2010年11月22日

駒込「玉江」

 一日一組のみを限定的に受け入れる店であるから、予約受付してもらっても、1〜2年先に順番が回ってくるような処である。前回伺って、次は是非、夜ゆっくり蕎麦前からコースで…と切望してはいたが、その実、なかなか機会は巡ってこないのかなぁ、とも思っていた。


 そんな私に、こちらで集まりを予定していたT先生が「よかったら、どうぞ。」と、お声掛けくださった。私のような半端者が、大切な集まりにご一緒させて頂いて良いのか…と、少々怖気たのだが、「蕎麦の集まりだし、大丈夫ですよ。よかったら。」と優しい笑顔でかえして下さったので、お言葉に甘えてしまうことに。 


蕎麦前
まず、店主Nさんが出ていらして、「部屋の冷蔵庫の中にある酒を、自由に選んで飲んでください」と言う。空き瓶を数えて、それを酒代とするからと。料金表を見ると、普通の酒屋さんで買うよりも安い値段のようだ。はて、どうなっているの???と思っていると、あっという間に背後で、ビール(ハートランドとキリン一番搾り)の栓が、ポンポンポン ポンポンポンと開く音がする。



 四の五の言わずに、まず乾杯というわけだ。よぉ〜〜く冷えた錫のカップに、これまた良く冷えたハートランドをなみなみと注ぎ、初めて御目にかかる皆さまにも、グラスを合わせていただいた。段位認定で、この度4段になった方の嬉しいニュースも聞け、ムードはすっかり祝い酒。


テーブルには、日付と名前を入れた本日の「御献立」が用意されていた。この蕎麦づくしのコースは、5,500円/1人(税込み・酒代別)。店内を独占し、ご主人を独占し、秘密の場所でゆっくりと蕎麦づくしの値段としては、お得感がある。



一、焼きみそ

一口舐めて「あぁ〜美味しい」とニンマリし…気が付いたら、もぅ全てお腹の中に。あぁ〜だから、写真がない。
杓文字の上で、こんがり香ばしく焼き色のつけられたそれは、仄かな甘みの西京味噌ベース。薄緑色をした丸抜きの粒々が美しく、ほんのり柚子の香り。


101110駒込「玉江」そばサラダ.jpg
二.そばサラダ

「下からグルッと混ぜてから召し上がってください。」と、供された大皿には、ソバ スプラウトの赤い茎・緑の葉、晒した真っ白な玉ねぎが鮮やかで、サクサクっとした揚げ蕎麦の食感との対比も楽しい。


   



駒込「玉江」焙りわかめ&ほいろ.jpg
三、焙炉(板わかめ)

 
前回頂いて、すっかりこれに嵌ってしまった私は、この板わかめそっくりの物を日本橋島根館(アンテナショップ)でチラリと目にした事を思い出し、即 飛んで行った。その晩、夫に自慢顔で出してみたのだが、何故かほんのちょっと微妙〜〜に違っていた。理由はこの焙炉にあると直ぐに思い当たる。ほんのり温まりパリッパリになって、美味しさが倍増するのだ。この大きな焙炉は、根津「鷹匠」にもある。そしてなんと、T先生のお宅にもあるそうだ。
潮の香り、少し厚めでパリッと砕ける食感、海藻の持つ旨みがじんわり。

 うぅ〜日本酒に合うぅ〜〜っ。
と思ったいたら、あれ?いつの間にか、出羽桜・純米「一耕」、久保田「千寿」、八海山・本醸造「なんだったけ?」の瓶がドドドンと開けられて、冷蔵庫の横に空き瓶が並んでいるではないかっ。み・み・皆さん…凄いのである。


駒込「玉江」そばクレープ .jpg
四、そばクレープ

これは前回もついつい手が伸びて、パクパクと皆があっという間に平らげてしまったものだ。北京ダック風に、そばのクレープで具材を包み込んで食べる。美味しい肉味噌がポイントである。ボリュームもあるし、それぞれの食感も楽しめるし、自分なりに包むのも楽しいし、ちょっとした集まりの時用に是非真似たい品書きだ。



 

101110駒込「玉江」早そば.jpg 

五、早そば

 麺の形の蕎麦切りに仕立てられない忙しい時には、ちゃちゃっと蕎麦掻きを作って、汁を掛けて食べる。信州の「早そば」が有名であるが、ソバの採れる地方では、違う呼び名であってもどこにも似たような郷土料理がある。その季節その季節できのこ類を入れたり…直ぐに作れる身近な食材で、バラエティー豊かに食べられる。
 こちらのお店では、細切りの大根 山葵 青ねぎ 刻みのり。


  101110駒込「玉江」鴨の南蛮漬け.jpg


六、鴨の南蛮漬け

 鴨には、やっぱり葱。少し酸味のある漬け汁が、お酒のあてにも良い。この一皿は、4人前。


 



101110駒込「玉江」そば法度.jpg
七、そば法度

 そば法度には、その名の由来が諸説あって、共通するのは“特別な美味しい食べ物で、日常食ではないぞ”というところ。この日ご店主に説明して頂いたのは、南部藩のお殿様が、その美味しさに、「こんな贅沢なものを庶民が食べるのは、けしからん」と御法度にしたということ。

こちらのお店では、幅広の短冊状に切った蕎麦帯と、大根 人参 シメジや里芋などを優しく煮てお汁でいただくもの。ほぉ〜〜っ、とため息がでるような優しいお味。

似たような「法度」呼び名のでてくるソバ料理のことを、ある日のたけじんさんは、このブログにこう書いている〜〜パンフレットの一品に,はっと気になるそば餅「はっと」なるものがあった。メニューにはなかったが,注文すると作ってくれた。パンフレットによると「はっとは,そば粉とモチ米粉を混ぜ,こねて練り,じゅうねん(荏胡麻やきな粉)をまぶしたもの,そのおいしさから,普段は「法度」,振る舞いの日だけは料理をしても良いことからきている名称らしい。〜〜





101110駒込「玉江」蕎麦掻き揚げ.jpg
 八、そば掻き揚げ

蕎麦掻きを、スプーンですくって油に落とし、カラッと揚げたものに、大根おろしをたっぷりと添え、2種類の葱を散らしてある。ちょっとお汁を掛けていただく。
とっても美味しくって、家でも作ってみたい一品だ。「熱い熱い、ハフハフ、アクイ…」と言いながら、皆で揚げる前の蕎麦掻きの柔らかさ具合を話題にする。


  101110駒込「玉江」なすのそばみそ掛.jpg


九、なすのそばみそ掛

茄子と味噌の相性は、抜群。ソバの抜き身をトッピングしたところが、蕎麦屋の肴。



 




蕎麦



 

十、せいろそば 二種二枚
  (北海道産ほろみのり・新潟魚沼産とよむすめ)

この日集まったメンバーが、そのぉ何と言うか…つまり、蕎麦打ちの大御所が何人もいる訳だから、それで、ご店主ともその関係で、もぅずぅ〜〜〜と前から顔なじみの方々の集まりなものだから、ご店主の蕎麦に対する説明も、いきなりとてもマニアックなものになる。

駒込「玉江」せいろ.JPG普通だったら恐らく、「次は、〆蕎麦です」くらいで出せば良いのだろうが、どこどこの誰さんが、○○さん由来で○○品種をあんな風に育てて、だからこれこれこんな風に挽いて、○○メッシュで、こうやった。で、あ〜してこ〜して、今回はこう打った。などと、玄ソバを手に取りながら、皆で顔を突き合わせて云々する。

 

力不足ながらも今日の会に、おまけのように混ぜて貰った私にとっては、とても楽しく勉強になるのだけれど、ブログ記事にする為にフッと冷静になり後から考えると、ちょっと特別な風景だったかも。



どちらの品種も細打ち。
薬味は、ねぎと大根おろし。そして、辛汁と藻塩。


 


駒込「玉江」レモンリキュールジュレ.jpg
十一、デザート

前回も頂いたレモンリキュール・ジュレ。爽やかなレモンの酸味とほんのり苦味のあるジュレに、韃靼ソバの実がパラパラっとトッピングされている。お腹一杯でも、この爽やかさに…「美味しいっ!さっぱりするぅ。」「別腹ぁ〜。」と、皆さん最後まで残分に楽しんだ。

 ごちそうさまでした。
そして、皆さま、お邪魔しました。



■住所文京区本駒込5-34-6 ■電話そば工房03-5814-0955/予約専用03-5814-0977/事務局03-3828-0654 ■営業時間は、完全予約制である為に、概ねお昼の時間〜夜の時間までをご相談にて。■定休日不定 ■アクセスJR駒込駅 東口 徒歩9分、東京メトロ南北線 駒込駅 徒歩10

■蕎麦打ち体験教室完全予約制  材料費共3500
二八のそばを5人分打って持ち帰り。試食もできる。

■手打ち蕎麦用具販売 こね鉢 麺棒 のし板 小間板 切り板 包丁 ブラシ その他 オリジナル製品を製作。特に麺棒は、吟味した木材を十分に天然乾燥をして加工したものを取りそろえている。


   次項有ブログ内、前回2010年10月6記事



posted by 笑門来福 at 15:20| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 文京・墨田・台東区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
明日、いっちゃいます。
最近、蕎麦食べすぎで太りました。
今場所は大関人に混ざりかなり活躍していると思います???????????????????

あ〜、蕎麦食うぞ〜。
Posted by iwana at 2010年11月22日 19:11
iwanaさま

いつもコメント有難うございます。

>今場所は大関人に混ざり…
えっ?iwanaさまも、ついに煩悩を捨てて、
太っ…じゃなかった、食いしん坊の道へ?
熱烈歓迎いたします。

今日はどうぞよろしくお願いします。
あっ、もぅ、家を出発しちゃいましたね?
返信コメント遅くて、失礼しました。
Posted by 笑門来福 at 2010年11月23日 11:07
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