2013年02月19日

伊奈「蕎麦きり さいとう」

ちょうど、この石臼の会ブログを始めた2006年頃、伊奈「さいとう」さんのブログ「ちょいとお蕎麦屋さん」を発見。かえしに使う醤油(桶川の坂巻醤油)のことや日々の蕎麦屋さんとしての雑感が書かれており、愛読していた。その後、「ちょいとお蕎麦屋さんII」に引っ越しされるも、益々エキサイティングな内容に惹かれ、続けて愛読。時々コメントを入れたり…、2008年には、石臼の会ブログからのリンクもご快諾いただいていた。

ずっと、「行きたいなぁ行こぉ」と言いつつも、なかなか伺うことができず、オオカミ少年のようになっていたところ、「こなもんや三度笠」華麗麺麭さんに、「行きましょう」とお誘い頂いた。念願叶っての初訪問である。




蕎麦前

蕎麦も勿論魅力的なのだけれど、「さいとう」さんのブログを長いこと読んでいて、完全に参っていたのは、濃くてパワフルな蕎麦前からからのアプローチ。「日本酒の美味しさはお燗でこそ本領を発揮する」という「さいとう」さんの考え方にも、激しく賛同する私としては、こちらでとびきり燗(とびきり燗=55℃ほど、或いは、もうちょっと熱く)をキュ〜っと1杯。じゃなく、イッ〜〜パ〜〜イ、濃密にやりたいなぁと〜。

ということで、
蕎麦前は、「アレコレつまんで、いろいろ飲みたい」という事だけ伝えて、お任せにした。一つだけ「あのぉ…品書きには、臓物系は書いてありませんがぁ…もし出来ることならば、何か…今日出してもらえそうなものは、ありますか…。」と、ごくごく控えめに裏メニューの煮込みなんかがあったら最高なんだけどぉ〜って、熱い気持ちを表してみたら、「あぁ〜、じゃぁ、丁度昨日から作ってた羊がありますから、それを出しましょうか」と、嬉しいお言葉。むふふ最高っ!



始まりはじまりぃ


まず、奈良 
久保本家酒造「生酛 どぶ」
最初から、ガツンと危険な酒が出てきた。たっぷり残ったもろみ。最初に感じる酸味から、角のとれた円やかな旨みが膨らんで、力強く押し寄せてくる。濃い、嬉しいっ。燗の具合も、「あちちっ」でバッチリ!
あぁ〜1升瓶背負って帰りたい。



穴子にこごり.jpg


有明の穴子の煮こごり


しっかりとした硬さの琥珀のように美しい煮こごり部分の中に、立派な穴子が沢山入っている。添えの山葵を、ちょこんと付けて、パク。閉じ込められていた旨みが口の中で、ジュワァ〜と、熱燗やりつつ食べたら…頬っぺた落ちそうになった。



 

奈良 久保本家酒造「睡龍」生酛純米

すっきりとした表情の奥に、ちらりと潜む複雑な渋味。それを、しっかりと丸〜るく包み込んで纏め上げた米のコクのある旨み。食中酒として完璧っ!でしょ!?


玉子焼き.jpg

玉子焼き


大根おろしがたっぷりと添えられた、出汁の効いた甘くないさっぱりタイプの玉子焼き。だからこれがまた、お酒に合うぅ。埼玉県久喜市須賀養鶏場から直接買っている玉子をたっぷりつかって焼き上げ、人数分に切り分けてくださった。品書きに、()書きで時間がかかる旨書かれているだけあって、薄い層が幾重にも幾重にも綺麗に巻いてあり、丁寧にこさえたことがうかがえる。



裏メニュー、待ってましたの

羊と豆の煮込み.jpg

羊と豆のスープ


山形県産の羊のすじを柔らか〜〜〜〜く、ひよこ豆やらレンズ豆やら…何種類かの豆と一緒に、あっさりとした塩味とクミンの香りで煮てある。奥深い旨みがあって、滋味豊かな風味がありましたよ。なんというかねぇ〜、モンゴルの草原を渡る風を感じたぁ。(なんちゃって、モンゴル行ったこと、ないけど)。ご主人によれば、たまたま昨日から内臓を洗って洗って下処理し、作ってみちゃったそうだ。ラッキー!
これを食べたら、もぅ一度「どぶ」飲みたくなったけれど、どんどん先へ進む。


合鴨ロース.jpg


合鴨ロース


柔らかぁ旨い。柔らかいのは端っこの油部分ダケじゃなくて、綺麗なピンク色をしたところまで、サシが入ったかのごとく柔らかい鴨。これこそロース?蒸しているから柔らかいのか。おフランスのバルバリー種は、大味ってことで、なんとなく予定調和的にワイルドな鴨を演出しているような気がするのだけれど、今日のそれは、なかなかに繊細。お約束のねぎは当然として、かえしを基調としたタレと洋辛子が、またピッタリ。

広島 竹鶴酒造 「竹鶴純米」

言わなくても「美味しい」って、皆が知っているから…でも、やっぱり言いたい「旨いっ。」石川達也杜氏有難うっ。燗の具合も、文句無く良いし。し・あ・わ・せ。


とり皮八丁味噌煮込み.jpg


とり皮の八丁味噌煮込み


八丁味噌 かえし にんにく 生姜 ざらめ、勿論とり皮、とご店主がヒントをくれた。あと他になんだろう。全然しつこい甘さがない、いいっ!いいわぁ〜。二口目は、七色をチラリと振って、ぱくり。好きだぁ〜。もそっと、グビグビっと遣りたくなるのですが…。



ひこ孫.jpg


素晴らしい弟子の次は、師匠の酒です。

埼玉 神亀酒造 「ひこ孫」純米清酒

燗酒の王道、蔵で三年以上熟成してから出荷。神亀のいろいろな種類を経巡る中でも、この「ひこ孫」がやっぱり一番好き鴨。(あれ?また「鴨」が飛び出た。変換がいけないんです。私の所為じゃありましぇ〜ん。)
思わず、もう一合追加。










穴子天.jpg

穴子天


15000/7年燗 の穴子を捌いた男の穴子天。身が肉厚でホクホク柔らか。これがカラっと軽やかに揚がっているから、サクッ ホク ハフハフ おいひぃ〜。蕗の薹とかぼちゃも。骨せんべいもカリカリっと。



 

まだまだ飲んでいたいけれどぉ。

蕎麦




外二.jpg

外二


大らかなようでいて、どこか雅できちんとした蕎麦。十割並みにしっかりと感じる蕎麦の甘みや香り。割粉が入った利点が感じられるのど越し、嬉しいなぁ。



十割.jpg


十割



私は、外二のほうが好きだったかも。



かけ.jpg


かけ


優しい甘汁に、ほぉ〜っ。結構色が濃い気もするけれど、薄口醤油?なんだねぇ。五臓六腑に染み渡る。



鴨南蛮.jpg


鴨南蛮


まだ食べるかぁ?!って。ここでもやっぱり鴨は柔らかい…火の通り具合を絶妙にコントロールしているのか。鴨南のわりにお汁が重くなかった。

本日の蕎麦は、すべて北海道音威子府産北早生とのこと。


 

雑感

なんと言っても蕎麦前が素晴らしいっ。日本酒好きの心を鷲掴みにするような、美味しい燗酒+相性ぴったりの肴は、格別。酒飲みが酒飲みの為に作るワイルドで、さり気無いツマミ…って風を装って、実は素人には簡単に作れそうもないプロの技や食材の選定など、手間暇を掛けてしっかりつくる肴って、どこでも食べられるものでもない。それも良心的な価格設定で。あの名酒、なんであの値段?正一合だし。若く気さくなご主人に、「有難うございますっ!」って言いたい。そして次回は、甘味まで辿り着きたいな。

けれど、我が家からはちょっとした小旅行並みに遠い。帰り道には、すっかり酔いが覚める。家の近所にあったらなぁ!と、つくづく思う。

どらえも〜〜ん。お願い、どこでもドアを出してっ!


 

華麗麺麭さま、ご一緒頂きました皆さま 有難うございました。



■住所埼玉県北足立郡伊奈町小室9819-1■電話048-722-2725■営業時間11302000(中休み14001700■定休日月曜■アクセス埼玉新都市交通(ニューシャトル)伊奈線 伊奈中央駅下車 徒歩2

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※石臼の会ブログ、右端の「気になるプロのブログ」から

常設リンク→「ちょいとお蕎麦屋さんII」有ります。





posted by 笑門来福 at 17:16| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ⇒埼玉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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