2009年06月23日

浅草「蕎亭 大黒屋」

兎にも角にも大好きな蕎麦である。いつ手繰っても、つい顔がほころぶ。

こと江戸蕎麦に関して、いつの間にか理屈を捏ねくり回す様になっていたけれど、浅草「喬亭 大黒屋」には、それが不似合いな気がして、ブログ記事にするのも、ずっ〜〜と違和感があり躊躇いがあった。
「蕎麦は、人となり」といつも感じるのだけれど、ここの蕎麦を食べる限り、実際に聞いたわけでもないのに「四の五の言わずに、食べたいように美味しく食べればいいの。」と、ご主人に言われそうな気がするし、その時のご主人の表情や声まで想像できる。

だからここでは、蕎麦前を楽しみ、せいろを手繰れれば唯ただ満足。打ち方をあれこれ想像したり、粉がどうの汁がどうのとあまり言葉を重ねるのもなぁ〜という気分だった。しかし、この度少ぉ〜し気持ちが変ったので、ちょっと触ってみることに。何がどう変わったのか、自分でも良くわからないのだが、まぁブログに載せてしまう。


蕎麦前


まずぅ、YEBISU BEER ¥680-(だったかな?)をグビっとやって一息。その後、酒の冷蔵庫の中を勝手に見渡してあるものをオーダーする。この日は、「神亀」と「ひこ孫」を燗でお願いした。
 
大黒屋 てんちらし.jpg




天ぷらちらし(天ぷらの盛り合わせのこと)¥1400.-コシアブラ新芽の天ぷらを初めて頂いた。独特の香りや苦みがとても美味しい。
 


大黒そばみそ.jpg

     そばやきみそ¥550-


 大黒屋 粗挽きそばがき.jpg


専用の鍋で拵える
「粗挽きの蕎麦掻き」¥1700.-

蕎麦の甘みをダイレクトに味わえ香りが格別で、これぞ「蕎麦掻」というものた。称賛せずにはいられない粉や水分の調整具合と、それに要する力は、簡単に真似できないだろう…たぶん。
そうそう、きな粉が付きます。




大黒屋 玉子焼き.jpg
   玉子やき(2人前)¥1300.- 


蕎麦

蕎麦は十割、細打ちで喉ごし良く、香味たっぷり。せいろを“何でもないありふれた手打ち”としているが、打ち方、釜前の仕事、水切りの具合などなどバランスが絶妙で文句なく素晴らしい。自分で“ありふれた”というところが、いかにもニクイ。凝りに凝って技にも自信を持っているに違いがないのだが、この辺りが美学というものなのだろうか?

この香味の秘密は、2階にあるっ!通いつめたら、ひょっとして見せてもらえるのだろうか?2階に据えた8台の石臼で「うしし」っと、ソバ粉を挽くご主人の姿が目に浮かぶ。手挽きの石臼もあるらしい。


大黒屋 そばとろ.jpg

そばとろ\1600.-
ふわっふわのとろろ、旨っ!





大黒屋 おせいろ.jpg

おせいろ\1200.-  



蕎麦が繋ぐご縁

余談ながら、あの妹尾河童さんはこちらの店で蕎麦打ちを習い、それがご縁で店の地図(名刺の裏のものではなく、店に置いてあるA5サイズ程のもの)を書いたそうである。羨ましい。何がって、地図ではなく、蕎麦打ちを教えてもらったことがである。昨年のめん産業展でも、大黒屋のご主人が山形から来たという若い蕎麦職人を連れて、あれやこれや説明しながら資料を貰ってあげたり…というところを目撃した。ひょっとするともしかして、こちらのご主人はぶっきらぼうな喋り方のわりに、心細やかで面倒見の良い人なのではないだろうか。だから、あの素敵な女将さんなんだな、きっと。

店の壁には、片倉康雄さんが書いた大黒屋昭和56年当時の品書きが額装されている。一茶庵との繋がりや、扇子に書かれた現在の品書きとのメニューの変遷を想うのも楽しい。


■住所台東区浅草4-39-2■電話03-3874-2986■営業時間12:0014:00 17:0022:00頃まで■定休日日・■アクセスつくばエクスプレス浅草駅徒歩10分、東京メトロ銀座線浅草駅徒歩15
posted by 笑門来福 at 06:12| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 文京・墨田・台東区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
拵える こしらえるって、標準語だったんですね。
江戸弁かと思ってました。辞書引いたら載ってた。
久しぶりに聞いておもしろかった。・・・って蕎麦と
関係ないところで反応してしまいましたが・・・。
とろろ、美味しそう。う〜〜ん、たまらん!
Posted by らんらん at 2009年06月23日 09:23
らんらん さま

いつもコメント有難うございます。
「拵える」、何の意識もせず使っておりました。
久しぶりに聞いた?江戸弁?なの?
標準語なんだ…、あっそうですか。そうなんですね♪

実は私、らんらんさまの話す言葉に親しみを持っています。
「?」と思われることでしょう。
数年前、大量の豚汁をご一緒に「拵えた」時、
らんらんさまが、「七色を」と仰いました。
そこに居合わせた他の皆さんは、「七味」という表現でないと、ピンとこないようでした。

そこで、あぁ〜同じような語感を持っているなぁと。
その瞬間が忘れられないのであります。(*^_^*)
Posted by 笑門来福 at 2009年06月23日 21:29
はじめまして、以前からずーとはいけんしております。
私も越後湯沢で蕎麦屋をしてます。ただし冬だけなのですが・・・。
手打ち手切りで限定で蕎麦を出しております。
まだまだ蕎麦の世界は奥が深く、勉強しなければと思います。
セミナーや教室にも参加したいしいろいろな職人さんにも会いたいと思っています。
よだれをたらしながらここのブログみております。
あ〜、美味しい蕎麦食べたい・・・。
Posted by 岩魚 at 2009年06月24日 05:26
岩魚 さま

初めまして。ようこそ石臼の会ブログへ
そして、コメント有難うございます。

さっそく、岩魚さまのサイト拝見してまいりました。
越後湯沢のお蕎麦屋さん、素敵です。

昨夜は、畑が雨の被害にあったようですね。
オヤマボクチは、無事でしょうか?
カラスの襲来といい…折角の作物が大変な目にあって、お気の毒です。
でも、美味しい物の為に、これにめげずどうか頑張ってください。

美味しいお蕎麦を愛する者どうし
細く長く末長いお付き合いの程、
よろしくお願いいたします。
Posted by 笑門来福 at 2009年06月24日 07:35
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