ご縁があってチェコの首都プラハでチェコの方々のためにそば打ちの実演・試食会を行った。未熟な腕を外国の方々に見せるとは何事かというご批判があると思うが、“ご縁”ということでどうかお許し戴きたい。
最初お話があった時には夢のようなお話で本気になれなかったが、いつの間にか話が進んでこの6月女房、同行の阿部さんと3人でプラハを訪問した。
そば打ち実演・試食会の内容は以下の通り。
そばは参加者40人ということで一人100gとして4kgを用意。出汁は天ぷら用と鴨せいろ用を用意した。何故2つを選んだかというと、天ぷらは日本食の代表の一つでチェコでもよく知られていること。鴨せいろはチェコの方々が鴨肉をよく食べているのと、実際に鴨せいろはおいしいのでチェコの人々にも喜んでもらえると思ったからである。他に日本酒4合瓶3本、そばぼうろ、そば茶を用意。
ミネラルウオーターを持って行った。そばは硬水で打つとぼろぼろになり、おいしくないというブログを読んだため。事前に家で硬度304のエビアンで打ってみたら少し硬く感じたが美味しく出来た。しかしチェコの水の硬度はよく判らない。念のため持って行った。
■■準備
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イベントの前日、今回チェコでの受け皿(会場の確保、参加者の募集、食材の準備など)になってくれたチェコ在住20年の池田なつみさん宅で試食用のそばを打つ。
そばは二・八で3kgを小生と阿部さんで交互に打つ。ただし、事前に延し台(テーブル)と延し板(90p角)を頼んであったのだが、説明が悪かったのか延し板が無い。やむを得ず延し台(テーブル)の上で直接打つことにした。広さは十分(高さは日本と違い、70〜80cmある)だが、真ん中に縦に50cm間隔で筋が入っている。最初は気にならなかったがそばの麺が薄くなるとそこから切れそうになる。
やむを得ずそばの麺の両端を麺棒で巻いて麺棒を縦にして50cmずつ開きながら横に打った。何とか延すことが出来てほっとした。一方鴨肉は骨付きを買ってあったのでオーブンで1時間焼いてから骨をはずし(簡単にはずれる)、一口サイズに切る。オーブンで焼くとかなりの油が出るのでその油で日本ねぎに似たねぎを長さ5cmぐらいに切って炒めた。
■■当日
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会は5時開始、7時終了。会場は7時半まで借りているという。3時に諸原料と器材を持って池田宅を車で出発。30分で着く予定が交通渋滞に巻き込まれ、会場に着いたのが3時50分。早速そば打ち班と天ぷら班に分かれ、準備開始。
会場を事前に下見出来なかったが、写真では真ん中にステンレスの調理台があるように見えたので、そこでそばを打つ予定だった。しかし実際に行って見たら、中央はコンロが2台並んでいて使えない。たまたま皿などを置くように置いてあった机が延し台に丁度いいのでそれを借用することに。後は道具・粉を揃え、実演に備える。一方天ぷら班は別室でかき揚げ、なす、ズッキーニの天ぷらを揚げ始める。
徐々に参加者が集まり、5時になる。天ぷらが間に合わない。10分遅らせて開始。
二・八700gで実演を始める。
なぜ700gにしたかというとイベント時間が2時間なのでなるべく早く実演を終わらせたい為。小生が一生懸命に打っている間、チェコの方が事前に送ったそばに関する情報をチェコ語に訳して解説してくれている。実演は順調に進み、切りに入ったら阿部さんが、そろそろ茹で始めてもいいですかと声をかけてくる。
阿部さんはまず参加者にそばの食べ方を説明。音を出して食べてもOKと伝える。てんぷらと鴨せいろをそれぞれ並んで取ってもらうことにしていたのだが、小生が実演を終わって手伝いに入ると鴨せいろを椀に入れて席に配っている。そばも20g位をすのこを置いた皿に盛って配っている。予定と違うじゃないかと云ったら、椅子が後ろの机についていて参加者が自由に出入り出来ない。そこでやむを得ず配っているという。
こういう手違いも出るものだ。嬉しいことに何度もそばのお代わりをする人もいて鴨せいろは完売。次に出した天ぷらも完売。わさびとゆず胡椒も用意したのだがこれは余り売れなかった。日本酒、そば茶、そば湯も飲んでいただき、あっという間に2時間が過ぎた。
最後の拍手の大きさで結構楽しんでいただけたのではないかと実感した。後片づけをして会場を出たのが7時20分だった。
反省:
@今回は結果的にうまくいったが、会場の事前下見は必要。
■■余談
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実演・試食会の終了後、池田さんにチェコのモラビア地方(チェコの南方、スロバキアに近い)に連れて行ってもらい、ワインセラーでおいしいワインを思う存分楽しんだ。皆さんもぜひ一度訪ねてください。
〜 酔爺 〜
こういった草の根の活動で、現地でご参加の皆さまに
蕎麦や和食を知って、存分に楽しんでもらえるということは
お互いの理解も深まって、平和な絆を結んでゆくことに繋がりますね。
読ませて頂き嬉しくなりました。
またその内に、蕎麦打ち会の折にでも、更なる土産話を聞かせてくださいませ。
もはや 蕎麦を通じてチェコと日本の掛け橋インターナチョナルな活動が始まった感じが致しました。 「石臼の会」の会員さんの中に酔爺さんの様に素晴らしい才能をお持ちの方がおられます事を誇らしく思っています。
今後のご活躍を祈念いたします。
龍成
以前から外国の方へ日本文化の紹介をしたいと思っていました。前回の日本酒とおせち料理に続き、そば打ちをやってみないかとの話があり、腕不足で申し訳ないと思いましたが、思い切ってやらせてもらいました。チェコの方々の余裕のある生活に触れることができ、こちらが刺激を受けました。ワインも美味しいので是非機会を作ってチェコに行ってください。
お褒めのお言葉を戴き恐縮です。”才能”ではなく本文にもある通り、たまたま”ご縁”があっただけです。そばが外国の方々にもおいしいと云っていただけたのが何より嬉しかったです。