懐かしい都電に乗って大塚駅に降り立つ。山手線の駅なのに、あの池袋の隣の駅なのに、どこかのんびりとした駅舎。そこそこ土地勘は有るはずなのに、はて、駅から大塚「小倉庵」の方向にほとんど思い当たるものがないような気が。でも、まぁ〜駅から歩いて5分程度の近さなのだから、行けばなんとかなりますよ。
まだ残っている大塚三業通りなんて名前や、大塚「小倉庵」の少し手前の横丁にある有名な江戸前料理「なべ家」の風情や、名の知れた「鮨 高勢」、旦那衆が芸者さんと遊ぶ茶屋のある街並みに惑わされて、まるで昭和の花街に迷い込んだような…今流行りのハリボテ・昭和テーマパークでなく、本当にタイムスリップしてしまったような…お店までたった5分の道のりを楽しんだ。今という時代で、ひょっとすると何処かに置いてきてしまったような何かが、ここらに潜んでいるような不思議な気配のある通りだ。
そんな中にしっとりと溶け込んでいる大塚「小倉庵」。懐かしい町場の蕎麦屋さん風の構えで、中休み無しの通しの営業時間、信じられないほど良心的な値段設定。なおかつその上、自家製粉した手打ち蕎麦を出していると言うのだから、信じられない。でも、本当に本当なんだから、凄い。偉いっ!
■■蕎麦前
■■ 例によって呑んだのは、日本酒。
金婚1合¥400.-×2、黒龍・純米吟醸1合¥600.-、輝ら星の如く・きもと吟醸1合¥600.-。嬉しいことにそれぞれ半額で、ハーフサイズもOK.だという。だから一人で来ても、ちょっと一杯できるわけだ。この日は、山菜のお通し付き。他日本酒は、八海山 吟醸1合¥700.-もある。
さて、

おしんこ¥200.-
創業以来のぬか床で漬けているそうだ。
美味しい茄子の鮮やかな紫が素晴らしい。こんな風ないい塩梅のさっぱりとしたぬか漬けが大好きだ。それこそサラダ感覚で、パクパクと沢山食べてしまう。毎日毎食、食べたいくらい。

たたみ鰯と焼き海苔¥300.-
いいツマミだなぁ。パリッと焙ってあって、日本酒がすすむぅ。

だし巻き玉子¥500.-
胡麻油の風味と3種類の出汁を効かせて、返しの色が濃い目の仕上がり。

桜海老のかき揚げ¥300.-
香りの良い三つ葉が入って、サクッと。
粗塩でいただく。

にしん¥450.-
蕎麦屋で定番の肴。

あいやき¥600.-
濃厚な旨みのある合鴨を、ちょっと甘いタレで焼いてある。

サーモンを焙ったもの
表面をサッと焙った香ばしさも美味しい。
ラディッシュのシャキシャキとした食感もしっとりサーモンと、素敵な対比。
■■蕎麦
■■
基本的に蕎麦は、全て二八の手打ちだ。でもその他にも、生粉打ち¥600.-や、変わりそばもある。種物も豊富で、もっとも高い麺の品書きでも¥950.-までの驚きの価格設定。そして、大盛り(1.5倍)は¥150.-増し、特盛り(2倍)は、¥250.-増し。
2人で、日本酒4合飲んで+あれもこれも肴をつまんで+〆蕎麦2枚=5400円だ。あり得ない!ブログ記事に仕立てていても、夢か幻だったのじゃないかと、疑いたくもなる。だから、一度でも大塚「小倉庵」に足を運べば、皆さんに大声で、いや、お店の風情に似つかわしいそれなりに節度ある音量で、しっとりと宣伝したくなる気持ちを、分かってもらえると思う。
■■おまけ「週刊現代」
■■ 『週刊現代』2010年9月25日号、連載企画「今週のうまいもの番付」第55回〜サクッと揚げた海老天に舌鼓 天ぷらそばの名店〜に、辛口グルメ評論家J.C.オカザワ(ジェイシー・オカザワ)氏が、種物の筆頭として天ぷらそばを取り上げ、その珠玉の名店10店を挙げた。
記事の詳細内容は、ご紹介できないけれど、順は以下。
■ 横 綱
田原町「尾張屋本店」
淡路町「神田・まつや」
■ 大 関






住吉「さらしな遊山」
■ 関 脇
新小岩「旭庵手打ちそば店」
■ 小 結
根津「よし房 凛」
浅草「大三」
■ 前 頭
神保町「桂庵」水道橋店
銀座「泰明庵」
浅草「ねぎどん」
大塚「小倉庵」がこの記事で、居並ぶ有名店にも劣らぬ絶賛を得た事を、我々江戸ソバリエも、飛びあがって喜んだことは言うまでもない。
■住所東京都豊島区南大塚1-42-8■電話03- 3941-8230■定休日日■営業時間11:30〜20:30■アクセスJR山手線 大塚駅南口 徒歩5分 ※お申し出により、手打ち蕎麦体験できるそうです。江戸ソバリエ認定の店(Edo Sobalier Friendly Shop)


ココも勉強になりますねえ。
家ではざるそばですが・・・600円です。
たしかに、都会では安いですねえ?
お客様の回転がよろしいんでしょうか?
気になります。
そして懐かしい町並み・・・。益々興味がそそられます。
いつもコメント有難うございます。
>気になります。
>そして懐かしい町並み・・・。益々興味がそそられます。
その内是非、どうぞ。
ご主人も、花番さん(たぶんお母様と奥様?)も、素敵な方です。
そんな、お店、ホントは人に教えたくないのですが・・・。
落ち着いた店内は、まさに憩える蕎麦屋。
ご店主は、私たち江戸ソバリエ第7期の同期生。みんなで応援のお店。応援すると言っても、週刊現代で都内有数の美味しい蕎麦店としてランキングされている程。確実に知名度は上がっています。
いつもコメント有難うございます。
>ホントは人に教えたくないのですが・・・。
>みんなで応援のお店。
本当にそうですね。
天然記念物のような…人に知らせず大切にとっておきたい…貴重なお店だと思いました。
そして、ご主人のお人柄もあって、心から応援したくなるお店でもありますね。
だからつい、内緒にしておくことができず
ブログ記事にして、公開してしまいましたぁ。
>ご店主は、私たち江戸ソバリエ第7期の同期生。
7期の方々にも、愛されるお店でしょう。
同期に素敵なお店があるのは、誉れでもありますね。