2013年12月10日

西新橋「蕎麦切り 酒 大愚」

日本酒と地鶏そして、勿論!蕎麦を楽しみに「大愚」へ。

 



蕎麦前
まず、よぉ〜く冷えた銅のカップにプレミアムモルツを注ぐ。そして例によって、おまかせ(前菜・鶏料理・こめたまの出汁巻玉子・季節の一品・季節の野菜焼き・媛っこ地鶏と千住葱の塩焼き・それに蕎麦を含めた7品)3500円のコースをお願いする。むふ。うふ。今日こそは、このカウンターで静かに粋に振る舞いたかったのだけれどぉ、思わず笑みが零れ落ち、落ち、端から無理な企ては堕ち。唯の呑兵衛の地が出る。

 

法蓮草・柿・しめじの白和え 昆布と鰊.jpg

 前菜 法蓮草・柿・しめじの白和え 昆布と鰊


豆腐のほんのり塩分と柿の甘み、法蓮草やしめじの旨味や歯ごたえ、加えてこの美しい色合いに、欲しくなるのはやはり…。針生姜があしらわれた鰊も…ね、日本酒!と。


 

風の森.jpg風の森酒器.jpg

ということで、純米無濾過無加水生酒 奈良・油長酒造「風の森」秋津穂こぼれ酒 笊籠採り を冷で。酒器の美しい織部の緑が、「風の森」で艶を益したよう。綺麗です。この透明感のある旨味が、白和えと合うぅぅぅぅ。

 


鶏の炙り昆布〆.jpg

 鶏の炙り昆布〆


淡泊なはずの鶏の胸肉に、昆布の旨味がねっとりと移って風味が加わる。美味しい。



富田.jpg 







諏訪泉 富田 純米生原酒50。 ここからは、燗でお願いする。大愚のご主人の丁寧な燗の付け方が、これまた素晴らしいのだ。

 












蓮根饅頭.jpg
 

 蓮根饅頭


美味しい出汁の張られたお椀に、サクッと食感+もっちり食感の楽しめる蓮根饅頭。ちょっと梅の花のようではないですか?

 



こめたまの出汁巻玉子.jpg

 名物 こめたまの出汁巻玉子 染めおろし


青森県トキワ養鶏の米を食べて育った鶏のたまご「こめたま」でつくった出汁巻。カウンター越しに玉子を割るところから見ていると、出てきた黄身は                 “黄”じゃなくって…なんだろ“クリームイエロー”…っていうか。これを甘くせず塩分も強くない上品な玉子焼きとして、熱々ふっくらと焼き上げてあるので、玉子そのままの風味がきちんと伝わってくる。見た目の色はさっぱりと白いけれど、味は風味豊かで旨みが濃い。




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隆 特別純米無濾過生原酒 備前雄町60

神奈川県足柄上群の川西屋酒造店。高橋健一杜氏。











 


黒鮑茸(くろあわびたけ).jpg


 

 左:黒鮑茸(くろあわびたけ) 右:蕪と春菊のソース



断面が、鮑に似ていることから付けられたらしい、この初めて聞く茸の名前。繊維を感じる肉厚の傘を口に入れると、しっかりとした歯触りがあって、ナルホド少し鮑っぽい。香ばしく焼き付けられた風味は、深まる秋を感じるキノコのそれ。そうそう それから、右の春菊のソースがとても美味しかった。



奥鹿.jpg







奥鹿 無濾過生原酒 生酛 田中農場の山田錦60

大坂 秋鹿酒造有限会社

 




 




おまかせのコース最後は、


 

媛っこ地鶏と千住葱の塩焼き.jpg

 媛っこ地鶏と千住葱の塩焼き


言い古された言い方だけれど、この炭で炙られた地鶏の、外側の皮パリッと、内側の肉ジュワァ〜とが、まことに誠に美味しくって、もぅ堪らない。勿論、米の液体にもバッチリ合うけれど、熱々炊き立ての白いご飯と食べても美味しそうだなぁ〜〜〜。千住葱の甘〜い旨味にも、頬が緩む。

 



本来、ここでおまかせコースの〆の蕎麦をお願いするところであるのに、呑兵衛の相方が「もぅ少しだけ飲みたいっ!」と勝手に心を決めており、間髪をいれず品書きを手に取ると「鶏もつ八丁味噌炒め と 鶴齢をお願いします」と宣うではないか。ぬわんと。

 


鶏もつ八丁味噌炒.jpg

鶏もつ八丁味噌炒 (コースとは別注文600円)


相方の横から、そぉ〜っと箸を伸ばすと、鶏もつの濃さと八丁味噌の濃い旨味が、想像通りに美味しい。えぇ…しっかりした生なまの日本酒、それで無濾過と合うでしょうよ。



鶴齢.jpg 





鶴齢 特別純米酒 山田錦55

新潟県 青木酒造
当然、ほんのちょっと、分けて貰う。

 







うぅ〜〜〜む。

それでは私も負けじと、こちらのお店で初めての「蕎麦掻き お願いします」だ。「あ、あと 悦凱陣! も」と慌てて付け加えることも、忘れなかった。


 



蕎麦掻き.jpg


蕎麦掻き(コースとは別注文840円)


見てくださいませ、こりゃぁ美味しいでしょうぉ〜、美味しいですよ。美味しいんです。北海道キタノマシュウ種を丸抜きで石臼手挽き。少し粘ってほんのり甘みも感じられる素晴らしい風味。薬味に塩、辛汁、ねぎ、山葵を添えてくださり、好きな食べ方をする。つい先日、この品種を自分で打ちましたけれどもぉ、こちらの蕎麦掻きの風味を思えば、ありゃぁ同一の品種とは思えない程のお粗末な蕎麦打ちだったと強く反省せにゃなりません。今年は収穫期間際に雨が沢山降ったから、随分倒れたのではと心配していたけれど、キタワセよりも耐倒伏性にやや優ると言われているだけあったのか、こんなに美味しく実ってくれたのですなぁ。嬉しい。有難うキタノマシュウ。有難う大愚さん。

日頃、蕎麦掻きの魅力を誤解している相方も、今回ばかりは一口食べるなり「あ…美味しい…!」と。でも一口だけだよ、もぅあげないんだから。

 


悦凱陣1.jpg

 



 

最後の最後、ほんと、これで最後。
〆の酒。

悦凱陣 純米酒無濾過生 阿州山田錦70
香川県 丸尾本店 あぁ〜酵母は熊本9号なんですね。
くぅ〜っ。美味しい。鶏もつに、またちょっと手を伸ばす。

 






 

蕎麦

おまかせコースの〆蕎麦は、せいろと田舎の合い盛りにしてもらう。寡黙で一見ちょっと強面のご主人だけれど、気配りが凄くって、カウンター隅々のお客の間合いをしっかり見ており、絶妙なタイミングで次の杯や品を出す。そして、蕎麦のタイミングだと見るや「合い盛りにしましょうか?」と、私達の頭の上に“吹き出し”のように浮かんでいる思いを汲んで、声を掛けてくれた。嬉しいなぁ。

 



 

田舎せいろ.jpg


 〆蕎麦 田舎とせいろ


今日は蕎麦も、キタノマシュウ種 石臼手挽き。写真下部に写った蕎麦のサイズ棒は、左から2o ・ 1.8o ・ 1.5o ・ 1.3o ・1o。薬味には、ねぎ、辛味大根、山葵。私は細打ちの方が好き。

蕎麦湯は作った頃合いの良いの濃度の白濁系。

 

席数が少ない(全7席)からねぇ〜、もぅ誰にも知らせたくないっ!ましてや下戸になどに、教えてなるもんかーっ…の詳細情報■住所港区西新橋1-19-10新橋HSビル1F■電話03-3597-0359(←電話してもダメな感じ)■営業時間[月・水・金]11:0014:00売り切れ仕舞い [月〜金] 18:0022:30夜は日本酒を飲まない方入店お断り■定休日土・日・祝■アクセス都営三田線内幸町A3出口から徒歩3分、東京メトロ銀座線虎ノ門駅1番出口から徒歩5分、JR 京浜東北線東海道本線山手線横須賀線 新橋駅烏森口から徒歩8

posted by 笑門来福 at 18:01| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 千代田・中央・港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
蕎麦掻き 作り方 見てましたか?我々が知る 一般的な 鍋での作り方とは違いませんでしたか?
フライパンとしゃもじで蕎麦掻きを作ってませんでしたか? 黒い ふわふわの蕎麦の味の濃〜い
蕎麦掻き・・・ 作り方が ユニークで 見とれてしまいました・・・。
Posted by 興味津々 at 2013年12月12日 19:07
興味津々さま

いつもコメントを有難うございます。

そうなんです、アッという間にできてきましたよ。
火に当たる表面積が広いから、早いんでしょうか???
伝統的蕎麦掻の作り方のような、若い衆の力技って感じでもありませんでした。
蕎麦湯もそうだし、なんでも段取りしてあって、早いっ!
カウンターの中の仕事を見るのも、たぁ〜いへん。
酔ってる場合じゃありませんよね。反省m(__)m
Posted by 笑門来福 at 2013年12月12日 22:08
教えたくない情報を教えてくださり、有難うございます。痩せる思いでしょうか?御自愛下さい。

イキナリの剛速球で料理と酒の話。いいですね。
けれんみが無くて、読んで興味湧き、思わず足を伸ばしたくなります。

さすがにお江戸ですね。料理の旨そうなこと、思わず垂涎。酒も旨そう。思わずゴックン。
私も最近は、無濾過、無加水、生原酒にこだわっています。一言で言えば、原始的な本物志向です。
偶然にも奈良の吉野の酒です。名を問えば「猩々」
この蕎麦屋探訪記で、奈良の酒を見直しました。
有難うございました。思わずコメントしました。
Posted by 宵待庵 at 2013年12月19日 10:56
宵待庵さま

いつもコメントを有難うございます。
今夜そちらは雪模様でしょうか?

そうなんです。
想いだけでは、身もどんどん細っていますよ。

純米無濾過生原酒 良いですよねっ!
それと、粗挽きの挽きぐるみを細く仕立てて…。
最高の組み合わせではないでしょうか。
Posted by 笑門来福 at 2013年12月19日 21:10
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