2014年07月09日

宵待庵 閑日記。
「深大寺そばの学校」開講記念特別講座

  「昭和天皇の最後の料理番」このキャッチコピーに脳が虜になった。参った。参った。降参。この料理番の講義が深大寺で開講される。ということで、奥久慈の山中から東京、お江戸へ行くことになった。しかし、現実は厳しく、大子から高速バスで東京駅まで3,5時間。さらに、東京~新宿~調布~深大寺まで1時間余り。往復9時間の見込み。


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 6月28日 14時、東京国立博物館経由で深大寺に到着。

定刻が過ぎ講義が始まる。「深大寺そばの学校」開講記念特別講座、講師は谷部金次郎先生。某大学で講座を受け持つという紹介があった「昭和天皇の最後の料理番」である。丁寧な話し方、想像を掻き立てられる内容、であった。



 天皇の食事は料理番6人が輪番制で作り、女官に渡し、お出しする。5人分を作る。天皇皇后2人分と予備3人分。一日三食、間食は周りの者に手間をかける。三食以外はものを口にしない。

主食は麦御飯。麦20%。蕎麦など他の一般的な食材もメニューに入れて召し上がっていただく。主菜、副菜も一般的なもので、映像に出てくるような豪華な内容ではない。酒は体に合わず召し上がらない。量は腹八分目、好き嫌いのない食生活。調理は一物全体食。一つのものを感謝して無駄にせず、生で、煮て、焼いて、揚げて、蒸して全ていただく。



 料理番の身分は国家公務員で年功序列制。メニューは一週間分を作るそうだ。天皇から好き嫌いや料理に対する希望、美味い不味い、のコメントはない。

従って、食事中の両陛下の会話や食べ残しがあるかなどで、お二人の好みや体調などを推察する。



 料理を作る、モノを作ることはボケ防止の秘訣。

モノ作りは心を込めて丁寧に、気持ちが入っていないと良い料理ができない。料理は感情が味になる。同じ人に毎日食事を作ることは非常に難しい。五感を磨き挑戦する心を持ち続けることが大切。等々をメモに取った。




聴講後蕎麦が振舞われた。石臼の会の面々が優先して回してくれた豊後産のぶっ掛け蕎麦。その蕎麦は色、形が美しく十分満たされた。感謝。



 朝9時30分。行列の末入場した台北国立故宮博物院展の翆玉白菜は3時間待ちでパス。

他の故宮博物院の名品神品は堪能した。一日で一年分の人混みを見た。一日で数千年の歴史と技を見た。そして人がつなげてきた蕎麦と料理番の話。余韻のある一日だった。




〜 宵待庵 〜
posted by 石臼の会会員 at 21:15| 東京 🌁| Comment(6) | TrackBack(0) |  深大寺さまと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
宵待庵さま

素敵な文章を読ませて頂くことを、
とても楽しみにしております。

>調理は一物全体食。一つのものを感謝して無駄にせず、
>生で、煮て、焼いて、揚げて、蒸して全ていただく。

>同じ人に毎日食事を作ることは非常に難しい。
>五感を磨き挑戦する心を持ち続けることが大切。

家族の食事をつくるという、ごく当たり前な日常でも
参考になると思いました。

それにしても、
1日で1年分の人混みを見て、9時間の移動…。
お疲れになったことと思います。
ゆっくり休憩して、また素敵な文章をお願いします。
Posted by 笑門来福 at 2014年07月10日 10:36
>量は腹八分目、好き嫌いのない食生活。
>天皇から好き嫌いや料理に対する希望、美味い不味い、のコメントはない。

初めて知りました。凄いですね。
公務でないどんな時も「公」の人として暮らしていたのですね。
お腹いっぱい食べられないなんて、普通の人ではとても勤まりませんね。
Posted by サラザン at 2014年07月17日 18:40
宵待庵さん
先日は遠路お疲れ様でした。
 谷部先生の話をもう一度聞かせて頂いた様な気がしました。有難うございました。
 友よ遠方より来たる また 楽しからずや・・
折角 遠方から来られたのに ゆっくりお話しが出来ませんでしたが、また 機会が有りましたら是非お目に掛かりたいですね。
 その日を楽しみにしております。
Posted by 龍成 at 2014年07月18日 14:06
龍成 様
 
 当日はバタバタして失礼しました。
個人的には良い一日でしたが、ちょっとでも話しする時間があれば申し分ありませんでした。
 お元気な笑顔を拝見できたこと、これにつきます。また笑顔を見せてください。
Posted by 宵待庵 at 2014年07月18日 22:59
サラザン 様

 そうなんですよ。
不自由極まりない。
腹いっぱい食べられない・・・好きなものを!?
普通の人の安っぽい幸福論からみれば、ほとんど幸福ではない。
あ〜良かったよかった。蕎麦を思う存分食えて。
コメント、有難うございます。
Posted by 宵待庵 at 2014年07月18日 23:08
笑門来福 様

 いつも駄文にお付き合いいただきありがとうございます。
私も小庵の料理番に感謝せねばなるまい。
と思い始めています。
しかし、毎日作ってもらうとはいえ、毎日感謝は・・・と、何とも歯がゆい、心の置き場所がないこの頃です。
Posted by 宵待庵 at 2014年07月18日 23:21
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