こんなところにも元祖が有ったのかと思われる場所に元祖は有りました。小田急江ノ島線と相鉄線の湘南台駅から徒歩3分にあるそば処 「元祖 鴨南ばん」というお店がそれだ。
鴨南ばんの歴史は古く、江戸時代に遡るとか、1810年(文化7年)東京馬喰1丁目鞍掛橋の近くで蕎麦屋を営んでいた「笹や治兵衛」が考案したのが初めだとされているそうです、其の頃葱の入った料理を「南蛮」と呼んでおり、鴨を加えて「元祖 鴨南ばん」という名前になったと言われている。
鴨肉には硬く、癖の強い眞鴨と、柔らかく癖がない、油が載った合鴨の肉が有るそうです。その後、代は変わり屋号を「鴨南ばん 伊勢屋 藤七」になった後現在の「鴨南ばん」という屋号になったそうです。
又、暑い夏でも美味しく食べられるように「鴨南ばん」からつけそば用の鴨汁を考案し昭和10年に冷たい蕎麦に温かい鴨汁を付けて食べる「鴨せいろ」が誕生したしたそうです。
当時の品書きには「鴨せいろ」ではなく「鴨ぜいろ」となっていたそうで昭和29年頃より、各地の講習会で温かい「鴨南ばん」の人気メニューと冷たい「鴨ぜいろ」が紹介され、全国へと広まったとなっています。
いまの店は、昭和58年に分家として、湘南台で開業した後に本家となり江戸時代から200年経った今でもその伝統の味を守り続けているとのことです。
駅から近いが表通りから少し外れた比較的静かな場所にある長屋造りの1番端に位置し、お蕎麦屋さんらしい暖簾に格子戸と云う佇まいで、表には赤毛氈を敷いた待ち合せの縁台が置かれている。
蕎麦仲間と2人で訪れた日は平日の昼下がりであったので運良く外で待たずに座る事が出来て大いに助かった。
格子戸を開けて中に入ると典型的なお蕎麦屋という雰囲気で薫り高い蕎麦汁の香りに迎えられて我々は入口のすぐ右側で表に面した4人掛けで二面壁に囲まれた静かな椅子席に陣取って隣を気にせずにメニュー等の写真を撮る事が出来た。
左側は4人掛けの椅子席、右側は手前が板壁に囲まれた4人掛けの椅子席・その奥は小上がり6人掛けのテーブルが2つ、其々衝立で仕切られていて、一番奥が調理場になっている。
■■蕎麦前
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先ずビールと酒の肴として小松菜のお浸しと、鴨の肉を一番賞味できるのではなかろうかと鴨の鉄板焼きを注文した。
勿論この店では柔らかくて、脂が載った合鴨を使用しているそうですが、ステーキ用の鉄製皿に熱々状態で出て来た鴨は火が通り過ぎていて少し硬くなっていたのが残念であった、鴨は胸肉、腿肉、脂身、長葱を蕎麦汁でソテーしたものに柚子胡椒が添えて出された。
鴨の肉は直ぐに火が通って仕舞うので調理して客のテーブルに運ばれる間に加熱が進むので按排が難しいのであろうが、鴨の食感だけは充分に味わえて酒の肴としては充分であった。
■■元祖 鴨南ばん
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次に店の看板商品である元祖鴨南ばんを手繰つた。
蕎麦汁は少し辛口ではあったが、これは鴨肉の旨さと長葱のシャキシャキとした甘さを引き立てる為なのか、主役の鴨肉は脂が載って柔らかく、鶏肉とは違う所謂鴨独特の風味と食感が味わえ、蕎麦汁とのコラボレーションも良く、汁の酷を深めていると感じた。
蕎麦は新そば粉使用、細切りで食感、咽喉越し共に良く、全体として美味しい鴨南ばんを食した気がした。
■■鴨肉豆腐定食
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メニューの中にお蕎麦屋さんとしては珍しいものがあったので注文してみた。鴨肉豆腐定食である。
鴨豆腐定食の鴨豆腐
別のお盆に小鉢、漬け物も
蓋付き陶器の鍋に鴨の肉、脂身、長葱、椎茸、豆腐を入れて蕎麦汁、酒、味醂で味を調え、溶き卵を掛けて三つ葉をトッピングした所謂すき焼き風の料理であるが、鴨の脂と豊かな鴨肉の風味が何とも言えない温かさを感じさせてくれる料理であった。
小鉢、漬け物、御飯がセットになって供されたこの定食は昼食としては充分満足できる逸品であつた。
今回の訪問は伝統を継承してしながら更に新しいメニューへと挑戦しているお店の心意気を感じさせてくれる機会にもなった。
■住所神奈川県藤沢市湘南台2−22−17■TEL 0466-45-5033■定休日 木曜日■アクセス 小田急江ノ島線、相鉄線
湘南台駅より徒歩3分
次回には、探してみます。
写真でも美味しそうですね。
訪問するのが、とても楽しいですね。
興味深く読ませて頂き、勉強になりました。
早速のコメント有難うございます。
お近くまで行かれましたら是非立ち寄ってみて下さい。そして田蕎麦様からもご感想を頂けましたら当方としても、また、参考になるような気がいたします。