2008年11月05日

高嶺ルビー

蕎麦関連企画の主導的活動をしているほしひかるさんから、ある日の「石臼の会」蕎麦打ち会参加者は、高嶺ルビーの種を分けていただいた。仲間内では、知識として知らない者のない、紅い花を咲かせるソバ品種である。
しかし皆、実際に栽培してみた事が無かったので、この秋チャレンジすることに。



ほしひかるさん撮影 夢の島高嶺ルビー.jpg 
  夢の島公園 満開を迎えた高嶺ルビー      ほしひかるさん撮影



以後、花の見頃を迎えた今日まで「石臼の会」内では栽培の経過報告が盛んに行われている。皆さんの
高嶺ルビー栽培の記を、是非ブログ掲載させていただきたいと切望せずにはいられない。掲載承諾の為の呼び水になりたいと、前段階の品種説明としてこの記事を投稿する。

 
高嶺ルビーとは?品種の生みの親は、「そば博士」の異名を持つ信州大学名誉教授 氏原暉男さん。ミャンマーと中国国境付近に広がる「黄金の三角地帯」での麻薬撲滅事業の為に、アヘンやヘロインの原料となるケシの栽培から、同じような高地の環境で育つソバの栽培への転換をはかる活動に情熱を注ぐ人だ。信州大ソバサンルチン などの新品種開発に携わり、また、ネパール在来種から選抜育成した赤い花を咲かせる品種高嶺ルビーを、タカノと共同開発した。この辺りの様子は、氏原暉男著書「ソバを知り、ソバを生かす」柴田書店に、詳しく載っている。

 
そんな氏原さんが1970年代後半、ヒマラヤの8000m級の山ダウラギリ峰とアンナプルナ峰に挟まれた、標高3800mのムスタン県で、紅色の花を咲かせるソバに出会った。

それはそれは高い標高の為に、昼夜の寒暖の差も激しく紫外線は強烈で、イネやムギはおろか、普通のソバも育つ環境ではなかったが、その紅色の花を咲かせるソバだけが、立派に実を付けていたという。これはこのソバが作る豊富なポリフェノールが、自身の身を紫外線から守っていたからだ。氏原暉男さんは、これを日本に持ち帰り、日本の土地で花を咲かせることを夢見るようになる。



持ち帰った種を信州大の農場に蒔いてはみたものの、ヒマラヤの地に咲くような鮮やかな紅い花は咲かなかった。気温や環境によって大きく左右され、紅色の花が咲いたとしても薄い色にしかならない。タカノの研究員とともに二人三脚の品種改良が始まり、失敗を繰り返す試行錯誤の結果、1993年1月に、「高嶺ルビー」の名称で品種登録(農林水産省品種登録第3347号)される。日本で紅い花を咲かせる初めての品種の確立に成功した。


 

   高嶺ルビーは、種苗法による種苗登録品種であり、登録者(権利者)の許可なしに、増殖および販売ができない。


 

今年は特に、高嶺ルビーのマスコミへの露出が多く、多数のTV番組や新聞報道で、美しい紅色のソバ花畑の映像や写真が公開され、休日の観光スポットとしても脚光を浴びた。我々のブログでもご紹介した上伊那郡中川村での「紅そば花まつり」「紅そばサミット」の成功もあり、減反と農業従事者の減少による遊休農地を抱える地方の地域振興・活性化には、観光資源として一役買ったようである。



しかし、食用種として登録されてはいるものの、白い花の普通種と比べれば収量が1/3程と少なく、近隣の畑の白花種との交雑の心配もあり、収穫量を期待する栽培者には厳しく悩ましい品種だ。



 

特徴花の色は薄紅色〜紅色で、草丈は4050cmの矮性。開花は日本在来の白花ソバに比べてやや遅い。除草は適宜必要であるが、無肥料(窒素分は、徒長の原因となる)で、土は乾燥気味が適している。その粉で打った蕎麦は風味がやや強く、コシが強いらしい。

播種期7月〜10月中旬(東京では、おおむね9月〜10月上旬)


 

鑑賞期間播種後3045日で開花。1ヶ月程花を鑑賞できる。開花期に10度〜15度の低温に合わせると、より濃い紅色となる。


                   かわいい           かわいい          かわいい

おいおい準備ができ次第、無理にお願いしてでも「石臼の会」宵待庵さんの「高嶺ルビー栽培の記」を掲載するので、そちらに乞うご期待

  
                   かわいい           かわいい          かわいい

 

尚、現在東京で、満開の高嶺ルビーを観賞したい方は、都立夢の島公園の南側駐車場付近で楽しめる。花は、あと2〜3週間というところだろうか。公園内は入場無料。ページ最上部の写真は、夢の島公園の高嶺ルビー。(写真提供ほしひかるさん) 


 



   

おまけ親馬鹿 笑門来福の高嶺ルビーちゃんの写真を載せる。ビル風の強く吹く高層マンションのべランダ。小さな植木鉢にパラリと蒔いてみた。日当たりは誠に誠に良好ではある。だが、タデ科の植物であるから茎は中空(ストロー状)で、折れやすい。この風は過酷なものとなるのか…。せめてもと排水を考慮し、土に赤玉土を多く混ぜ、鉢を地面から1mほど離す。

 画像-0261.jpg





小さな鉢にミッチリと双葉がでる。毎年のように育てている白い花の普通種よりも、しっかりとした肉厚でまるっとした双葉だ。超かわいい揺れるハートハートたち(複数ハート)(高校生かっ)。

2〜3本抜いて食べてみると…白い花の種のソバの芽よりも粘り気があり風味が強い。


 






画像-0316.jpg




おぉ〜なんと愛おしいことか。強い晴れ日差しの中、茂る、繁る。

高校生の女の子なら「るんるん盛れてるぅるんるん」と言うのだろうかぁ?違う? あっそう。


 









画像-0329.jpg




咲いた揺れるハート咲いた揺れるハート
 高嶺ルビーが咲いた。


栽培者に似ずスリムになってきましたわぁ。寒さが足りないようで、紅色が薄い。この日の最高気温22度ですものぉ。





posted by 笑門来福 at 10:12| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ■「手学」蕎麦打ち&畑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック