2009年12月01日

日本橋「やぶ久」

稲沢先生の「そば食品流通商社が見た、江戸のそば東京のそば」歴史いろり端談義 其の十八の講座を受講し終えれば20時。「あぁ〜、すすっと、江戸蕎麦を手繰りたいっ」と、会場に居合わせた江戸ソバリエ3人が、なんとなく集結し向かった先が日本橋「やぶ久」だ。


以前このブログにも書いたのだけれど、講演会場から近い日本橋「やぶ久」までの道は、NHK「いよっ、日本一」調べによれば、日本で一番蕎麦屋の数の多い蕎麦屋激戦区だ。知ってはいたが…ちょっと来ない間に「やぶ久」の隣にも な・な・なんと並んで2軒、新規の蕎麦屋が開店しているではないかっ。新規の2軒ともが価格を張りあうような大きな幟を出していて、その先が見えない。その新規の2店舗と「やぶ久」は、客層がちがうのかなぁ?とは想像するのだが、迎える「やぶ久」側も100年余商う老舗とはいえ安穏とはしていられないだろう。それにそれに、新橋本店を筆頭に攻めの営業戦略を展開している「本陣房」グループが、日本橋「やぶ久」のすぐ裏手にもこの10月1日に日本橋「本陣房」
をオープンしたばかりなのだ。蕎麦に携わる皆さんにWIN WINの関係で頑張ってもらいたいのだが、これはいよいよ凄いことになっているぞぉ。


 さて、暖簾をくぐり腰を下ろすと、講演会場隣飲食店の喧騒がなかなか耳から離れなかった江戸ソバリエ3人も、やっと「ほぉ〜っ」と息をつけた。(名物店主の3代目も平日の3時間ほど店に顔を出しているそうだ。また名調子をお聞きしたいと、どうしていらっしゃるのか気になっていたので、近況をお聞きして安心した。)ニコニコと品書きとお茶を運んでくださったのは、4代目だ。小学館ビッグコミックに連載中の「そばもん」には、名物「つけカレーせいろ」¥997.-と絡めて、この4代目も登場している。ちなみに、著者山本おさむさんの描いた4代目高橋さんのお顔は、ご本人にそっくりである。



  蕎麦前
 まずビールで「お疲れ様ぁ〜」と乾杯。
それからすぐに、長野宮坂酒造「真澄」2合徳利で。突出しに昆布巻きが出た。
日本橋やぶ久 玉子焼.jpg 



出汁の効いた、江戸前定番の甘さ。

玉子焼¥735.-






日本橋やぶ久 やきとり 田楽.jpg

左:やきとり\840.-

右:そば麩田楽¥840.-
木の芽味噌、ゆず味噌、そば味噌 の3色を楽しめる。仲良く3色を分け合いましたぁ。



   蕎麦蕎麦汁
■   そして薬味

辛汁は、江戸前の角のない濃いもの。そしてそれは冷え過ぎていない適温、ちょうど良い具合。(この日この前の時間にレクチャーを受けた稲沢先生の「江戸のそば講座」でも、この温度のことがチラリと出た。「最近の蕎麦屋さんは、汁を冷やしすぎる。結果、あま味を感じづらくなってしまい、糖分配合を必要以上に多くしてバランスを崩す店がある」と。)


 せいろもり¥683-の薬味は、定番のねぎと山葵。北海道産新そば粉に福井産粗挽き粉をブレンドした九一そば。伝統の足踏み製法でコシをだしているそうだ。 



日本橋やぶ久 カレー(豚).jpg 小学館ビックコミック「そばもん」でも紹介されている。
「やぶ久」名物 つけカレーせいろ¥997-

薬味は、ねぎ。
卓上に黒七味あり。

カタクリのトロミが懐かしい蕎麦屋のカレーであるが、いわゆる普通〜の蕎麦屋のカレーよりも、やや香辛料しっかりタイプ。肉は、豚と鳥の2種類をチョイスできる。  




日本橋やぶ久 黒豆そば.jpg大粒の丹波産黒豆納豆、オクラ、海苔、アサツキ、三つ葉、生卵
汁をかけてぶっかけ風に。


冷たい麺をグルツルっ、ねばねばっと混ぜて、
洋辛子をちょこっと。


丹波産 黒豆納豆そば¥1029-

 たまたまこの日「やぶ久」でいただいた北白川書房 季刊NO.135「新そば」 P25にもこの黒豆納豆そばが載っていた。この品書きは、4代目高橋義明さんの考案したものだそうだ。


添加物を一切使わない品書きのことや、隣近所に包囲網のように迫る新規オープン店などについて、「召しゃがってくださるお客さまが、少なくなっちまって、うちあたりも そりゃもぅ大変ですよ」と、気取る事のないかろやかな江戸弁で話しをなさる4代目の言葉を聞き、不謹慎にもほのぼのとしてしまった。



 ■住所中央区日本橋2-1-19■電話03-3271-0829■営業時間平日 11:0023:0022:30 L.O)、土曜日11:0021:30(L.O.21:00)■定休日日・祝 (金曜日または月曜日が祝日の場合、土曜日は休業)■アクセスJR東京駅 北口 徒歩4分、東京メトロ日本橋駅 B7出口 徒歩1分 


  次項有 別の日の日本橋「やぶ久」ブログ内記事へ

ラベル:中央区 蕎麦 老舗
posted by 笑門来福 at 13:42| 東京 🌁| Comment(7) | TrackBack(0) | 千代田・中央・港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
う〜、食べたい。
それにソバツユの適温って??
う〜わからない。保存のため冷蔵庫に入れておいたのを出すだけだからなあ。

かっと言って糖分は増やしてないけど・・・
益々わからなくなったです。

適温は何度なんでしょう?

明日親父と蕎麦の勉強に行ってきます。
きょうは返しを仕込みました。
Posted by iwana at 2009年12月01日 16:39
iwanaさま

いつもコメント有難うございます。

>う〜わからない。保存のため冷蔵庫に入れておいたのを出すだけだからなあ。
>適温は何度なんでしょう?

あのぉ、個人的な好みで返信コメントしてもいいですか?
これは、本当の正解はひょっとするとないかもしれませんから。
好みっていろいろです。
という前置きをした上で…
私は、冷たすぎる麺&汁は、ちょっとどうかと思っています。

そして、同じように思う賢人の文章を読んで、「やっぱり!!!」と頷いています。
もしかすると、自分と違う意見の方の資料を見落としている可能性もあります。
くどいですか?くどいですね?m(_"_)m

●蕎麦処山下庵の記事
http://edosobalier-ishiusu.seesaa.net/article/123631973.html

●季刊「新そば」NO.134の記事
http://edosobalier-ishiusu.seesaa.net/article/123212813.html


●おまけですが、麺の温度についてもチラッと
志村坂上「よし田」ブログ内記事、蕎麦のところ
http://edosobalier-ishiusu.seesaa.net/article/102426025.html#more

●温度をお客の好みに自在に調整するプロに感謝。
志村坂上「よし田」次に伺った時
http://edosobalier-ishiusu.seesaa.net/article/104628084.html

●両国「細川」のご主人が書いた「うまい蕎麦」という本にも
http://edosobalier-ishiusu.seesaa.net/article/133005744.html
温度の事が出ています。

ということで、
辛汁の温度に、まっすぐと言及しているのが
季刊「新そば」NO.134 P.32 『温度を味わう』加藤哲哉氏(江戸ソバリエ講師・元ヒゲタ醤油OB)のエッセイ

〜〜〜〜〜〜〜
私なりの好ましいせいろそばの温度は、蕎麦12〜15度位、つゆは15〜20度となった。
〜〜〜〜〜〜〜
とありました。
私も、おおよそこの範囲が好きです。
冷蔵庫は、普通0度〜10度以下と温度設定しているようです。
だから私は冷蔵庫保存し、そこから出したばかりの辛汁は、冷たすぎると思います。

舌が感じる味覚は、温度にとても影響を受けます。
ころ合いの良い適温が、それぞれの食品によって違うということです。

未熟者の意見ですが、何かの参考になれば良いのですが…。
Posted by 笑門来福 at 2009年12月01日 22:16
これはこれはありがとうございます。
うちは保存は冷蔵庫といいましたが、夏秋だけなんです。それに米専用ですから温度は11度から13度。冬は食料庫の棚に、ストーブつけていても5度から8度の部屋なんで・・・。

なるほど・・・。その温度なんですねえ。
ありがとうございます。

Posted by iwana at 2009年12月02日 06:17
iwana さま

おはようございます。
いつもコメント有難うございます。

>それに米専用ですから温度は11度から13度。
あっ、そう仰っていましたね、以前のコメントでも。
今頃思い出しました、大変失礼しました。

>冬は食料庫の棚に、ストーブ…
やはりすごく寒いのですねぇ。
北国の“寒い”というよりも“痛い”というような寒さを体感することが少ないので、
「あっ、そうかぁ」と、教えてもらってから思い当たります。
Posted by 笑門来福 at 2009年12月03日 07:55
こんにちわ
最近、蕎麦時々らーめんも打ったりして修行に励んでます。
蕎麦は本当に奥が深い。「楽しい、美味しい、嬉しい」これでドリカムが歌作ってくれたら嬉しいなあ〜。

それは置いておいて、先日、ある村のおばあさんからここの昔からの蕎麦(ボクチ、布海苔)の蕎麦を改めて教わりました。
感じたのは今までやっていた方法でよかったこと。
違うのは粉でした。家は40メッシュ、おばあさんは現代のつるつるしこしこになるように60メッシュ以上の粉を使ってました。
その結果、茹でたとき、蕎麦は透き通るような感じになるんです。
勿論そば粉100%です。

一口食べて口の中に広がる香り、次に甘みが・・・そして喉を通る頃には鼻に抜けるなんともいえない蕎麦の香り・・・。つるつる感はやはり布海苔の仕事、コシの強さはヤマゴボウ(ボクチ)の仕事。

そばを切るとき、こま板を使わずに手で・・・。
だからかなり薄く伸して小さくたたんで、ちょっと幅広めに切っていました。
その切り方は初めてなのでちょっと手間取りました。
いい勉強になったなあ〜。

それに美味しい〜。これも僕のものにしていい蕎麦にするぞ。今度はお江戸へなぐりこみ???
更科蕎麦を習いたいなあ〜。そして変わり蕎麦もできるように・・・。

汁もいまのままじゃいけないから・・・もっともっと美味しく食べたい。

あ〜、天麩羅揚げる技術も習得したい。

もっと、もっと上手くなりたいなあ〜。

ぎゃ〜、雪が降ってきた〜。寒いわけだ。
Posted by iwana at 2009年12月03日 11:49
iwanaさま

えっ?雪、降ってきましたか?やっぱり寒いですねぇ。
いつもコメント有難うございます。

>ある村のおばあさんからここの昔からの蕎麦(ボクチ、布海苔)の蕎麦を改めて教わりました。

いいですねぇ。
こういう風に次の時代に受け継がれてゆくのですね。
そして、次世代の人が、またまた磨きを掛けたりして美味しいものを繋げてゆくのですね、きっと。

>一口食べて口の中に広がる香り、次に甘みが・・・
>そして喉を通る頃には鼻に抜けるなんともいえない蕎麦の香り・・・。
>つるつる感はやはり布海苔の仕事、コシの強さはヤマゴボウ(ボクチ)の仕事。

読んでいると、お腹がすいてきちゃいます。
とてもとても美味しそうですね。

>今度はお江戸へなぐりこみ???
わぁ〜楽しみにしています。
でも、その前に?かな?
今日お会いしたある江戸ソバリエの方が、
このブログのiwanaさまの書き込みを読んでいて
iwanaさまのお蕎麦を食べに行きたくなったと言っていました。

iwanaさまのHPへのリンクのついているところを
その方にお教えしました。
その内に連絡がゆくかもしれません。
そして、とてもフットワークの良い方なので、その内にお店に伺うかもしれません。
どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by 笑門来福 at 2009年12月03日 19:42
承知いたしました。
たいした蕎麦じゃありませんが、ただの田舎者が道楽で打つ蕎麦です。
HPにオープン日今日中にアップします。
手打ち蕎麦は限定なので、お越しになる日と人数を連絡いただければうれしいです。

こちらも勉強になりますので何卒、よろしくお願いいたします。
Posted by iwana at 2009年12月04日 07:22
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