2014年10月09日

10月20日 淡路町「かんだ やぶそば」再開

本郷団子坂にあった藪蕎麦の本家(屋号は「つたや」。庭内に竹藪が多かったことから「やぶ」と呼ばれた)から分店を譲り受け、明治13年(1880年)に創業した「かんだやぶそば」が、20141020日(月)正式再始動する。

4代目当主堀田康彦さんが、準備期間のトレーニングと称して、新店舗に江戸ソバリエ招待してくださった。




プレオープンかんだやぶ全景.jpg

 





再生!



昨年2月、惜しくも焼失してしまった(大正・昭和-第2期)建物は、都の歴史的建造物にも選ばれた大正12年築(1923-関東大震災後)、風情のある数寄屋造りであった。その趣、佇まいを残しつつグレードアップした新店舗(平成-第3期)は、定評のある水澤工務店が設計・施工した鉄骨平屋造り(一部2階建て)、屋根を瓦でふいた和風建築。新築でありながら、その落着きのある面持ちが老舗蕎麦屋の風格と馴染んで、まったく違和感がない。建物をぐるりと囲む欅や梅、竹など四季を織りなす植栽が、しっかりと根を張ってゆく程に、旧店舗同様街並みにも溶け込んでゆくのだろう。



大正昭和期かんだやぶ看板.jpg


旧店舗(便宜的に、大正・昭和-第2期)で掲げていた看板を、新店舗でも門前に。

コースを主体として供する為の2階には、創業当時(便宜的に明治-第1期としてみる)店先で使っていた看板が飾られている。




ご招待の時間に1番乗りすると、門前で大旦那堀田康彦さんが出迎えてくださった。受付から進み入ると、大女将堀田ますみさんの「いらっしゃい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」の、あの名調子。和服姿に柔らかな笑顔。変わらぬ姿にジ〜ンとして、なんだか涙がでそうになる。



旧店舗の座席数は、全80席だった。新店舗は今の所、77席との事。旧店舗の時よりも、テーブルの高さが少し高くなり、椅子の大きさが少しゆったりとしたように感じられる。






蕎麦前

日頃からお世話になっている江戸ソバリエ仲間とご一緒させて貰えたので、皆が頼んだ品を、下手糞ながらも全品写真撮影した。再開祝いの気持ちもあって、私としては珍しく全品ブログアップする。




  恵比寿生ビール.jpgやぶ菊正宗.jpg


左:エビス生ビール。藪お約束の練り味噌が添えられて。右:菊正宗特選を、熱燗で。「お銚子2ほぉ〜ん、さかずきみっつ〜〜」の通し言葉が、心地よく響く。木製の丸〜い袴と白い徳利に杯は、お馴染みのものだ。






かんだやぶ焼き海苔.jpg生湯葉かんだやぶ.jpg


左:焼き海苔。焙炉で供される上等な海苔は、パリッ! 香も素晴らしい。右:生ゆば






かんだやぶ鴨ロース.jpgかんだやぶ天たね合鴨焼き.jpg 


左:鴨ロース   右:天たねと合鴨焼き


コロコロッと小海老の入った天たねは、海老の腹を内側に丸くなるように重ねて、濃口のごま油を使ってサクサクに揚げられる「かんだやぶ」の名物の一つ。ひし形にカットしたゆずと、湯がかれた三つ葉がトッピングしてある。小海老は勿論、この天かすをも最後まで突いて、ちびちびと日本酒を飲み、かけ汁にいれたりなんかもして、完食するのが常であった。火事の後、お客を速やかに誘導非難させたテーブルに、天たねがポツンと残っていた風景が目に焼き付いていたけれど、このころんとした姿と再会できたことが、とても嬉しい。


蕎麦





かんだやぶおかめ.jpg


おかめそば

私は、おかめさんの頬になっている「かまぼこ」を食べさせてもらった。上等なかまぼこって、本当に美味しい。おかめそばという品書きには、なかなか奥深いものがある。その辺り詳しくは、石臼の会ブログ内 漫画本物わう 記事へ。








かんだやぶ鴨なんばん.jpg


かも南ばん









かんだやぶ牡蠣そば.jpg


牡蠣そば

私の大好物。牡蠣が5個。磯の香と牡蠣の旨味の溶け込んだ美味しい甘汁も、もちろん飲み干した。






大女将の「ありがと〜存じます〜。またおいで下さ〜〜い。」の声に送られて、余韻がいつまでも続いた。



かんだやぶの「おいしいお蕎麦を気持ちよく」の合言葉は健在。楽しみ所は蕎麦だけではなくて、女将や花番さんの声、流れる空気感も含めて、まるで総合エンターテイメント。1020日(木)の再開当初は混雑が予想されるが、この比類のない老舗蕎麦屋の風格を、是非味わいに行って欲しい。更に行列覚悟で良ければ、「藪」の総帥としての設え(お供え餅の段飾り?名前がわかりませんが…)を堪能できる年始もお勧め。圧巻だぞぉ。


蕎麦屋好きとして、この復活が心の底から嬉しい。ご馳走さまでした。






■住所千代田区神田淡路町2-10■電話03-3251-0287■営業時間11302100(ラストオーダー2030




posted by 笑門来福 at 17:12| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 千代田・中央・港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
笑門来福さま
 「かんだやぶ」さんの近況を知りたいと思っていましたところ、このブログを拝見して、流石老舗のお蕎麦屋さん立派に再開を果された事を知り
江戸の伝統が神田に甦つた気がしました。
1度会の皆様とご一緒したいですね、
如何ですか。
              龍成
Posted by 龍成 at 2014年10月10日 20:58
龍成さま

いつもコメントを有難うございます。

10月20日の再開直後は、混雑が予想されるそうですね。
少し落ち着いた頃に、是非訪問しましょう。

それまでは、
大女将堀田ますみさんの通し言葉でも聞いて
http://www.youtube.com/watch?v=krpAGAWg_Js
訪問当日を待つのも良いかもしれません。
Posted by 笑門来福 at 2014年10月12日 10:48
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