浅草 蕎亭「大黒屋」で蕎麦を手繰って
石臼の話を聞く会を開催
石臼の話を聞く会を開催
「石臼の会」では東京に有名な蕎麦屋さんは多いと謂えども蕎麦通なら知らない人は居ない程有名な浅草の蕎亭「大黒屋」で蕎麦を手繰って石臼の話を聞く会を開催した。
私自身東京都から神奈川県を抜けて又東京都に再突入、而も地下鉄銀座線の終点から終点まで2時間掛けて以前に数回大黒屋さんを訪れた事があったので店主とは顔馴染みではあったが、14名という多人数で伺って果たして我々の希望を叶えて頂けるかが一番の心配事であった。
今回直接店に伺ってお願いをしたところ、丸いお顔をほころばせて、にこやかに快く承諾して下さったので助かった。片倉康雄師匠直々に特訓を受けられたご店主、心も円満な方だなと感じた次第である。
浅草駅から浅草寺を抜け言問通りを渡って柳通りを進み左側に曲がり、郵便局の先にお店は有るが、その他のコースもあって迷う人が多いそうだ。柳通りの左側の電柱には道標の矢印が有るので迷わずに辿り着くにはこの道を通るのが一番だと思う。良くもこの様に駅から離れた場所にお店を開いてやって行けるなと思うのだが、お蕎麦と蕎麦前のお料理の旨さと、酒と、店主と和服にエプロン姿の粋な女将さんの意気が合った仕事振り、決して出しゃばらず、落ち着いた人柄がこの店を繁盛させている秘訣の様な気がする。
12月上旬の企画ではあったが、師走の忙しい時期にも拘わらず参加募集人員を直ぐに超え、キャンセル待ちの人が出る程の人気で、遠方からの参加者が多かった。
店内は 入口から右側が小上がりで奥まで続く壁の上には片倉康雄師匠直筆のお品書きが飾られている。また奥の突き当たりの壁には91歳で亡くなった片倉氏が晩年弟子たちに論じた有名な語録の一節
「食はすべてそのもとをあきらかにし、調理をあやまたず、そこのうことなかれば、味はいずれ、からだを養い、病をもいやし、よく人をつくる」
が、自筆で額に入れて飾って有るのを見て一瞬襟を正したくなる気分にさせられた。
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■酒は新潟の麒麟山大辛、青森の田酒、ほか銘酒と言われる酒が揃えて有るのも嬉しい。
酒を飲みながら焼き味噌を頂いた。竹を節ごと半分に割って中側は赤、縁を黒く漆で塗った箸置きが焼き味噌のしゃもじの置き物に丁度良い器として利用されていた。
焼き味噌の作り方は、西京味噌に削り節、さらし葱、炒った丸抜きそばを混ぜ合わせて木のしゃもじに薄く塗りつけ、焦げ目が出る程度に軽く炙ったものだ。最近は各地の蕎麦屋さんでもよく出しているが妙に辛い物や、甘いものが有り、此処の店の焼き味噌ほど旨い焼き味噌はめったにない珍味で、酒の肴として最適であった。
品書きには無い蕎麦めしを頂いた。
以前は賄い飯として職人さんに出していたものを評判が良いので商品化したものだそうだ。丸抜きそばに米を混ぜて茶飯を炊いて、上からとろろを掛けたものである。
とろろの作り方は、自然薯を摺って、溶き卵を混ぜ、蕎麦汁で味を付けてとろろ汁を拵え、それをそば茶飯に掛けて青のりをトッピングしたものであって、作り方はシンプルであるが、味よし、口に広がる滑らかな感じ、咽喉越しの良さで、何杯でもお変わりがいただきたくなる程の美味しさであった。
此の料理は大きめの釜で茶飯を炊き上げる必要があるので、少人数では注文を受けないとの事で有るが、たまたま頂けたのはラッキーであった。
最後におせいろをいただいた。
おせいろと云う品書きは何とも言えない艶めかしさで、粋な江戸っ子の好む品名である様に感じた。
長方形の漆器の蒸篭に、ほど良く盛られた蕎麦は水切れが良く、ほとんどお盆に水が毀れていなかった。中細で口に入れると蕎麦の香りが口いっぱいに広がり、角が立った、ほど良い硬さの口当たり、そして咽喉越し滑らかで、これぞ大黒屋さん自慢のお蕎麦だと思った。
蕎麦を手繰りながら中敷きの簀の子を見ると中敷きの簀の子の竹にも色違いの竹が模様の様に編み込まれていて此処にも拘りが隠されているのか。
店主の並々ならぬ苦労が器を含めて、おせいろと云う商品全体に込められている様な気がした。たかがおせいろ蕎麦では有るかも知れないが、何か人の心の奥深くに充実した満足感を与えるようなところが客に受けている様な気もする。
蕎麦汁と薬味の辛味大根、葱が一層蕎麦を引き立てていた。
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■会食の後、店主から石臼についてお話を伺って良い勉強をさせて頂いた。何事にも凝り性な店主が石の産地を厳選して、自分自身で原石を切り刻んで、石臼の形に作り、目立てを行って自分で気に入った粒子にそば粉を挽いて、風味が抜けないうちに蕎麦に打って客に提供している。
蕎麦打ち台がある作業場の壁には片倉康雄師匠の写真が掲げてあるとの事である。
最後に店の前で店主、女将さん、参加者全員で記念写真を撮らせて頂いた。
〜 龍 成 〜
■住所台東区浅草4-39-2■電話03-3874-2986■営業時間12:00〜14:00 17:00〜22:00頃まで、月曜は17:00〜22:00■定休日日■アクセスつくばエクスプレス浅草駅徒歩10分、東京メトロ銀座線浅草駅徒歩15分
2009年6月23日 浅草「蕎亭 大黒屋」の記事を読む
石臼やソバ粉の事についても、とても勉強になりました。
有難うございました。
それから、
ふわっふわの「蕎麦めしとろろ」美味しかったですね♪
大黒屋さんのとろろそばが大好きですが、
この蕎麦めしにも、ノックアウトされました。
今、こうしてコメントを入れていても、
また食べてくなってしまいます。
でもお品書きにはないのですね。
コメント有難うございます。
蕎麦めしとろろに興味を持たれた様ですね。
蕎麦めしとろろはお品記には記載してありまん。
大きめの窯で炊き上げますのである程度人数が纏まらないと注文に応じて呉れない様です。
因みに我々は14名でした。
予約の際 人数をお伝えの上、交渉をしてみて頂けませんでしょうか。