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■農研機構 北海道農業研究センターで、ダッタンソバの新品種「満天きらり」が育成された。ソバが栽培できない畑作北限地域でも栽培可能であり、従来のダッタンソバ品種と比較して苦味が弱く良食味で、また加工食品のルチン含有量が極めて多いため、新規食品開発による地域産業の活性化につながる品種として注目を浴びている。
抗酸化能や毛細血管強化効果等を有するとされるルチンの含有量が多いという特徴を持ったダッタンソバを、積極的に食べたいと願う方々にとって、ネックとなっていたのが、その強い苦味。従来の品種はルチン分解活性が極めて強く、例えばめん等を製造するため粉に水を加えると、子実に含まれるルチンの大部分が分解してしまう上に、味が強烈に苦くなるためダッタンソバの利用は限られていた。
そこで、苦味とルチン分解活性の極めて弱い系統「f3g162」を母に、収量性や成熟期等が優る標準品種「北海T8号」を父として交配し、苦味が弱くルチン分解活性の弱いダッタンソバの新品種の育成を試みたのだ。ダッタンソバとしては交雑育種で育成されたはじめての品種である。
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■石臼の会では、江戸ソバリエ協会主導のもと、「満天きらり」を使った数種類の麺製品の試食アンケートに協力させていただいた。今後、付加価値が高い食品の製造や、観光と結びついた地域特産物の開発に生かす為、何かのお役に立てるとすれば、蕎麦好きとしてこんなに嬉しい事はない。このように素晴らしい新品種は、日本が保有する知的財産でもある。心からの応援をしたい。