2010年10月24日

長野上田「おお西」

38歳から蕎麦の道に入ったご主人大西利光さんは、20余年前に世田谷の蕎麦屋をたたみ、蕎麦の本場信州に店舗を移した。この度念願かなって、発芽蕎麦や水捏ね更科生一本で超有名なこちらへ、江戸ソバリエ仲間と伺う。


情緒ある蔵が続く美しい街並みの中、白壁に格子窓の「おお西」があった。江戸時代から続く名家が、生糸問屋として使っていた建物を、店主が惚れ込んで蕎麦店舗に改装したものである。何故か兵馬俑?が立っている表から、暖簾の掛った格子戸をくぐると、すぐ右手に広々とした蕎麦打ち場があり、左手土間にテーブル席、奥にも座敷が見える。どっしりとした太い梁に、開け放たれた庭に続く空間、広ぉ〜い。


天麩羅&蕎麦掻き焼き
  品書きを眺めると…まず、予備知識の無かった“蕎麦掻き焼き”がとても気になった。蕎麦掻きの“焼き”は初めてのような気がする。同行者の中で「おお西」初訪者は、私と…あとは少なかったのだが…あちらこちらで口ぐちに「焼き…!?!」と呟くのが聞こえたので、皆、同じように興味をもったのであろう。新しいメニューなのか??
101011上田「おお西」蕎麦掻き焼き.jpg



焼いた焦げ色はなく灰白色の外側は、固〜くガッチリと焼き固められていた。中も…わりに固め。少し酸味のある味噌でいただく。





101011上田「おお西」朝鮮人参天麩羅.jpgそして信州の特産品高麗人参が、天麩羅になったものも食べてみた。
柔らかめの牛蒡のような歯ごたえ。薬草のような匂い、ほろ苦さもあってやはり体に良さそうな味。お疲れの方には、沢山食べて頂こう。
品書きの飲み物の欄に「果実酒」があったので、高麗人参酒か?それともハチミツ漬け?なのか、座敷の隅に高麗人参の入った液体の瓶が並んでいた。

101011上田「おお西」舞茸天麩羅.jpg
そして、舞茸の天麩羅
流石、秋の信州っ! 香り 歯ごたえ、文句なく美味しい。思わず「もぅ一皿お願いしますっ」となった。天麩羅はどちらも天つゆでなく、塩で。








蕎麦5
  いよいよ蕎麦である。いよいよいよいよっ!!だ。
この日はいろいろな蕎麦を食べてみたいということで、5種類の生粉打ち(10割)蕎麦を、皆でシェア。どんな順番に食べてほしいというお店の意向はないようで、オーダーした蕎麦は、全種類ほとんど同時にドドドドドと出てきた。


 

だから皆、手当たり次第 箸をのばして

1種類目 更科そば 
もぅ〜〜何年も何年も前に、この“水捏ねのさらしな生粉打ち蕎麦”を、(多分?)最初に打った大西利光さんの記事を読んだ記憶があり、添えられた写真にプラスチックの下敷き状のものが何枚も写っていた。腫れものに触るように、このプラ下敷きで粉を扱い、見事麺に仕立てるのである。

それを今日この日いただけると思った!ら…なんとも残念なことに、水捏の更科は、1鉢単位(4人前)の予約をしないと食べられない。同様にそば会席、そば寿司、変わりそばなども予約が必要だそうだ。こちらで修業した方から聞いたところでは、この水捏ね更科の予約注文は、そう頻繁に入らないそうである。

※水捏の更科についての詳細は、ブログ内 西麻布「祈年 手打茶寮」の記事を読んでいただければ幸いです。
101011上田「おお西」更科.jpg

ということで、この日は湯捏ねの更科生粉打ち(10割)だ。
透明感のある輝くように真っ白な細打ちの更科は、しっかりと長さも十分。品の良い更科の仄かな甘みが感じられた。







2種類目 発芽そば切り 
こちらのお店で、特許及び商標登録出願中の発芽そば切りは、ソバの実をほんの少し発芽させてから麺にする。もともとソバは、豊富な栄養を持った健康食品であるが、発芽させることにより更に栄養価も増すという。
お店のHPに、「発芽そばのできるまで」というページがあり、手順・レシピも公開している。説明書きによれば、発芽期に発生する糖化酵素による甘みの増加、餅のような食感、独特のぬめりが特徴だ。
101011上田「おお西」発芽そば.jpg




ややもっちりとした麺で、気になるほどのヌメリは感じない。独特の風味が濃く、私は好きだ。







3種類目 挽きぐるみそば
 
101011上田「おお西」挽きぐるみ.jpg



“甘皮をとったソバの実を、摺り臼で挽いたソバの粉で打った蕎麦”とHPにある。丸のまま、直球勝負でソバそのものの風味を感じたい蕎麦だ。今回同行のソバ打ち仲間は、普段、粗挽きの挽きぐるみを好む傾向にあるメンバーではある。


 


  

4種類目 田舎そば
 
101011上田「おお西」田舎.jpg



黒茶褐色のそれは、この日いただいた5種類の蕎麦で最も細打ちである。
   










5種類目 四季そば
 
101011上田「おお西」四季そば山椒.jpg



この日の四季そばは、山椒切り。一般的に更科粉は、変わり蕎麦として使われる事が多いので、その教科書通りのオーソドックスな使い方。爽やかな山椒の香りで、女性陣一番人気。
  










酒蔵や味噌屋さん、お洒落なパン屋さんや雑貨屋さん、柳町
保命水の周辺を散策する人も多く、美しい観光地だ。創造的なご主人大西利光さんの名前も轟いているし、伺ったのが連休の最終日ということで、店内は混雑していた。だから、オーダーの時でさえも、お店の方と必要以上にお話する機会はなかったが、長野の県民性が現れているのか?入れ替わりやってくる花番さん(地元の主婦?お嬢さん方?)が、皆しっとりほのぼのしていて優しい雰囲気の接客だった。 



■住所長野県上田市中央4-9-8■電話0268-24-5381■営業時間11:0018:00(蕎麦がなくなり次第閉店)■定休日不定休■アクセスJRしなの鉄道上田電鉄別所線 などの上田駅から1.2km北。北国街道を徒歩15分。柳町保命水の手前隣。


          次項有お店のHP 

日本経済新聞に掲載された発芽蕎麦の通信販売
詳細もこちら↑のお店HPにあります。
※通販の発芽蕎麦は、冷凍で9割蕎麦
posted by 笑門来福 at 10:36| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | ⇒長野・新潟・山梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
く〜、美味いだろうなあ????
今日、午前中で蕎麦収穫作業終了。
蕎麦は60キロ以上できました。

蕎麦食べて〜。
天麩羅食べて〜。
Posted by iwana at 2010年10月24日 17:04
追加でコメントです。
あ〜、「おお西」も行きたいです。
だって、写真だけでも美味しそうなんだもの・・・。
Posted by iwana at 2010年10月25日 06:59
iwana さま

おはようございます。
いつもコメント有難うございます。

この時は、蕎麦が一挙に運ばれてきて
同行の10人が色めき立ったので、その皆さんが箸をつける前に
なんとか素早く写真を撮ってしまおうと、焦りました。
いつも上手な写真を撮れませんが、こんな時には殊更、ぶれたり…お恥ずかしい限りです。
それでも、こんな風に言ってくださるなんてm(_"_)m
本当に有難うございます。

Posted by 笑門来福 at 2010年10月25日 09:11
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