「野呂在来を、ご一緒しませんか?」という夢のようなお誘いをいただく。そりゃぁ〜、もぅ1も2もなく「Yes.Yes.Yes.お願いします!!」です。黙っていても知らずに一人笑っちゃう状態で、スッキップしながら家を飛び出す。
市原市西広「花月庵みのしま」。お店の中でゆ〜〜〜くり、ゆ〜〜〜くりと回っている石臼の傍で、この時期通常使っているキタワセ種と、今回注目の野呂在来種の2種を玄ソバのまま並べて解説をいただく。「キタワセと比べて、幾分小粒なものの多かった野呂在来は、8月19日に播いて…日照のことを思うと…、台風様の風も…、ほとほと天候には困った…心配しながら10月23日〜25日に刈り取った。実入りは…、○%くらいが…で、○%は…でした。粒が…香りの…、甘みの…。」と、どこまでも熱っぽく語るご主人。背筋の伸びる思いで聴いていると「まぁ〜召しあがってみるのが一番。」と。
◆□◆この解説のこと等は、後日機会があれば、別仕立ての記事にと思う。
野呂在来 ←|→ キタワセ
■■野呂在来蕎麦と蕎麦汁
■■ まず、野呂在来の生粉打ちである。びっくりすることに、花番さんがせいろを運んできた時に、もぅ ほんのりと香った。水回しをするときに、ふぅ〜っと香るような強さの若く瑞々しいソバの香りだ。
せいろに盛られた蕎麦から香るとは凄い。色は灰色がかったクリーム色。昨年に引き続き2度目の野呂在来経験者のKさんが、「天候がねぇ…と」さかんに首を傾げる。野呂在来の特徴の一つと聞いていた“甘み”を、あまり強く感じない。
続いて、野呂在来二八。割り粉のマジックである。二八の方がむしろ甘みが、グッグッと前にでてきている。同席者一同の感想が揃って、この不思議を楽しんでいると、ご主人の簑島さんもやっていらして「私もそう思うのですよ。」とちゃめっけたっぷり愉快そうに笑う。
どちらの蕎麦も、野趣豊かで風味がある。店主簑島さんによると粘りも程良くあって打ちやすいソバだそうだ。
辛汁は、円熟したまろやかなふくらみのある濃い辛汁だ。野趣豊かな在来種にも負けない。蕎麦と汁の両方が引き立てあえ、バランスも良い。
薬味は、アサツキ ねぎ 山葵。
■■いつもの蕎麦と蕎麦汁
■■ 当たり前のことだが、おことわりとして…こちらのお店でも、野呂在来はほんの一時期それも限定的にしか提供していない。絶対的な収量の少ない野呂在来をどうしても食べたい方は、電話をして確認後、お出掛けになるのがよろしいかと思う。もぅ、今年は無理かもしれない。来年か、再来年か…この時期のチャンスに掛けてみてはいかがだろう。何かの幸運に恵まれますように。
しかしまた、野呂在来以外のいつもの「花月庵 みのしま」のお蕎麦も、大いに期待して召しあがってもらいたい。生意気なようだが、ご主人の技術の高さ、拘りの素材は、しっかり確認済み。並みではできないことばかりだ。千葉県蕎麦推進協議会主催の素人蕎麦打ち段位認定会審査員でもある。
ということで
普段こちらのお店では千葉産自家栽培のほか、国内産玄蕎麦を毎日石挽き製粉し、外一から外二 程で、手打ちにしている。科学調味料は一切使用せず、一品々々丹精を込めて作っているそうだ。お好みのお酒といっしょにとお勧めしているらしい。私が伺った日は、場所柄だろう側にいくつもあるゴルフ場帰りの腹ペコグループが、豪快に食事をしていた。並んだ料理は、ひと汗流した彼らが満足できる盛りの良さだった。気取らない町やの蕎麦屋のように、丼ものもある。蕎麦会席などの出張手打ちもしている。
またこちらは、発刊にあたり千葉手打ち蕎麦の会の方々、江戸ソバリエの幾人かも協力させていただいた「千葉のうまい蕎麦73選」P.138に掲載されてもいるお店だ。オーナーの簑島さんは、千葉県麺類業生活衛生同業組合の常務理事事務部長という肩書きを持ち、後進への指導ぶり面倒見の良さから同業者からの信望も厚く、そんなことだから超多忙であるのだが、蕎麦打ち・汁つくり・石臼挽き自家製粉・ソバ畑まで、情熱を持ってご自身で取り組んでいる。今回も自ら栽培に関わった野呂在来を供してくださった。野呂在来そば祭りを控えていた忙しい中解説までして下さった 市原市西広「花月庵 みのしま」簑島さまに感謝したい。
■住所千葉県市原市西広6-20-16■電話0436-36-8082■営業時間11:00〜20:00■定休日水■アクセス小湊鉄道・海士有木駅 徒歩10分。車では、国道297号(大多喜街道)山倉坂下交差点すぐそば。遠方からは、千葉県こどもの国を目標にすると良いらしい。■駐車場3台
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この夏、千葉そば大学講座を受講した折に、野呂在来種のバックアップ宣言をなさった千葉手打ち蕎麦の会 の方々から、この品種のお話を伺った。「食べてみたいっ!」とは思っていたが、管理体制や収量(唯でも希少な野呂在来。ましてや今年の夏のあの気候。)を思うと、私にまで機会が巡ってくることは、まるで想像できなかった。ナントなんと幸せなことか。私のような者にお声掛けくださり、ご一緒することを許して下さった関係者の方々には、深く深く感謝するばかりである。
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2009年11月27日
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