。
去年と今年の両方を食べた方は、
今年の蕎麦振る舞いの日の出来上がり蕎麦も
格段にユーカリ臭が改善されたと言っていました。