とき:2013年7月15日(祝)
10:00〜12:30(30分予定延長)
ところ:茅野市 マリオローヤル会館
参加者:関係者を含め50〜60名
(東京からの参加者:ほしひかるさんはもとより、稲沢敏行さん、松本一夫さん、小林尚人)その他、木曽のあららぎそば愛好会杉井智佐子さん
シンポジウムは、主催者茅野商工会議所 宮坂孝雄会頭の挨拶で始りました。
T、基調講演:演題 『暑中 献上寒曝蕎麦』
江戸ソバリエ協会 ほしひかる氏
内容
1、蕎麦切りの初見について、 まず「麵は室町時代から」というテーマで、将軍足利尊氏の1340年代ソーメンの初出にはじまり。麵の歴史的な発展の流れの中で1574年蕎麦切りの初出(将軍足利義昭の時)に至るお話しからはじまり。こうした粉食文化の発展のために不可欠な挽き臼の伝来の歴史にいたるお話しでした。
2、寒曝蕎麦について、史料「大成武鑑」嘉永5 出雲寺万次郎刊には暑中「寒曝蕎麦」の献上記録、および「郡方日記」(諏訪教育会所蔵)によると、1688〜1871年江戸から明治の初めに至る当時の献上の略史。そして「支配する者」と「支配される者」とにおける献上の考え方・方法・内容などのお話しは興味を引くところです。
U、信州大学農学部 井上直人教授
『陰陽五行からみた蕎麦の行事食』
蕎麦を陰陽五行という視座から考察されたお話しは、いままでにない新鮮さを覚えるものでした。その概要は、「年越し蕎麦の意味」、「蕎麦の迎春行事食の象意」、「『寒晒し』の合理とは?」、「土用の丑に日のうなぎ食の原理」、「土用の丑の日の寒晒し蕎麦の原理」、「結論:蕎麦の行事食には古代からの自然観と祈りが凝縮されている」、「おわり:寒晒し蕎麦の成分や消化性の変化」。小見出しの項目の何れをみても大変興味を魅かれるものばかりです紙面の関係で詳細は省略しますが、私は「結論」と「おわり」の項には共感することが多く、日本人として覚えておくべき大切な事ではないかと思いました。
V、茅野の取り組み
1、作業・取り組み映像の上映
2、CBA戦略マーケティング研究所 山腰光樹氏
寒晒しそば消費者アンケート結果(2008〜12)の報告
(注:概要を加重平均で表示します)
@ 齢:39歳以下約20% 40〜59歳約40% 60歳以上約40% A性別:男性約56,5% 女性約43,5% B住まい:茅野市約22% 周辺都市約16,8% 長野県外約52,9% その他約8,3% C寒晒しの味:大変美味しい約70%、やや美味しい約22,4% その他約7,6%D得点:80点以上約92%
そのたの項目については省略します。
寒晒しそばの地域ブランド開発ステップアップについてのお話しがありましたが省略します。W、その他の地域の取り組み
1、伊那市高遠町の取り組み
平成9年ころまでは知らなかった。高遠藩主保科正之が寛永13年山形領へ移封された時職人や農民までもつれて行ったため、山形で寒晒しそばが再現され、それが平成のごく最近になって山形から逆移入されました、それまで高遠では知らなかったということです。
2、栃木市出流観光協会の取り組み
出流寺の滝では寒中滝水に打たれる修行が行われます。その滝坪で5年前25キロの蕎麦で始めました。晒した蕎麦に細かい砂やごみが混ざるため、その防除対策を工夫するなど苦労されているそうです。
X、トークセッション
井上直人 氏
山脇光樹 氏
コーディネーター 氏原睦子 氏
(信州大学名誉教授 故氏原暉男氏のご息女)
寒晒しそばの認知度をどう高めるか。そのためには、漠然としたものを具体化させること。地元の理解と外部に向けた、文化面と品質(他の蕎麦との差別化)でPRが必要だろう。機能性と地域の風土、歴史と組んだ特性。特に冷たい麵を食べる習慣は日本だけの特徴。そのためにもより精度の高いイノベーションが必要になる。等々多くの貴重な発言がありました。
その他、会場に至る茅野駅コンコースでは「エキナカ市」と銘打って、楽しいお店(手打ちそば・焼き鳥・生ビール・地産のトマト、手作り手芸品等々)が店開きしその場で味を楽しめます。そして「7月12日から28日まで献上寒晒しそば祭り」がはじまっており、市内10店舗で寒晒しそばを賞味することができます。
小林尚人