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− 宮城・山形の蕎麦紀行 その5−
(3) 天童市 手打ち「水車生そば」
15時24分新庄発山形行きの新幹線に乗車,天童駅で下車,天童市は将棋の駒の生産地と温泉地で有名であるが,蕎麦も,江戸時代には将軍家に献上された「寒中挽抜そば」があり,「献上蕎麦の里」としても知られている。
めざす蕎麦屋は,駅からまっすぐ歩いて12分程度,温泉ホテルが立ち並ぶ手前に位置している。店頭に水車が回っているので分りやすい。
店構え 店内
この店は,初代が製粉業のかたわら,蕎麦を板に載せて出したという元祖「板そば」の店だそうである。店内・外では,店主による蕎麦打ちなどのビデオが流れていた。
さっそく,山形県内一の太くて固いといわれる田舎板そば(1,300円)を注文した。お猪口は,どんぶり風の大型である。板そばも,優に二人前はあろうかという量である。確かに太い,固いが,これぞ生粉の田舎蕎麦である。感動した。
今日は,これで三食目,最後の蕎麦はボリューム満点の田舎蕎麦,最初はスムーズに手繰っていたが,最後はやっと口に押し込む状態となってしまった。(この時,しばらく蕎麦はいらないと思った)
田舎板そぱ 石臼を説明する矢崎店主
食後,帳場にいた矢崎長兵衛五代目店主(社長)から話を聞こうとしたところ,店主は店の玄関口にある大きな石臼のところまで案内し,要旨以下のように語った。
「この店は,もともと粉屋で,その時から水車で粉を挽いている。今も,大きな石臼で,地元産と北海道の契約農家の蕎麦を殻ごと挽いている。つなぎなしの十割蕎麦で,昔は太さは箸の太さほどあったが,今は少し細くしている。細くしようと思えば,いくらでも細くできるが,文久元年以来続いている江戸時代の庶民の味を守り続けている。」
また,水については「粉の状態によって,水かお湯か熱湯かをいろいろ変えているが,水だけということはない。いずれにしても,粉次第である。」
最後に,江戸ソバリエのことを話したところ「蕎麦の案内人ソバリエは山形が最初で,現在33人のソバリエが認定され,活躍しているよ。」とのことであった。
矢崎店主は,その発言等から推察するに,天童市内あるいは山形県県内の蕎麦のカリスマ的存在ではないかと思われた。
(いろいろとお話を聞かせていただきありがとうございました)
住所 天童市鎌田本町1−3−26
電話 023−653−2576
以上で,8月9日の山形蕎麦紀行は終了した。
山形県には,そは街道か14街道もあるとのこと,みなさんも,ぜひ山形そば街道をめぐり歩いてはいかがでしょうか。