2020年11月24日

2020戸隠そば祭り紀行

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2020年戸隠そば祭りに参加しました

一昨年から通い出した信州の戸隠そば祭り。

各地でのコロナウイルス禍が伝えられる中、今年の開催はないのではと危ぶんでいたが、9月末になってようやく日程発表。例年より遅れて戸隠中社大鳥居の竣工式後に開催されることがわかった。

少々迷ったが、訳あって9月にはPCR検査を受診し陰性の判定。その後も異常はないようなので再訪することとした。




11月5日

バスタ新宿朝発のバスで長野へ。バスを乗り継ぎ、そば博物館「とんくるりん」前で下車。隣接する「蕎麦切茶房 戸隠日和」さんを訪ねる。ご主人山口茂氏とは、本年春に開催された信州大井上元教授の出版記念講演会にて知り合い、訪問を約していた関係。

この店は昨春開業だが、山口氏はそれまで生麺・乾麺などの蕎麦の加工品や食材の卸業を営む一方、貴重な戸隠在来種を栽培する3軒の蕎麦農家のおひとりとのこと。

例年であれば、戸隠献納祭が済むまで、新そばは封印されるのだが、今年は、献納祭がずれ込んだため、新そばは既に解禁。十割蕎麦と地場のきのこの天ぷらを賞味、足を運んだ甲斐があったと感じる。そのあと蕎麦打ち場へ移動。信州流一本棒丸のし用の打ち台が大きいことは承知していたが、その横に、切り板も常置しているため、打ち場は広々としていた。

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ここから、小一時間坂道を登って、そば祭り「お炊き上げ」会場戸隠中社前に到着。

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会場では、神官によるお祓いのあと、葉が茶色くなった昨年のそば玉(お蕎麦屋さんに新そばが出来たことを告げる杉の葉と竹で出来た飾り。酒蔵の杉玉もしくはさかばやしの親戚か)に点火、新築された鳥居の下で、赤々とした火が燃え上がった。

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本日の宿泊は、徒歩数分に所在する「鷹明亭辻旅館」。もともとは宿坊ではあるのだがそば会席で定評は高く、長野県産・七割以上の蕎麦粉による蕎麦を提供する「信州そばきりの店」の一店である。

その夕食、先付から締めの甘味まで15品中に登場する蕎麦を使った料理は次の10品。(八寸)鮎うるかそばの実添、そば団子、(小鉢)蕎麦他の黄身酢がけ、(お凌ぎ)戸隠小町そばがき、(蒸し物)そばの実の白蒸し、(皿)蕎麦真丈のみたらし飴かけ、(煮物)蕎麦がんも、(鉢物)とろろ蕎麦、(蕎麦)戸隠在来手打ち新蕎麦、(甘味)蕎麦のアイスクリーム。いずれも、量は控えめだが、すべてを食べきると、まんぷくを通り過ぎそうだった。

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一昨年は、この時間帯に、前夜祭が開催され、山口屋ご主人が参加しての戸隠太鼓、蕎麦打ち甲子園の常連校吉田高校戸隠分校の生徒による蕎麦打ち実演と蕎麦振舞(冷・温)、蕎麦掻き体験、りんごの無料提供などがあり、夕食は半分くらいしか食べられなかったと記憶している。



11月6

献納祭当日の朝を迎える。昨年のこの日は、朝飯前に戸隠中社で社殿清掃奉仕。このときの指導は、辻旅館のご主人であったことはいかなる縁かと考える。

荷物は旅館に預け、献納祭会場に向かう。会場には、緑の「そば玉」が並べられ、新しい大鳥居と互いに引き立て合っているように感じる。献納祭とは、そばこせ(蕎麦職人のこと)のメンバーが戸隠神社の圃場で播種、育成、収穫した蕎麦を蕎麦切りに拵え、戸隠神社に奉納、感謝と商売繁盛、豊作を祈る神事。この日から、秋の新そばシーズンがスタートとなる。

献納祭は、挨拶、三名の白装束の演者による蕎麦打ちと続き、神社の急な階段を整列して登り、社殿での蕎麦奉納となる。式典では、二人の楽師が雅楽を演奏。その一人は宿泊した辻旅館のご主人。

優雅な篳篥(ひちりき)や横笛の音に合わせて神事が進行される様は、都会のそば祭りからは一線を画したものと感じ入る。

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今年は、戸隠の乾麺を自分で調理し、全国に有名にした歌手のディーン池森氏も参列。昨年、洪水の直後のため、参加をお断りしたマスコミ各社も来場。賑やかさを少しだけ取り戻した式典となった。献納祭の様子は、今年はWebで実況中継され、そのまま、アーカイブが戸隠そば祭りのサイトより参照できる(1時間44分)。

献納祭に奉納された蕎麦粉は、蕎麦組合の加盟蕎麦店や旅館にて、当日、記念箸袋に収めたすぎ箸とともに先着15名の方に提供される。

当日以降、これまでは「半蕎麦食べ歩き」イベントが開催されていたが、本年は取りやめとなった。それでも、紅葉刈りの時期にあたり、どこの蕎麦店も混雑している模様。中社門前の「うずら屋」さんでは1.5から2時間待ちとのこと。店内もやや密状態に見受けられた。

私は、非観光ルート経由のバスで、沿道の紅葉を眺めながら長野市に戻り、駅前の「小木曽食堂」でざるそば大盛と山賊焼きの昼食。ガラガラの新幹線でひっそりと帰途についた(のだが途中からほぼ満席となる)。

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(追加)

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今年の献納祭に併せ、そば祭りのパンフレット「蕎麦がたり」が発行された。戸隠のいまの蕎麦文化をコンパクトにまとめられている。記事をまとめたのは、山口屋若主人などの若手メンバーとのこと。












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過去のそば祭りのパンフレットや蕎麦猪口などは、そば博物館「とんくるりん」に展示。蕎麦の文化を勉強するには面白い場所。今年より、戸隠観光協会が経営。展示物も少しずつ見直すそう。

https://togakushi-21.jp/spot/351/

posted by 石臼の会会員 at 17:27| 東京 ☁| Comment(2) | ⇒長野・新潟・山梨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする