気持ちの良い高い秋の空、乾いた空気、ぐんぐん遠くまで歩けそうな気分。よぉ〜〜しっ!ということで、運動靴を履いて出掛ける。勢い込んでお店に到着したが、例によって例の如く店の前には行列があった。待つ事10分、これじゃぁ〜“粗挽き”は…もぅ…だろうなぁ。
■■蕎麦前
■■ 取り合えず、ハートランドビール¥650.-。お通しに、ほんのり塩味の蕎麦チップス。
そして、鴨焼き(バルサミコ酢)¥1200.-をお願いした。
紫蘇の散った大根おろしが添えられ、肉厚でジューシーな鴨としし唐の辛味、香ばしく焼かれたねぎが、ビールにもよく合う。
なごり雪(ざる豆腐)¥650.-は、風味の濃いしっかりとした、それでいてクリーミーな滑らかさのある豆腐。
塩や、紫蘇(エゴマ)オイルと醤油で頂くようになっている。うぅ〜〜ん美味しい。こりゃぁ〜やっぱり日本酒が欲しくなる。すぐに、松の司(滋賀・特別本醸造)\900.-、米鶴かっぱ(山形・限定特別純米超辛口)\900.-、Jソガ・ソガペールエフィス(長野・純米吟醸生酒 美山錦)¥1350.-を、トントントンといただくことに。日本酒には、美味しいちりめん山椒と塩が添えられた。(結局?結果的に?沢山飲んだので?ちりめん山椒のおかわりも下さり・・・\(^o^)/美味し嬉し。)
にしん¥1100.-
■■蕎麦と薬味
■■
目当ての「粗挽き蕎麦」は、1日限定12食。この日は順番待ちノートに記帳された人数が、私の前でも12人をはるかに超していたので・・・、席に着くや否ややはり「粗挽き、終わりました」と花番さんの声を聞く。まぁ〜これは店に着いてすぐの様子からして、想定の範囲内。ところが続けて「今日は、お天気もよく、いろいろ早めに終わってしまったので…」という。このいろいろって、粗挽きと何?と何?だろう。これが、まだ午後1時になったばかりの言葉だっ!まったくもって凄いなぁ。
ということで、必然的に「せいろ」\950.-である。
蕎麦の甘みがしっかりと感じられる風味の濃い細打ち。とにかく素材の存在感が凄い。そして、アーティスティックなせいろの薬味。見ての通り、ねぎの切り方が普通と違う。
銀色に鈍く光る器は、「竹やぶ」の阿部孝雄さんの作品を思い出させ、勝手な想像として、竹やぶ→吟八亭→日曜庵の師弟図式が浮かぶ。
テーブルまで来てくださったご主人は、黒姫や水府などの契約農家で、手刈り天日干しした2.5トンの玄ソバを、真空低温(5度)保存する貯蔵場所を確保するために、嬉々としてご自宅の庭を潰した人だ。「玄ソバをきっちりと管理し、2年ほど熟成させることで、ソバ本来の甘みや旨みが前にでてくる」と説明してくださった。当然、この日いただいた「せいろ」も2008年度産のもので、この熟成貯蔵を経てから、やっと店の蕎麦として日のめを見たものだ。
■■蕎麦湯
■■ この蕎麦湯は、これで“一品”になりそうなくらいのもの。どろぉ〜っと、しっかり濃厚、つぶつぶ有りで、作り込んである。
忙しいだろうにそれでも、厨房からちょくちょく出てきて気軽に蕎麦談義してくださるご主人は、更に資料や写真を見せて下さった。パラパラとめくって見ただけでも、蕎麦関連の水の硬度について、石臼挽きとロール挽きのソバ粉の顕微鏡写真、自家製寒晒しソバの工程記録写真…とにかく、あれもこれも、どれもそれも、多義にわたるソバそのもの、あるいはソバ周辺の事柄が盛りこんであるファイルだった。やっぱり蕎麦に魅入られてのめり込むと、こういう事がどうしても知りたくなっちゃうんだなぁ。不肖笑門来福、まだほんの入り口ではありますが、同じ蕎麦に嵌る者として、その気持ち、よぉ〜〜く分かりますです。はい。
白状すれば、お店に伺う前は「営業日を増やしてくれればいいのにぃ〜」と失礼ながらほんの少し思っていた。この日「最初の7〜8年は、ひたすら食べ歩きましたよ」と仰ったご店主が、修業した店などの噂は聞いていたけれど、それらを経験し、更に自分で研鑽研究した結果、現在のお店の蕎麦の形があるんだなぁと納得した。各工程ともとても手間の掛る、言うなればスペシャル自家製粉に週の前半を費やすから、金・土・日が営業日というのも、致し方ない頷ける営業形態なのかもしれない。
お店の建物や設え、漆器具・細く繊細で蕎麦の感触を堪能できる箸や小皿にいたるまで、すべてご主人が吟味し、或いはデザインしたという。女性にも蕎麦を楽しんでもらえるよう意識して作った“というだけあって、シンプルでいながら、細部までお洒落で素敵だ。次回は、もっと朝早くの到着をめざし、女性同士のランチと洒落こむことにしよう〜っと。
■■おまけ・・・
■■ 帝釈天のざる蕎麦?
この日は、「日曜庵」すぐ横の柴又「帝釈天」へも、お参りに行ってきた。あっ、それそれ、あのぉ…ほれ、“矢切の〜ぉ♪渡ぁしぃ〜♪”も・・・ね。
こうして腹ごなしにいろいろ見て回った中に、面白いものを発見。それは、参道を抜け、二天門から帝釈天に入って正面の「帝釈堂」と「本堂」を結ぶ渡り廊下にあった彫刻だ。
なんでも帝釈天のみどころの一つは彫刻で、特に、帝釈堂内陣の外側にある十枚の胴羽目彫刻は、仏教経典の中でも最も有名な「法華経」の説話を彫刻したものらしく、関東大震災に遭って一旦は彫刻材を焼失したものの、大きな欅(1枚板の大きさは、ふすま大)をなんとか調達し、大正末期より昭和九年に至る十数年の歳月を費して完成したと解説されていた。のだが…。
解説とちがう場所のこれ↑が、何なのかの説明は、見つけられなかった。でも・・・面白くって・・・気になって・・・。私には、男性二人が向かい合って、燗酒&蕎麦をやりつつ話こんでいるように見えるぅ。もてなす側の男性のざるは既に空になり、竹の網目が彫り込んで・・・あるように見えた。客人方の蕎麦?は、まだたっぷりと残って、右側の女性は「さてもぅ、熱いお茶を入れたものかどうかなぁ」と、ニコニコしつつ話を聞いているようなぁ…。ということで、想像力の逞しい私が勝手に作話暴走しそうなので・・・この彫刻についてご存知の方、誰か教えてくださいませ。
■その他参考
柴又帝釈天・大客殿は(※1)東京都選定歴史的建造物(選定番号48)に指定される。題経寺諸堂内及び二天門の建築装飾彫刻は、葛飾区の登録文化財となっている。
東京都選定歴史的建造物とは、東京都景観条例に基づいて選定される建造物で、建築後50年を経過した歴史的価値を有する建造物(ただし文化財は除く)で、景観上重要なものを選定しており、建築当時の状態で保存されていること、外観が容易に確認できること、も基準になっている。神田「まつや」(選定番号41)や「かんだやぶそば」(選定番号39)など、須田町にある界隈の名店も選定されている。
ブログ内 神田「まつや」東京都選定歴史的建造物のくだり・・・記事へ
ブログ内 神田「やぶそば」東京都選定歴史的建造物のうだり…記事へ
■住所葛飾区柴又7-13-2 ■電話03-5668-0084 ■営業日金・土・日・祝 ■営業時間11:30〜18:00(売り切れ仕舞い) ■アクセス京成金町線「柴又駅」下車徒歩5分。北総公団線「新柴又駅」下車徒歩15分。JR小岩駅より京成バス(金町行)に乗り20分程、「柴又帝釈天」下車徒歩3分。
JR金町駅より京成バス(小岩行)に乗り10分程、「柴又帝釈天」下車2分。目標となる柴又帝釈天裏の駐車場から、道を渡った路地2軒目。
2010年10月03日
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蕎麦は食べることも大好き。インスタントの蕎麦から手打ち、生粉打ち蕎麦まで・・・
興味が尽きません。
でねえ〜、11月後半に東京へ遊びに行きます。
更科蕎麦を堪能したいのです。
よろしくお願いいたします。
築地市場にも行きます。
いつもコメント有難うございます。
>更科蕎麦を堪能したいのです。
おぉ〜〜〜っ!そうですかっ\(^o^)/いいですねっ!
このコメントを読んだだけで、思わずお腹が空いてきました。
コメント有難うございます。
>鴨焼きがすごく美味しそう><
はい。すごく美味しかったですよぉ。
鴨肉を食べ終わっても、ねぎやしし唐を食べ終わっても
まだもっと食べたくて、未練たらしく?
鉄器に残った鴨の油&バルサミコ酢を下げて欲しくなかった程…です。
なかなか お店には行かれないでいるのです。
そして 勉強不足で・・・熟成蕎麦ね〜・・・ 玄そばで熟成・・・ いろいろな お蕎麦屋さんがありますね。
いつも大変お世話になっております。
本当にいろいろなお蕎麦屋さんがありますね。
ね、ね、ほんとうにそうですね。
皆さん日々ソバの事を考え研究し、
努力して美味しい蕎麦を打っていらっしゃいますね。
それを、つるつるっと手繰れる。
有難いし、しあわせです。