あれぇ…用途がちがうかもなぁ。認識が違うかぁ。雰囲気も違う。と思いながらも、「老舗蕎麦屋に!」というお言葉に従い、昼休憩がなく時間的には制限なくのんびりゆったりできる室町「砂場」をご案内することにした。
■■砂場
■■ えぇ〜っと、「砂場」は…蕎麦屋の老舗と聞いてすぐ思い浮かぶ「砂場」「藪」「更科」の3系統の一つというのは、御姉さま方も既に、よぉ〜〜〜くご存じであった。そんな老舗最古参の「砂場」は、大坂城築城の際、資材置き場のひとつ「砂場」に名前の由来を持つと言われ、築城の為の職人・労働者集団が江戸に移って来るに伴い…だと伝わる。これが基礎知識。
が、大阪のどの店(「和泉屋」「津国屋」の2軒ほどの候補をあげることが多いけれど、他にもあったのか?2軒だけ!とは言い切れないけれど、或いはとりあえず「和泉屋」か?)だったのか、そこにいたどんな誰がいつ移って、江戸で蕎麦屋を創業したのか、「砂場」とうい文字を見つけられる何年の文献のどこをとるかでも諸説あって、実はまだしっかりと検証されているわけでもない。
だからそんな訳で、わからないながら現在の「砂場」は、大坂→糀町(麹町)七丁目から引っ越した南千住「砂場」(長岡家)が本家(※砂場家の菩提寺は、今も麹町にある。)で、ここ室町「砂場」(村松家)と、虎の門「大坂屋砂場」(稲垣家)が分かれ出て繁栄し、これらの店と、更にはやはり江戸時代から別系統で続く巴町「砂場」(萩原家)が中心となって多くの系列店を束ね「砂場会」を率いている。

尚上記のうち、巴町「砂場」・室町「砂場」・虎の門「大坂屋砂場」の3店舗は、木鉢会加盟店。巴町「砂場」の名物は、私の大好きな「趣味のとろそば」!また虎の門「大坂屋砂場」の、大正12年(1923年)建築の木造3階建ての建物なども、“老舗”感じる風情あるものなので、そのあたりも合わせて楽しみどころの一つ。
■■室町「砂場」で昼食を
■■

久〜しぶりに伺った。前回は確か、改装中に仮店舗営業していた頃だから…3年も前だろうか。玄関の位置が変わったり、2階へはエレベーターが設置されたらしいけれど、趣は以前とまったく同じ。高い天井、すっきりとして過剰な装飾のない和空間に、花番さんのあの「いらっしゃいぃぃーーーー」ののびやかな声が通る。なんだか時が止まったよう。いいなぁ〜、私も歳をとるのを忘れてしまおうか。
いかん、いかん、うっとりしている場合ではなかった。御姉さま方に、この店のことを、サラリとご説明申し上げなくてはならなかったのだ。
こちらのお店を、本家からわかれて立ち上げた初代は女性。明治2年創業となっている。今は実用的に使う人も少なくなったので、もっぱら趣味で収集している方々の戦利品となっている月替わり 鳥居清光画のマッチの存在も有名。何故か我が家には、7月のマッチが幾つもある。この店には夏に来ているということか??
これまた更に更に有名なのが
天もり発祥の店ということ。品書きの「天もり」の欄に〜当店発祥。天ぷらそばを暑い夏でも食べ易くとそばを冷たいセイロに致したのが始まりです。天ぷらとお蕎麦のセットではございません。お料理の天ぷらは、一品料理のページにございます。〜とある。「?」ではないだろうか? 子供の頃から「天もり」というと、もぅ既にイメージを描けていた私にとっては、こちら室町「砂場」に初めて訪れて、これを読んだ時は何だか良く分からなかった。つまり3代目の昭和30年代頃に考案された「天ざる」・「天もり」は、温かい汁に芝えびと小柱のかき揚げを入れて供され、それに冷たい「ざる」・「もり」の麺を付けていただくということなんだ。どうでしょうか?ちゃんと説明できたでしょうか? あぁ〜まだ、分からない?じゃぁ、下の写真を見てください。すぐ一目で分かりますから。
そして蕎麦は、2種類。「別製ざる」というのが、さらしな粉を使った白いお蕎麦。海苔が欲しい場合は別途注文100円増し。「もり」は、(品書きには一番粉使用とある)やや黒みがかった麺。どちらも細打ちで、玉子繋ぎ。
5代目ご主人は、大学卒業後家業を継ぎながら、服部栄養専門学校で和洋中・製菓・製パンまで習得し、更に料亭で和食の修業も積んだ勉強熱心な方。もともと新し物好きな家風ということもあって、メニュー開発にも積極的だとか。「天もり」の次にくるオリジナル名物料理も楽しみである。
ということで、
まずぅ、さしみ蒟蒻のお通しで、グラスまでしっかり冷たくなったひぇひぇ生ビールを、クぅ〜っと…して
この日いただいたのは、

別製天ざる¥1550.-
これが、長々と説明したアレですわぁ。温かい汁に芝えびと小柱のかき揚げを入れて供され、それに冷たい「ざる」さらしな粉を使った白い蕎麦を付けていただく。

三味そば¥950.-
本三葉・大根卸・海苔の冷たいかけ
さっぱり冷たい、冷かけと言うよりも“ぶっかけ”。薬味にねぎと山葵が付いてくる。

涼味とろろそば¥1300.-
夏6〜8月限定、季節の蕎麦
このとろろのつけ汁には、私の好物!じゅんさいが入って、更にはソバの実、オクラも。薬味に山葵・酢味噌・青海苔。
このフワッとつけ汁が、本当に美味しいのですぅ。
まぁ、蕎麦の量は上品というかぁ、やや少なめというかぁ、である。日頃とても品が良く落ち着いた御姉さま方をしても、思わず「ぇ…少…」と呟いてしまう位だ。
やはり老舗としても有名で、特に供される蕎麦の量が少ない事では例えに出されることの多い神田「藪」のご主人に、ずっと以前聞いた話だが、「蕎麦は間食である」と、そう、そもそも“おやつ”なんだから、ちょちょっと摘まんで終わる位で適量との考え方。また、「江戸蕎麦は、腹いっぱい食べるものではない」と考える方の言葉もあり…。
その種の老舗の蕎麦屋でのんびり…というと、蕎麦屋好きには了解事でもある。その辺りの考えや、習慣にも慣れっ子になってしまっている私には、これはこれで驚く事ではないのだけれど、この日、私がいつも格別にゴージャスだと感じる御姉さま方(蕎麦屋と他の飲食店に区別のない普通の方々でもある)の言葉を聞いて、蕎麦屋でランチということについて、 “ゆったり…のんびりとした…”ということろで、どうも引っ掛かり、まさに…用途がちがうかもなぁ。認識が違うかぁ。雰囲気も違うと思った…さらにそれらの周辺のことをも、また改めていろいろと考えさせられた。ご案内する時の事前情報の流し方にも工夫が必要だったんだなぁ。
通称馬方蕎麦などと呼ばれた大盛りも売りにした蕎麦屋もあったのだから、昔から、蕎麦屋によってせいろの量も打ち方もいろいろなんだけれど、御姉さま方に分かって貰えただろうか。言葉足らずであったことを反省しつつも、私にとっては蕎麦屋って、本当に楽しい。いろいろあって皆いい。(あれっ?金子みすずのパクリでしょうかっ? いいえ、誰でも。)皆いいんだなぁ。
■住所中央区日本橋室町4-1-13砂場ビル■電話03-3241-4038■営業時間月〜金 11:30〜21:00(L.O.20:30)/土 11:30〜16:00(L.O.15:30)■定休日日・祝、※今年4月からは第3土曜も営業している■アクセスJR神田駅 徒歩4分/JR新日本橋駅 徒歩1分/銀座線 三越前駅 徒歩3分
う〜、砂場の天もりたべた〜い・・・・。
そうそう、7月末の大雨のときはご心配かけました。橋がおっこちただけです。2,3時間でユンボで仮の橋を仮設いたしました。いまは既に元にもどっています。
いつもコメント有難うございます。
>橋がおっこちただけです。
って…。大変っ!たいへん!
大雨、ほんとうに大変でしたね。
農作物の被害は、どうですか?
心より御見舞申し上げます。
今年はもぅ!自然の力、猛威に、悩まされます。
どうか、もぅ…平安な日本になりますように。