我が家の年越蕎麦は、元旦に実家へ全員集合(兄夫婦 家族 子供)するときです。いつも、元旦の午前中に皆が集まる前に蕎麦打ちを済ませているか、蕎麦を打っている最中に皆は集まってきます。
今年は、ひさびさに「津軽蕎麦」を打ってみることにしました。池袋の旧「生粉打ち亭」の店主だった故池田好美師匠から手取り足取りで教えて貰いました。折角伝授された「津軽蕎麦」なのに、しばらく打っていなかったのでやってみることにしました。
まずは、前々日から作業を始めます。大豆を用意し、次の日にミキサーで細かくしますが、生憎と実家にはミキサーがありません。そこで昔ながらの擂粉木での作業になりました。本当にひさびさで最近は擂粉木など使わなくなりましたね。その擂粉木で大豆を潰しますが、これがけっこう大変なんです。しっかりクリーム状になるまでゴリゴリ、ゴリゴリ……と潰して豆乳を作ります。
生大豆をすり潰す
また、前日には「蕎麦掻き」を作っておきます。次の日に蕎麦を打つ時、その蕎麦掻きを崩しながら、蕎麦粉となじませます。そして水回しではなく、作っておいた豆乳で蕎麦を打ちます。この豆乳の加減が難しいのです。
蕎麦掻と蕎麦粉を合わせる
以上が、池田師匠から教わった「津軽蕎麦」です。我々旧生粉打ち会メンバーは全員「津軽蕎麦」が打てます。
なお、蕎麦粉は「津軽蕎麦」用を持っている「芳とも庵」から仕入れます。
蕎麦粉の量に対して蕎麦掻きの量、豆乳の濃さと量などの正確な割合などを測っていませんが、ピタリと合うと非常に美しい「津軽蕎麦」ができるのです。なかなか難しく、めんどうな蕎麦ですが、津軽地方では現在も受け継がれて「津軽蕎麦」を出すお店もあると聞いています。しかし製造方法、保存方法などいくつか製造方法があるらしく、我々の作る「津軽蕎麦」とは若干違うようです。
津軽蕎麦の延しと切り
「津軽蕎麦」は、温かい蕎麦、かけ蕎麦が最も適しています。
津軽のような寒い地方で昔から伝わってきた蕎麦粉100%の温かい蕎麦を食べたいというところから考案され、作り出されてきたのでしょうか。それとも小麦粉が手に入らなかったからでしょうか。
もちろん、冷たい盛り蕎麦もいいです。冷たい蕎麦で食べると独特な食感がするのが特徴です。普通の蕎麦のコシとはちょっと違う食感で、蕎麦が少し透き通った感じがします。また、次の日や、2日目の蕎麦の味が格別です。
さらに、次のメニューは「超粗挽き蕎麦掻き」です。細かさ・粗さが調整できる珈琲ミルで、むき実を超粗挽きで手挽きし、ガサガサの蕎麦粉で作る蕎麦掻きです。蕎麦の味が最大限に味わえる蕎麦掻きです。
珈琲ミルで手挽き 超粗挽き蕎麦掻
そして、「蕎麦掻きだけの天麩羅」も、家族全員に作り提供します。これもまたそのまま塩か、ワサビ醤油か、生醤油で、美味しく味わいます。
〆に、時間をかけた「蕎麦粥」も。
これが、我が家の蕎麦三昧の正月の一大イベントです。
最後に、普段も蕎麦のむき実を茹でて、何にでも入れています。サラダにかけたり、ドレッシングに入れたり、味噌汁の具に、スープの具に、また白いご飯を炊く時にもソバの実を一掴みパラッと入れて炊いています。
〜 興味津々 〜
※この「蕎麦三昧、これが我が家の年越蕎麦」記事は、江戸ソバリエ協会主催第4回「わが家の年越蕎麦、私たちの年越蕎麦」コンテストで、「蕎麦三昧賞」を受賞した原稿に、いくつか石臼の会ブログ用に持っていた写真を追加して掲載しました。関係者皆さまのご厚意に心より感謝します。
(石臼の会ブログ管理人 笑門来福)