2013年11月18日

佐久市春日「職人館」


蕎麦は人をよく繋ぐ
 この夏、たまたまフィレンツェの中央市場に行った。何処に行っても習慣で、面白そうなソバ関連品は無いかしらん?と歩き回っている。と、イタリア食材店で働く元気な日本人のお嬢さんが「何故そんなにソバ・ソバ、言っているの?」と。まぁ〜上手く説明できるような理由はなくって、シドロモドロしていたら「私の実家は、蕎麦屋なんですよ」と。「12年イタリアで食材の勉強もして、日本で蕎麦屋をやろうかなと思っています」と。おぉ〜〜っ!蕎麦が繋いでくれる友よ。嬉しくなって食材購入のお世話を頂き、ご実家の屋号を教えてもらい、連絡先の交換を行った。



帰国後、まず教えて貰った場所のチェック。「えぇ〜と??長野県佐久市春日…」ググってみると、ふぎゃ。ゴールドペーパードライバーの私には、秘境だ。→ひらめき 誰か運転できる人に連れて行ってもらおうという結論に達する。

更に「何なに?職人館…」ググってみると、うわぁ。こりゃすごい。→ひらめき 断然!蕎麦好きの面々で行くのが楽しそうだ、という結論に達する。

そんな訳で、あちこちで蕎麦好きの仲間に経緯を話していたら、日頃尊敬する寺西女流名人が、ひらめき「職人館北沢さんとは、イベントでご一緒したことがある」と。なんとまたまた、蕎麦のご縁が繋がった。じっくり詳しく話をお聞きすると、「行ったら、絶対楽しいよぉ」と。わぁ〜そりゃぁ、益々もっと早く行きたくなった。

 


      ひらめき  + ひらめき  +  ひらめき

  = 石臼の会で「行こう」と提案するべし。



 



 

懐広く菩薩のような石臼の会メンバーは、今回も私の提案を快く受け入れてくれた。そこで、信州蕎麦紀行12人で行くことに。

蕎麦6

1620到着の我々12人は、早めの夕食? いや遅めのおやつ?を手繰るために、玄関の前に立った。潜り戸の上に「笑門」とある。なんだか勝手に嬉しい。

職人館.jpg
玄関に笑門と.jpg

 



 


既に気配は、夕方だ。東京への帰りの事もあり、全部一気に注文する。ソバ粉は、村内産玄ソバ100%(信濃1号と在来種)の石臼挽き。蕎麦汁の他に、銀葉藻と塩を添えてくださる。

 

 

 

山ぶどうドレッシングのそばサラダ1575円.jpg

山ぶどうドレッシングのそばサラダ1575


セロリや赤かぶ、青林檎や紫食用菊(もってのほか?)など色とりどりの野菜が蕎麦(1.5o)の上に乗っている。ほんのり甘酸っぱいりんごの風味を感じるオリーブオイルが蕎麦に絡んで、イタリアンな雰囲気。

 



そばの実と放し飼鶏卵のリゾット風 1575円.jpg


そばの実と放し飼鶏卵のリゾット風 1575


5年熟成のパルミジャーノチーズの深〜い旨味。とても美味しかった。米は芯のないふっくら具合。使う野菜は無農薬だそうだ。ソバの実は何処?

 





本日の創作そば.jpg

本日の創作そば


韃靼ソバ粉と地粉ゆめかおりを使ったパスタ。青トマトがアクセントになって、ヒラタケやムカゴの入った、ここでしか食べられない全くのオリジナルと思われる。食用菊の鮮やかな黄色が美しい。麺の色は黄褐色ながらも韃靼の苦味は殆ど感じない。苦味の少ない韃靼ソバ粉を生産している長野県小県郡長和町の「信濃霧山ダッタンそば」か? それとも、同じく苦味の少ない北海道「満天きらり」か? 或いは、ゆめかおりが主体で韃靼ソバ粉は、私達ソバリエの為に、ほんのすこしソバ粉をつかってやろうという心遣いか。

 




御前そば(更科)1575円.jpg


御前そば(更科)1575


更科の透明感とほんのり甘い風味が味わえた。薬味の紫大根も美しい。

 




職人そば 890円.jpg


職人そば 890


職人館のスタンダード蕎麦。種物はこれが台になっている。ミッチリと密度の濃い蕎麦。私は5種類の麺の中ではこれが一番好き。

 




十割そば1365円.jpg

十割そば1365


最後に出たのが、ひきぐるみ10割。外皮の色が濃いが、細かく挽きこまれていてボソボソ感はなく滑らか。

 



蕎麦湯.jpg

たっぷりと大きな片口で供された蕎麦湯。大きさの比較のために蕎麦猪口、箸置きに使われていた唐辛子を一緒に並べてみた。



 



 



食とは!
■ 職人館のあれこれ



CHEF'S  KITCHEN IN  AOYAMA 

vol.4「日本古来の滋味の再発見」北沢正和

日時:20131128日(木)

19時〜

会場:CAY 東京・青山 スパイラルB1
会費:10000

(税・サービス料込、グラスワイン付き)
定員:80名(先着順)

「日本古来の味」。それを支えている生産者も一緒に、日本の食の原点である米や味噌についての話も有り。

黒ハート当日の献立の中に、蕎麦メニュー1品「信州望月産石臼挽きそばと酥酪(チーズ)の冷たいパスタ風」有り。

申し込みは、ここへ 



 

農林水産省 第1回「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞

館主 北沢正和さんは、地元産の食材を使用し、地域食材の魅力を表現するだけでなく、他のシェフ仲間等にもその魅力を紹介して生産者との直接取引量を増やすなど、地域を盛り上げる工夫をしている。というのが授賞理由。

 


秘境めし 1
2013317日放送、TV朝日「いきなり!黄金伝説。」特別編 絶品秘境めし--では、地元長野県佐久市野菜をたっぷり使い、その季節の食材次第でメニューも変わるという即興フルコース「野にきけ膳」が1位になった。

 



 

こんな本も

本「新・職人宣言 」

職人館調理場談義シリーズ

北沢正和/宮本憲一/吉川徹/窪島誠一郎著



 

本「畑で野菜をつまみ食い」

-モノづくりに詩のこころ

職人館調理場談義シリーズ

北沢正和/谷川俊太郎/小室等 ほか著




本「山里のごちそう話」

-食・詩・風土再考

職人館調理場談義シリーズ

北沢正和/谷川俊太郎/内山節 著



3冊とも、役場を辞め各地で修行した後「職人館」を開店した北沢正和さんと、共感する人と人、仲間たちによる対談など。地域や自然と一体となった生き方、人間が生きる本質的な意義とは何か、詩人、ミュージシャン、哲学者、経済学者、町長、有機農業を営むもの、そして職人として、それぞれの立場から考え語る。

で、職人館 北沢さんとしては、
健康は食べ物によって作り出されるという意味の「食養」という信念に基づいて料理をしているそうだ。食養のための食材は、「身土不二」・
「一物全体食」・ 「不飽常食」 の三つ。「身土不二」とは、良い土壌(自然の植物、有機肥料無農薬で栽培された物)に育った食材。「一物全体食」とは、一つの生命がまるごと入っているもの、その全体を食べるのがいい。(笑門来福「挽きぐるみソバとかだね。」)「不飽常食」とは、米などのように毎日食べても飽きない食材。(笑門来福「じゃぁ〜やっぱりソバもだ。」)

つまり、良い食が健康の源!と。

と、私が一絡げに書くと大雑把すぎる。興味がある方は、是非読んでみてください。対談が主なので、サラッと一気に読めます。ほんのチラッと出てくる染色作家兼女将 北沢啓子さんの本音も「そうそう」「なるほどねぇ」、と頷きながら読みました。です。はい。

 



 





蕎麦のご縁に感謝

今回は、フィレンツェで偶然出会った可愛く元気な北沢さんの娘さんと、食材店で写した写真を持って職人館にお邪魔した。彼女が丁度、私の子供位の年頃なので、親御さんに笑顔で異国の地で働く様子を見せて、安心して貰いたかったのだ。短時間の訪問ではあったけれど、北沢ご夫妻は歓待してくださり、楽しい時を過ごし、お土産まで頂いてしまった。本当に有難うございました。
蕎麦の繋いでくれるご縁に、心よりの感謝。

「行ったら、絶対楽しいよぉ〜」と背中を押してくださった寺西女流名人にも、心からの感謝。12人で…は、先生の言葉が無かったら踏み切れなかったかもしれません。いつも本当に有難うございます。


また、私のこんな我儘に、遠い道のりにも係わらず、笑顔で「行こう」と言ってくれた石臼の会蕎麦仲間とのご縁にも、心よりの感謝。本当にいつもいつも素っ頓狂な私を優しく受け入れてくださり、有難うございます。


 

■住所長野県佐久市春日3250-3 ■電話0267-52-2010 ■営業時間11:3015:00 ※16時以降は予約制 ■定休日水・木(祝日・GW・8月は営業) ■アクセスJR長野新幹線「佐久平駅」から車で約30/軽井沢から、車で小1

次項有 石臼の会ブログ内「2013 信州蕎麦紀行」記事へ



posted by 笑門来福 at 05:40| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | ⇒長野・新潟・山梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やっぱり男前のレポートです!他の方には書けません!!
Posted by highland at 2013年11月18日 12:30
highland さま

いつもコメントを有難うございます。
乙女レポート…の間違いでは…???
だらだらと、長いレポートで恐縮です。m(__)m
Posted by 笑門来福 at 2013年11月19日 09:06
しかし 職人館の娘さんにイタリアでの出会い?
何か 凄いですね・・・
Posted by 興味津々 at 2013年11月26日 18:45
興味津々さま

この度は、コメントを有難うございます。
また、当日も長い長い運転を笑顔でお引き受け頂き
本当に有難うございました。心より感謝しております。


>何か 凄いですね・・・

ほんと、蕎麦のご縁って、何か凄いです。
私、蕎麦に繋がれてます。
Posted by 笑門来福 at 2013年11月26日 18:58
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