2009年11月23日

富津「里山」

富津「里山」の御主人は、江戸ソバリエだ。ここ千葉県富津で、土・日・祝日営業の蕎麦屋を開業した。一見ふつぅ〜の住宅を改装した店舗内部は、美しい欄間や神棚、飾り棚や床の間のあるゆったりとした二間を開け放した座敷空間(4卓、20人ほどは楽に入れそう)と、玄関を入ってすぐの洋間に設えられたテーブル席(8人くらい座れそう)だ。和室のぐるりを囲む広い廊下のせいか、その先に広がる庭のせいか、明るく開放感のある空間が、田舎の親戚の家に来たような?なんだか懐かしい気持ちにさせる。ソバ打ち室も店主ご夫妻が忙しく立ち働かれる厨房も、ゆったり広ろびろぉ〜〜〜。

 置かれた卓はどの卓も、どっしりとした古い木材で作られていて、とても洒落ている。伺ってみると、趣のある古材で家具などをつくっているデザイナーさんの手によるものだという。私達が占拠したテーブルも、厚さ10cmもありそうな天板は、昔むかしソバ打ち台であったもので、枝が3つ叉になった足がつけられており面白い。

 店主ご夫妻のお人柄が現れるのか、週末だけの営業だからか、お洒落な調度品や超マニアック料理本のコレクションが並んだ店内も、“どうだぁ!”と押し付ける様子もなく、浮ついた感もなく、色々拘っているのに肩の凝らない、凛としているのに、なんというか実に自然でのんびりとした風情。暑い夏など開け放した座敷で座布団で枕をつくって、本を読みつつウトウトと昼寝をしたら気持ちが良かろう…的な空気が漂う。


 蕎麦前
この日は、車で伺ったのでお酒は御預けである。いただいたものは…
富津「里山」3品.jpg



上:“荻窪「本むら庵」直伝の出汁巻き卵”と謳った卵焼きは、少し甘めの江戸前仕様

左:酢醤油漬の牛蒡
右:なす味噌








富津「里山」 金糸瓜酢の物.jpg   
金糸瓜と糸寒天の酢の物。

独特の食感が楽しく、あっさりとした食味が酢の物にぴったり。


初めていただいた金糸瓜を、調べてみるとぉ。錦糸瓜とも、そうめんかぼちゃとも、糸カボチャとも言うウリ科カボチャ属ペポ種。一年生西洋カボチャの一変種だそうだ。茹でると果肉部分の繊維がほぐれて、1〜2mm角の麺状になる。トッピングの食用菊の紫との対比も鮮やか。



富津「里山」鴨ガレット.jpg


鴨のガレット♪
添えられた味噌や白髪葱が、濃厚な鴨肉によく合う。

蔵王深山竹炭鴨:
普通の国産の鴨は、だいたい40日位で育てているが、こちらのブランドのものは、宮城県で70日間をかけて育て、コクのある鴨肉に仕上がっているそうだ。




富津「里山」牡蠣オイル漬け.jpg
 


牡蠣のオイル漬け
牡蠣は大好物で…本当に、お・い・し・い。

冷えた白ワイ…が欲し…ぅ。








富津「里山」天ぷら.jpg
 天ぷら盛り合わせ
しし唐・海老・茄子・インゲン・椎茸・かぼちゃ・ピーマン…、この肉厚の穴子は、地元富津産のもの。


山菜の季節には、地元の山の幸を天麩羅にしてくださるそうだ。お話を伺い、今から次の季節の楽しみに期待が膨らんでしまう。





 蕎麦蕎麦汁
この日は、北海道産の新そばだ。丸抜きで仕入れ、石臼挽き自家製粉。挽きぐるみを江戸流の二八で細打ちにしている。


富津「里山」 北海道新そば二八縮小版.jpg
目前に現れたゴージャスな麺の姿に声が上がった。少しクリーム色がかった麺には、ごくごく粗い粒がしっかりと見て取れる。さっそく手繰ると…うっとりとするようなソバの甘みと香り。贅沢だぁ。

薬味は、ねぎ と 山葵。辛汁は、荻窪「本むら庵」流。実は、富津「里山」の御主人は物書きで、そのご縁で荻窪「本むら庵」小張勝彦さんのお汁の作り方をつぶさに学んだ経験がある。その貴重な経験から、店を開業するにあたり「本むら庵」流に決めたそうだ。「蕎麦打ちは、無心になれる」とも仰っていた。



  品書き
江戸手打ち粗挽き蕎麦¥750- 生粉打ち蕎麦¥950- 鴨汁蕎麦¥1400- 天もり蕎麦¥1600- とろろ蕎麦¥1100- 富山湾シロエビのかき揚げ蕎麦¥1200- 辛味大根のおろし蕎麦¥1000-鴨南蛮蕎麦¥1400- 大海老天ぷら蕎麦¥1400- 花巻蕎麦(富津特産の海苔がたっぷり…)¥1000-


一品料理 玉子焼き¥600- 自家製ザル豆冨¥600- 富山湾シロエビの掻き揚げ¥1000.− 季節の天ぷら盛り合わせ¥1800- 大海老天ぷら¥1200- 蔵王地鴨ロース焼き¥1500-


甘味 田舎汁粉(そばがき入り)¥400- わらび餅(本わらび粉入り)¥400-

お昼のコース 粗挽きコース¥1500-生粉打ちコース¥2000-(各限定10名)

蕎麦三昧コース(前日までに要予約 2名様より)里山コース¥3500- 房総コース¥5500- 饗宴コース¥7500- 

蕎麦前 寿萬亀(地元鴨川の銘酒)¥600-〜¥2500-聖泉(地元富津の銘酒)¥600-〜¥2500.− キリンラガービール中瓶¥500- 大瓶¥700-


■住所千葉県富津市川名1080■電話&FAX0439-98-2142■営業日土曜・日曜・祝日■営業時間11001600(夜は予約のみ)
posted by 笑門来福 at 16:31| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | ⇒千葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こりゃ〜、すごい。
僕もいつかはやりたい営業スタイルです。
なんせ本職が農業とフライ・フィシャーですから・・・。
魚野川へフライ・フィッシングに来て頂いたお客様。釣りが終わったら越後湯沢の温泉で汗を流し
夕方は家のお蕎麦と山菜と収穫したばかりの野菜を提供して山の中の昔ながらの生活と味を堪能してもらいたいんです。
釣りをしない方でも、体験農業、田舎料理体験、陶芸など体験工房もありますから家族で来て頂いてもいいですよ。
でも今はそのために修行に励みます。

冬は12月20日頃「道楽そば」オープンです。
返しも仕込みました。本日からお店の清掃にはいりました。今シーズンから私は影で蕎麦を打つだけですけど・・・。
普段はレンタルスキーショップで働きます。
勿論、スキー学校の先生もしますよ。

そうそう蕎麦屋でボクチ入りのそばを出すお店紹介します。十日町駅通り「だいさ」
ここの天ざるはいいですよ。
そのまま、そばを味わってもいいです。
そば粉は60メッシュを通すのかつるつるして喉ごしが楽しいです。
十日町市と言えば小嶋屋のへぎそばなどが有名ですが、むしろ布海苔はもういいやという人にはいいかもしれません。
汁も甘辛くそばとのバランスがよくそばを引き立ててくれます。
以上、南魚沼特派員??からの情報でした。
Posted by iwana at 2009年11月23日 17:11
iwanaさま

おはようございます。
いつもコメント有難うございます。

>僕もいつかはやりたい営業スタイルです。
多くの人が憧れるスタイルかもしれません。
「里山」のご主人も、私からはとても楽しそうに生き生きと見えました。
他人に言えない苦労が沢山あるかと思いますが
本文にも書いたとおり「蕎麦打ちは、無心になれる」と仰っていましたので
蕎麦打ちが、苦労を忘れさせているのかもしれません。


>冬は12月20日頃「道楽そば」オープンです。
オープンまで、あと一カ月切ったのですね。
忙しい時は、ついつい無理をしがちです。
特に健康や怪我に気を付けてくださいね。


>勿論、スキー学校の先生もしますよ。
おぉ〜、そうなんですか。
最近スキーをしていませんが、万年ボーゲンオバサンとしては、尊敬しちゃいます。

>十日町駅通り「だいさ」ここの天ざるはいいですよ。
>汁も甘辛くそばとのバランスがよくそばを引き立ててくれます。
良さそうですね。
バランスって、ほんとに大切ですね。
蕎麦と汁がお互いに引き立て合うと、魅力が何倍にも膨らみますよね。

>十日町市と言えば小嶋屋のへぎそばなどが有名ですが、
>むしろ布海苔はもういいやという人にはいいかもしれません。
へぎそばも、オヤマボクチ(雄山火口)も、もちろん普通の蕎麦も、
決して「もぅいいや」とはならないです。
元々が食いしん坊だからか、いくら食べても、また次が楽しみです。
しかしこれには、ちょっと問題も…ありますぅ。
太るんですよねぇ…それだけ食べれば当たり前とはいえ…痩せるはずがありません。
Posted by 笑門来福 at 2009年11月26日 08:13
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