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■2006年9月にオープンした「あめこや」は、豪徳寺の駅から山下商店街に入り徒歩3分の立地。初めて訪れる人は、ここを直ぐには蕎麦屋と分からないのではないだろうか?「あめこや」の外見は、どうみたって蕎麦屋というよりほのぼの系珈琲屋さんである。
お洒落で可愛らしい木枠ガラスごしに見える57平米の店内は、カウンターを混ぜても全部で20席ほど。この日は、その殆どを(除く我々)女性客が埋めていた。オープン一年ほどで自家製粉に切り替え、その時々にいろいろな産地のソバを提供している。この蕎麦の味は勿論のこと、ちょっと気の利いた創作肴と美味しいお酒(特に濃淳な日本酒!)、そして珈琲をゆったりと楽しめる店として評判だ。
「AMECOYA Blog」によれば、素敵な店の名前の由来は、〜〜お店の壁は檜でできているのですが、木が年月が経って飴色に変わっていくように、私達のお店もじっくり飴色になるといいなぁという願いを込めて。最初は”あめいろや”にしようかと思っていたのですが、もう少し抽象的で色んな意味に取れるように”あめこや”という言葉をつくってみました。〜〜そしてまた、珈琲をだしているこちらの店らしく〜〜豆 + 粉(コーヒー豆と蕎麦粉) まめこな→→あめこや ってちょっと響きが似てませんか??2重にも3重にもイメージが膨らむよう 名づけた店名でもあります。〜〜ともあり、また同じような事がかかれているお店でいただいた「あめこやの店名の由来」にBとしてあげられているのが、豪徳寺の招き猫伝説を聞いて(井伊直孝が猫により寺の門内に導かれて雷の何を逃れたという伝説)「雨小屋」みたいなイメージも重ねた。〜〜と有った。こんな風に店名からして、若い夫婦が、一つずつ紡いでいく手作り感、温もりを感じるお店だ。
この豪徳寺の伝説の事を、もっと知りたい人は、招福猫児の由来 へどうぞ。
↑あれ?笑門来福と親戚みたいな名前だなぁ。
■■蕎麦前
■厨房を守る若いご主人は、懐石料理の修業を積んでおり、またご実家が、福島県双葉郡浪江町で100年以上続く酒蔵だということで、女将ともども日本酒に精通している。そんなことで、入れ替わり立ち替わり店に置かれる日本酒のラインナップが楽しく、蕎麦前がこれほどまでに充実しているのも、当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。
だから、肴にいろいろ食べたい人は「おまかせのコース・3000円より」がお勧めだったそうなのだが…、我々は「出汁巻き玉子など幾種類かの料理は、数量限定です。」と聞いた途端、その奥久慈の新鮮な玉子3ヶを使った出汁巻き玉子・900円や、ゴーヤと鰻のだし巻き玉子・1200円などに先に目が眩んでしまい、慌てて注文。数量限定ものをアラカルトであれこれと気ままに。
まず、生ビール。
お通しには、可愛らしい盛り付けのだだ茶豆。
(あっ、写真がない。)
ゴーヤと鰻のだし巻き玉子・1200円
薄くスライスしたゴーヤの歯ごたえも楽しく美味しい。
出汁巻き玉子の写真を撮り忘れましたぁ。鮮やかな黄色の甘〜い優しい出汁巻きでしたぁ。
鳳凰美田 栃木(愛山・山廃特別純米生酒)800円。「AMECOYA Blog」によれば、もうはっきり言って、最高!素晴らしい!個人的に星5つ!山廃特有のクセは一切感じさせず、お米のやさしい〜〜旨みと甘みの溶け合った、エレガントな味わいを優雅に楽しめる、美酒降臨!ということだし、「私は栃木出身で、お勧めの酒は、コレです。」との元気なお言葉に従って、これをチョイス。
次なる日本酒は、田酒にいた辻村勝俊杜氏が岩手県宮古市で醸した、菱屋。
幾種類かのお酒をお願いすると、酒器に小さな附箋を付けて酒名がわかるようにしてくれる心遣いが嬉しい。徳島産岩牡蠣 800円/1個
のこり3個と言われて急いで買い占め?る。
もしかしたら全員に行きわたらないだろうと、箸を持って構える我々の迫力から察して?それぞれ半分に、ご主人が包丁を入れておいてくださった。
大〜きな岩牡蠣だったので、半分でも満足。ええぇ…良識を持ったいい大人として、ちゃんと譲り合って(牽制しあって?)仲良く頂きましたとも。
ダッタン蕎麦の実入り ポテトサラダ 450円
食べるラー油で味付けされた、ちょっとボリューム感のある味のポテトサラダだ。
■■蕎麦と蕎麦汁、そして薬味
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2種もり十割そば900円は、とてもお得感があった。どちらも吟味された美味しい十割蕎麦が、総量としてだいたい1.5人前位の分量。
最初にでた大野産(在来種)の方は、少しモチモチとした感じでのど越しに粘りがあり、優しい旨みの乗った蕎麦だ。2枚目の益子産(常陸秋ソバ)の元気で豊かな香りには、思わず「旨っ!」と言ってしまう。細打ちで申し分のない丁寧な仕上がり。供される順序も、納得。♪す・ば・ら・し・い〜、幸せっ♪
一枚目 福井・大野産(在来種)
2枚目 栃木・益子町産(常陸秋ソバ)
2種もりの辛汁は、蕎麦屋の辛汁というよりは、和食系の穏やかな辛汁だ。少し前の情報だが、出汁は鹿枕崎の鰹節・利尻昆布・椎茸の“じく”を使っているらしい。薬味は、きっちり晒した ねぎ のみ。山葵は、注文時にお願いすると別料金(20円)で出してもらえる。
(冷)青さべっこう海苔そば 900円
べっこう海苔入りの熱いお汁に、蕎麦をつけていただく。Tさまが、いかにも嬉しそうな顔で黙々と手繰る姿が、目に焼きついてしまった。
あっ〜、辛み大根そば900円の写真を、撮り忘れた。残念。
そして、タイミングよく出てきた蕎麦湯は、しっかり作り込んだトロ〜〜り濃度の濃いものであった。
満足ぅ〜〜ごちそうさまでした。
■■雑感
■度々通っている石臼の会Tさまが、お店の人気の秘密を「開店前にあの打ち場で蕎麦を打っている様子を、何回も店の外から拝見しましたが、決して流麗な蕎麦打ちではないけれども、とても丁寧に打っているのが印象的で、「あめこや」の蕎麦の美味しさは、厳選されたソバだけではなく、全てに亘る丁寧な仕事が源ではないか」と、教えてくれた。
蕎麦好きに愛されているいくつもの手打ちのお店と、交流したりお互いにお店を訪れて食べ歩いてみたり、勉強し合っているのを漏れ聞いている。いろいろなアートや音楽、素敵なお店や食材、蕎麦や蕎麦前、運営の仕方など、あちこちにアンテナを延ばして吸収し、そして自分達の形にして表現しているのだ。
ということで、この日ご一緒したNPO法人アジア麻薬・貧困撲滅協会「ソバ プロジェクト」の方が、ご店主にのミャンマーのソバの話をチラっとしたら、研究熱心なご主人が、興味を持って下さった。今までも日本全国のいろいろな産地のお蕎麦を打っているし、もともと産地の違いを受け入れ楽しむ用意ができているようだ。若いに似合わず?(若いからこそ?)とても頼もしい打ち手ぶりに、ほれぼれ。お店の支持者が増えるわけだなぁ〜と、納得する。近所にあったら間違いなく、その「日本酒+蕎麦」に嵌り込み、通ってしまう危ないっ!店だ。
そしてそれから、大繁盛のお店を切り盛りする若い元気な女将のご実家は、お寿司屋さんだそうだ。なるほどぉ、気持ちの良い積極的な接客ができるように生まれついているのか。前出のNPO法人アジア麻薬・貧困撲滅協会「ソバ プロジェクト」の活動を広げたい同行者が、盛んに「あぁ〜仲間にスカウトしたい」と漏らすが、そうもゆくまい。ともあれ、大繁盛、少人数(店主ご夫妻+α)で商っているから、予約だけでもぅ〜いっぱいいっぱい、満席になる日もしばしば。訪問の予定が決まっていれば、早めの予約をお勧めする。団体は、最大8名までとのこと。
■■麻薬・貧困撲滅
■NPO法人アジア麻薬・貧困撲滅協会「ソバ プロジェクト」のことを、別建てのページにチラリとご紹介する。我々ソバ好きにも、できることがありそうだ。是非是非、こちらの記事と合わせて読んで頂ければ幸いだ。
ブログ内NPO法人「アジア麻薬・貧困撲滅協会」記事へ
■住所 世田谷区豪徳寺1-46-14海倖マンション1F ■電話 03-3439-3602 ■営業時間 17:00〜23:00 ※土日(除く祝日)限定でランチ営業中12:00〜14:30(ラストオーダーは14時まで)蕎麦売り切れしだい閉店 ■定休日 月曜日・第一火曜日 ■アクセス 小田急小田原線豪徳寺駅 徒歩3分/東急世田谷線 山下駅 徒歩4分
お店のHP
※団体さん予約・混雑状況が、チェックできる。
お店のブログ
※いつでもこのブログの右側「気になるお蕎麦屋さんのブログ→AMECOYA Blog」からリンクがつながっている。マメに日本酒の入荷状況が更新されており、便利。番長?の元気な文章も面白い。
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