2008年06月21日
大井町「権正」
土曜日の午後12時3分過ぎに店を覗くと、入口のベンチに2人腰かけて入店を待っている。店内はいっぱいいっぱいの満席ながら、もぅ席を立ちかけているテーブルもあり、私も待つことに。しかしまたすぐ私の後ろに2人連れが並ぶ。危ない気がしてくる。はたして順番が巡り席に通されると、既に「御前蕎麦」「本日の変わり蕎麦・紫蘇切り」が終わったという。えぇ?開店後約45分で終わり?!?!朝何人前用意しているのぉ?今日も目当ての変わりが食べられない。
御前蕎麦は、今まさに終わったばかりのようで、隣のテーブルの親子が雪のように真っ白な細打ちを食べている。がっくり。 私が密かに命名の はにかみ店主は、厨房内を飛ぶように移動しながら、どんどん天麩羅を揚げている。若い釜前も、小走りに厨房を飛び出して、食器を下げたりテーブルを拭いたり、今日は花番も兼務している。兎にも角にも忙しそうだ。 いつもの花番の方も、柔らかな物腰ながら、手だけは高速で動かしてテーブルの間をまわっている。
■そば粉今は主に北海道産を、麺打ち室内に設えた電動石臼で自家製粉。概ね30メッシュで篩っているそうだ。ガラス張りの麺打ち室は、通りに面しており、私は度々外から店主の作業を眺めていた。置かれた抜き実や割り粉の袋から、今日の蕎麦は…と、いろいろと想像するのが楽しい。
■蕎麦白海老の天麩羅ともりをお願いした。白海老は、こちらのお店の修業先である大井「布恒」で、度々いただく大好物。なんでも富山湾の海底谷(あいがめ)水深300〜600m、高ミネラルの海洋深層水の中の生態系に属する薄紅色の小さな海老で、海の貴婦人と呼ばれるらしい。この季節にしか味わえない旬の味と思えば、益々有難みが増す。この海老がサクッと軽く揚がって、品の良い甘みと旨味で、それはそれは美味い。一杯飲みたくなる味…でもグッと我慢。そしてほぼ同時に運ばれた気取りのないもりの姿は、美しく満足な量がある。風味豊かな麺だから、どっしり系のこちらの辛汁にも負けない。
■薬味と蕎麦湯相当な混雑だったからか、いつもそうだったか、思い出せないのだが、運ぶ寸前に花番が配ぜん口で、サササっと卸した山葵が薬味についた。それに、晒して仕事のしてあるねぎ。蕎麦湯はいつものナチュラル系。今日は混雑しているからだろう、しっかりと白濁しており、蕎麦の香味も十分。ある程度以上の量の蕎麦を茹で、水溶性の旨味が円やかに溶け込んだ、こういうタイミングの蕎麦湯が何と言っても一番。滋味豊かとは、このことだと思う。しみじみと美味しい。 それにしても、大混雑の中。蕎麦はいつもの美味しさ、天麩羅もばっちり。大満足ではあったが…いったい土曜の昼は何時に来れば、変わりが食べられるのだろう。今日はたまたまなんですよね。きっと。いっそ昼時を諦め、昼休憩時間の追い打ちを待って、夕方リベンジすればよかったのだろうか?まっ、何度でも来ますがね。
■住所品川区大井1−1−6■電話03-3776-8580■営業時間11:30〜15:00、17:00〜20:00■定休日日・祝■アクセスJR京浜東北線・東急電鉄大井町線・臨海高速鉄道、大井町駅徒歩30秒
別の日の権正
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