これは「ツルツルファミリー」が商品名か?それとも、気軽に・・・からが商品名か、などとどうでも良いことを気にしながら、箱の中から恭しく和紙に包まれたセットを取り出した。万年超初心者の打ち手である私に、もっとマシな蕎麦を打てということだと思い、さっそくトライ。
同梱のA4サイズ2枚の説明書では、〜手打ち蕎麦、うどん、スパゲッティの作り方(説明文の表記通り)〜からいきなり始まる。うどんやパスタを差し置いて、蕎麦が一番最初だ。江戸ソバリエとしては若干気持ちを良くして取り掛かる。
読み進めると、水回しなどは従来の方法でこなし、この道具では“延ばす”と“そばを切る”ことに使用することになっていた。出来上がる蕎麦の味を決定的に左右する最難関の水回しを工夫するグッズも私には必要なのでは、と思いつつも、しかし蕎麦粉に触れ香りを楽しめる水回しを道具にゆだねる別の蕎麦打ち玩具(※後日ブログには別記事として掲載予定)を試した時には、まったく蕎麦打ち自体が面白くなかったことを思い出し、一人合点する。
それにしても、説明文の文字がやたらに細かく小さい。「ツルツルファミリー」と言いつつ年長の家族には読めないだろう〜と、若年者の私にして(ん?嘘つき?)虫眼鏡片手にボヤキも入る。使われる表記や“てにをは”からして、説明文を書いたかたは、経験やお年を重ねた方と推察するのだが・・・。
兎にも角にも“捏ね”を済ませ、 “延ばす“の作業に入る。引き延ばし用の型枠とローラーには、2〜3mmの隙間があり、麺帯はそれ以上厚くなることはあっても薄くはならない。が、横幅の狭い引き延ばし用の枠内で長く長く延ばしていくためには、普通の麺棒での”角だし“や”延し“に比べ力が必要で、とても時間がかかる。体格の割に非力な私には楽な作業ではなかった。
そしていよいよ、今回最も面白そうだと思ったカッターの出番である。ピザを切り分ける時に使うカッターのようなユニークな形。大きく重い従来の蕎麦切り包丁と比べ、なんと軽快なフォルム。小さな子供でも手を切る心配はないだろう。して使い心地は・・・裁断用の誘導板が上手に使えなかった為か、そもそも説明書で使い方がよく分からなかった為か(使い方については、蕎麦打ち仲間とすったもんだの論議をしましたが・・・)、切り口がヨレヨレとしてしまう。曲線に次ぐ曲線になり、断面もザラザラとした押し切り調で“角のたった蕎麦”を切るのは、カッターの研ぎとともに長い長い修行も必要なようだ。
最後に使用感として、出来上がりの麺の厚みや幅が広く、自由裁量できる範囲が狭いことに、細打ちが好きな私は戸惑いを覚えた。慣れないことも手伝って従来の作業に比べ、とても時間がかかる。使いこなすまでに、更なる時間が必要だと思った。やはり何にでも修行が必要なんですねぇ。
次は難解な説明文に従って、これまた大好きなスパゲッティ(説明文の表記通り)にチャレンジしたい。キレを大切にする和食には、包丁や料理の切れ味と言うのは、特別で大切な文化だ。日本では、蕎麦は切る。角のたった蕎麦に価値がある。同じアジアでも中国や韓国では、製麺に押し出したり削ったりという方法もあり、蕎麦の断面にはおおらかだ。蕎麦に比べ麺の切断面に格別の配慮が必要ないと思われるパスタの方が、(むしろソースの絡み具合からして麺の表面はツルツルしていない方が良いのかもしれない。--商品名はツルツルファイミリーだが・・・)この道具に向いている気がしてきた。
付け加えると、説明書の最後になって、長年蕎麦打ちをやってきたという商品開発者は、作りやすいうどんから始め、スパゲッティへ進み、最後に蕎麦打ちで使用することを推奨していた。うぅ〜ん、最初に全文を読むべきであったのか、でもこれでコシの強いうどんを延ばすのは大変そうだなぁ。
それにしても、
いや〜麺打ちって楽しいですね。
ところで,カッターのことはさておき,「引き延ばし用の型枠とローラーには、2〜3mmの隙間があり、麺帯はそれ以上厚くなることはあっても薄くはならない。」との文面を見ていたら,「野島」の一人用そばの打ち方を思い出しました。それは,百グラム程度の麺体の両端に厚さ1ミリの細い角材を置き,その上で小さな延し棒で延すというものです。人間とは,難しいものをいかに楽に,簡単にするために,いろいろなことを考えつく動物だなぁとつくづく思います。味がよければ,どんな方法で作ろうが問題はないと思いますが,伝統的な方法は,過去の歴史が積み重なってできたものだろうと思います。やはり基本は伝統で,時と場合によっては斬新的な方法も許されるのではないでしょうか。
シンプルで美しい道具を使うと、作業そのものも楽しくなります。新製品も便利さばかりを追求するのでなく、作る楽しさを倍増させてくれるものが好きです。あと、ちょっと馬鹿馬鹿しいものも好きなので、変なものを見つけたら、また記事にします。どうか邪道と言わず、お話半分と思って、どうぞ笑ってお付き合いください。
本も出版されています。
最近お近づきになりまして、土日に電話がかかってきます。
彼が打つ更科十割そばは絶品、今まで食べた○千円の更科なんかより、うまいです。
実は、なんとなくこの製法で更科十割が実現できるような気がします。
笑門来福さんのお仕事が何だったか、思い出しました!Oさんの道具と教本をセットにすれば、当たるかも!!
この「ツルツルファミリー」の発明者は、直接面識はないのですが、F.Kさまと仰る方です。zukunashiさまのご存知の方と同一人物でしょうか?
更科十割を実現できる「この方法」とは・・・とても興味があります。是非ご教示ください。
highlandさま
元職場は・・・潰れちゃいました。私の携わったネット店舗も、その昔は全国展開していたリアル店舗も、綺麗さっぱりありません。その道具と教本のセット販売は、いいアイディアだと思うのですが・・・残念(^_^;)。
吉祥寺ロンロン内にあったお店にはよく行ってましたけど、ここ最近は行ってませんでした。行ってた頃も見るだけで、へぇーと愉しんでるだけだったのが、よくなかったのかなぁ。
ひょとしたら既出の話題かも知れませんが、そば打ちの道具でこんなのも話題になっています。
その名も「いえそば」
http://blogs.yahoo.co.jp/trydeco/45296343.html
まだ発売前なのに、予約を受け付けてなにやら盛り上がっている様子です。
コメント欄でも、ご登場いただけて嬉しいです。
ご紹介の「いえそば」ブログ読んで参りました。
私も実は、元職場の関係で前回のギフトショーへ行き
「いえそば」を見てまいりまして・・・少々遊んできました。
それで、ツルツルファミリーの記事の中で、
別記事として掲載予定とした玩具がまさしく「いえそば」です。
なにやら都合があるらしく、発売予定が9月から10月に変更になったようです。
昔の洗濯機の絞り部分みたいなので、
蕎麦打ちというよりも・・・リカちゃんハウスのおままごとという感じでありまして、
なんだかだんだん記事にするのはどうかなぁ〜と思っていた次第です。
お値段は、10500円これもオママゴト玩具としては・・・
高すぎるんじゃないでしょうか?
購入対象者が大人ということでいいのかしらん?
どうでしょうか?
そうですねぇ。
細く長く喉越しの良いキリリと美味しいお蕎麦が打てるようになったら、
それりゃ〜〜ぁ(*^_^*)楽しくなりますよね。
私今現在は、太く短くボソボソとしてますが
(蕎麦の話です。私の容姿!?じゃぁないです。ハハハ)
前を向いて一生懸命頑張ります。
「なんだかおいしい蕎麦だなあ」とみなさん言ってくれました、嬉しいですねえ・・・。ルンルン
もちろん生粉打ちです。ちなみに今日は作ったつゆ持参してしまいました・・・。