2009年03月17日

茅場町 長寿庵

しばしば「長寿庵系」という言葉で言い表される日本最大の蕎麦屋ののれん会「長寿庵」の団結力は強い。関東6県を中心に223軒余りある「長寿庵」の4つの流れの中の一つ「十日会」の代表が 茅場町「長寿庵」だ。その辺りの歴史に興味のある方は、社)日本麺類業団体連合会のHPそばの散歩道「にっぽん蕎麦紀行」、長寿庵300年の歴史が詳しい。




 

さて、明治40年創業の木鉢会会員の店 茅場町「長寿庵」は、平成2年、茅場町の駅のすぐ上に9階建ての長寿ビルを建て、地下1階に60席を構えた。四代目店主 吉田博明さんは、江戸そばの老舗を継ぐ若手の頼れる存在で、086月8日に開催された江戸ソバリエシンポジュームでは「江戸蕎麦の 暖簾ひきつぐ 心意気」として座談会にご登板された。その折り「うちは、夜は居酒屋兼蕎麦屋だよぉ」「旨い肴をたくさん用意しているから、是非来て下さいよ」と気さくで豪快に話されていたのが印象的であった。 

ということで、この日は日本橋での用事が早く済み、本格的に飲みモードに入るには、ちと憚られる早い時間。かと言って、直帰するには…なんとも手持無沙汰で、しかも超空腹であったので、酒肴の種類も多く、近くの築地で仕入れる魚介類が旨いとの評判を頼りに、ここ茅場町「長寿庵」に寄って行くことに。
 


 
蕎麦前
        チャキチャキしていながらもお客に柔らかな対応の老舗の花番さん(若女将かな?)。とても親切にいろいろ品書きの説明をしてくれるのだが、ベタベタとした感じがない。適度な距離感が素晴らしい。テンポ良くやり取りが進み、まずビールビール。

お通しに、茗荷のシャキシャキとした歯ごたえも爽やかな和えものが運ばれ、一息つき直ぐに燗をお願いした。燗酒は菊正宗ひといろのみ。例によって1合徳利にしようか…2合にしようか…迷っていると、ニコニコと笑って「それでは、多めの一合をお持ちしましょう」と言ってくださる。サービストークか?と思いつつ、運ばれた徳利を持ち上げると、本当にたっぷりと入っているではないか。飲兵衛の連れは、それだけでもぅ〜超上機嫌。クイクイと杯が進み、結局、たっぷり多めの1合をもう一本貰うことになった。

長寿庵鴨と玉子焼き.jpg 長寿庵ごま豆腐.jpg
  左:鴨   奥:玉子焼き            ごま豆腐



「刺身盛り合わせ」¥?-と日本酒、五臓六腑に沁みわたる。蕎麦屋で定番の「玉子焼き」¥800.-は、江戸前の甘〜いタイプのものだったが、意外にもドドドォ〜ンとどっしりしておらず、添えの大根おろしに生醤油のせいか、後味に甘さが残らず軽い食後感。
長寿庵天ぷら.jpg


ごま豆腐も、濃厚さとしては軽い方ではないか?


サクッと軽く揚がった天麩羅、鴨の塩焼きもお酒に合って、思わず箸がすすみ気がつけば、お腹もいっぱい。
 



蕎麦蕎麦汁
        お腹がいっぱい…と言いながらも、やはり〆は蕎麦。本当は名物の「胡麻切りせいろ」¥850.-を食べるつもりだったのだが、流石に…ちょっとヘビー。あっさりと?!「せいろ」と「かけ」各¥650.-にする。この店構えでこのお値段は安いと感じる。色白で喉ごしも良い蕎麦はお値段よりも上等で、お得感あり。
長寿庵せいろとかけ.jpg辛汁(←辛汁とは、ご存じのとおり蕎麦猪口で供される「せいろ」のつけ汁)は、まず甘〜い味を一番に強く感じるものの、くどくなく(玉子焼きの印象とダブルなぁ)後味がさっぱりとしていて、いつまでも甘みが残らない。甘いなぁ〜と思いつつも、あっさり入る不思議な汁だ。

甘汁(←甘汁とは、ご存じのとおり「かけ」の温かなお汁)は、辛汁よりも甘みを強いと感じない。丸くまとまって、蕎麦との相性も良い。



 
雑感
        壁に貼られた品書きのなかにも、値段の表示のないものが見受けられる。しかし、どれも法外なものはないようで、場所なりの良心価格設定と感じられた。この日はちょっと食べすぎ、本来ならば3人くらいで注文する量だったろう。それを二人で飲んで食べて9千円弱。ご店主の言う通り、お酒のあてに持って来いの品書きが揃って、居酒屋(失礼っ(^_^;)でも、超高級!居酒屋です。)としても、兜町のサラリーマンの需要にきっちりと答えているようだ。〆蕎麦の美味しい居酒屋は、流行るのだろうなぁ〜。というか、蕎麦屋はちょっと一杯ができるところが、昔から魅力の一つですよね。

 
気さくで豪快な店主さんもさることながら、何より花番さん(若女将かな?)の対応の良さが素敵だ。私見ながら、良いお店の必要絶対条件は、お客への対応だと感じる。美味しいお蕎麦をだしていても、私の場合、居心地の悪い店への再訪は、心も重くなりなかなか足が向かない。歴史に胡坐をかくことのないこちらのお店には、また是非伺いたいと思わせる魅力を持っている。常連さんと見受けられる人達は、この花番さんと“あうん”の呼吸でチャチャっと注文し、粋に寛ぐ。見ていても心地好い風景だった。

 
品書き
        せいろ¥650- 胡麻切せいろ¥850- とろろせいろ¥1,050- 天せいろ¥1,500- 鴨せいろ¥1,500- かけ¥650- たぬき¥750- きつね¥800- 花巻そば¥800- 月見そば¥800- 玉子とじ¥850- かき玉うどん¥850- かれー南ばん¥900- 力うどん900- おかめ¥900- あんかけ¥950-
 
他、季節の肴や蕎麦屋定番の肴など多数あり

 
  
■住所中央区日本橋茅場町1-9-4 ■電話033666-1971■営業時間11:0015:0017:0021:30■定休日 土・日・祝■アクセス東京メトロ日比谷線・東西線 茅場町駅 出口5番・6番の交差点の角、地下にある。
posted by 笑門来福 at 16:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 千代田・中央・港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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