旅の達人mさまの段取りで、東京から青春18きっぷをつかって藤枝「ながいけ」へ伺った後、こちら静岡「たがた」へ移動。
ここにも蕎麦に惚れ込んでいる熱い人がいた。蕎麦を食べ歩いて在来種の素晴らしさを知った田形治さんは、趣味の蕎麦打ちが高じて脱サラをし「たがた」を開いた。各地の在来種・貴重品種を店でだしているだけでなく、特に、静岡在来種(=井川在来種を焼畑で。他に藁科川・安倍川・興津川の4水系の在来も)とそれを培う周辺文化を守り育てることに、並々ならぬ情熱を持って活動を続けている。
そんなことからか、同じ蕎麦好きの為に、昼休憩の時間を融通して歓待してくださった。
■■蕎麦前
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適当にお任せで、見繕ってもらう。
まず、「うるい」と「蛍烏賊」を酢味噌で。ほんのりとしたぬめり感とシャキとした歯触りで春の息吹を感じる瑞々しい山菜と、旬の蛍烏賊はベストマッチ。
扇のお皿に盛りこんでくださったのは、新玉葱溜り漬け 大根の炊いたん 蕗味噌 絹さや胡麻和え 鴨ロース 筍 菊芋 独活の金平 島ラッキョウなど。
蕎麦粉を使ったガレットには、脂の乗ったサーモンとクリームチーズを添えて。
最初の一皿から美味しくって、お酒がドンドン進み…。結局、静岡のお酒を中心に4種類を次々と。
■■蕎麦
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いよいよ、蕎麦。
玄ソバのまま仕入れたソバの実(窒素の真空0度貯蔵とのこと)を保存。時に熟成させてから、蕎麦に仕立てているという。日頃、いろいろな在来種・品種をいろいろなスタイル(粗挽きでも・微粉でも)で麺にしたてて提供しているけれど、今回は粗挽きの藤枝「ながいけ」経由で訪れる予定を予約段階から話していたので、微粉に製粉したものを打って待っていてくださった。
まずは、
蕎麦の為に
ジャワ塩と汁。
大野在来
1.5mmの美しい蕎麦。昨日打って1寝かせたものは、熟女のごとくやさしくたおやかで、しっかり旨味と香りの複雑な味のバランスが素晴らしい。スルッと喉越しも良く、うぅ〜ん美味しい。
椎葉村在来10割
直ぐに、焼畑とクニ子おばばの顔が浮かんだせいか、渋く奥深いお婆さんの味わい。こちらは、本日製麺の美しい1.5mm幅。いぶされたような香味にインパクト、流石に凄い。
祖谷在来10割
本日製麺、1.5mm幅。椎葉村10割の味も濃かったけれど、こちらもまた別の深い穀物の味わいがしっかりと前面にでていて興味深い。徳島で食べた「祖谷蕎麦風?」よりも、ずっと蕎麦そのものの味が濃い。だからなのか、以前mさまに唄ってもらった民謡「祖谷の粉ひき唄」の調べも頭に浮かんだりして。
最後に、蕎麦湯の為に山葵と葱が出た。
私は今まで、せいろ蕎麦を食べる時に薬味の葱を使ったことが無かった。蕎麦湯には時々使うけれど。蕎麦仲間の間でも、同じようにして食べる人が多いし、石臼の会蕎麦打ち会でも、必ずしも葱を用意しない。蕎麦屋さんで、最初から葱を蕎麦湯用と想定して出す店の記憶は、他にない。
残念ながら諸事情から、今回は静岡在来種(焼畑で育てた井川在来)を食べられなかったけれど、いただいた3種とも、貴重品種をどう表現するか、どんな意図を持って製麺したかがあれこれ想像されて、打ち手と蕎麦切りを通じて遣り取りがあるようでとても楽しかった。それに…私ではありませんが…呑兵衛には、季節を大切にした蕎麦前の種類の多さも、とてもとても嬉しいだろう。ご近所にこんなお店があったら、間違いなくセッセと通ってしまうだろうなぁ…と。
■住所静岡市葵区常磐町2-6-7■電話054-250-8555■営業時間11:30〜13:30/17:30〜22:00 ※蕎麦売切れ仕舞い■定休日月・第一日
■■帰路
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勿論、帰りも蕎麦談義しながら青春18きっぷ (春・夏・冬の利用期間が決められているものの、JR線の普通列車が1回あたり2,370円で1日乗り放題。1人で5回分、または5人までのグループ利用ができる。詳しくは、当該JRのHPで。)だ。
ゆったりグリーン車で
東京駅へ。
静岡土産で一杯
ご案内くださった mさま
Kさま Oさま 本当に有難うございました。
また、次の蕎麦旅もご一緒させてください。