特定非営利活動法人江戸ソバリエ協会主催、料理研究家の林幸子先生+江戸野菜研究家の大竹道茂先生による江戸ソバリエ・レディー限定のセミナーに参加してきた。前回「冬の章」に続く、今回の「春の章」は、江戸蕎麦の原点と明日の料理を期しながら、「江戸蕎麦+春の江戸野菜」を学び、楽しめるような内容だ。
■■江戸野菜
■■ 旧中山道はタネ屋街道
江戸東京・伝統野菜研究家の大竹道茂先生による江戸野菜のお話。馴染みのある地名を冠した東京独活(うど)、滝野川ごぼう、滝野川にんじん、練馬大根など、関東ローム層が根菜類の栽培に向いていたこともあり、今のとげぬき地蔵辺りから板橋区清水町にいたる約6kmの間は、タネ屋問屋が9戸、小売店が20戸も立ち並ぶタネ屋街道だったとのこと。
この話を地蔵通り商店街にある「菊谷」さんで聞けるなんて、江戸ソバリエ協会も会場選び一つとっても、なかなか粋なことをなさる。そして引き受けた「菊谷」さんにもチャキチャキとしたお江戸を感じ、その心意気にも惹かれる。
それにしても、東京独活(うど)の話は、知らない事ばかりで、「へぇ〜っ」を連発してしまった。栽培に手間のかかるものだったのだぁ。
そして今日の催しには全く関係ないけれど、巣鴨のすぐお隣、駒込染井村からとされる「ソメイヨシノ」が、ちょうど今、花吹雪!風に舞い散る状況ということもあって、現在に続く粋な江戸好みの品種を、江戸野菜や観賞用の植物として確立したこの辺りの人々の、品種改良や技術研鑚の水準の高さを思い、何故か勝手に誇らしい気分にもなる。かっこいいな、江戸っ子。いいなぁ、日本。
■■春の江戸野菜
■■ 美味しいレシピ
続いて、林幸子先生による「春の江戸野菜」を使った蕎麦料理「亀戸大根の旨味返し漬け」「のらぼう菜の変わり煮浸し」「独活かけ蕎麦」「独活蒸籠蕎麦」などのレシピ紹介があった。この後これらの料理を実際にいただけると思うと、受講者の頬は緩みがち!?ではあったけれど、皆真剣にφ(..)メモメモしながら聞く。
■■春の江戸野菜
■■ 蕎麦料理ディナー
まず、ビールで乾杯。
一.東京独活 蒸籠
茹でた細切りの独活と蕎麦を、蕎麦汁に浮かべて。
台の蕎麦は、埼玉県入間郡三芳産 茨木在来&常陸秋そば交配種H24SY 丸抜き電動石臼挽き&茨城県旧岩瀬町産 常陸秋そば H24SY 丸抜き電動石臼挽き。さっぱりとシャキシャキ感の残る独活と細打ち蕎麦のコラボ。七色唐辛子が良く合う。
東京独活 打掛蕎麦
晒しねぎと、粗みじんのお出汁の味の染みた独活が、蕎麦の上にたっぷりと乗せられている。煮干し・昆布・鰹節の旨みがバランスよく配合された優しい上品な冷かけの汁と頂く。美味しいっ! やはり、台の蕎麦は、埼玉県入間郡三芳産 茨木在来&常陸秋そば交配種H24SY 丸抜き電動石臼挽き&茨城県旧岩瀬町産 常陸秋そば H24SY 丸抜き電動石臼挽き。
一.亀戸大根 旨味漬
本枯れ節と昆布を入れて十分に旨味の移った本返しで、亀戸大根を漬けたもの。対比の為に、漬けていない生の亀戸大根も一緒に出してくださった。ちょっと辛味が効いている生の状態のものから、そこに旨味が加わりパリパリと食感も楽しい漬け後のものは、素材が一段グレードアップした感もあり、何時でも近所のスーパーで買えるといいのに、と思わせた。
一.野良坊菜 直焼
野良坊を、御揚げと一緒に少量の油で焼く。見たと通りの味ながら、香ばしくってとっても美味しい。下茹でしなくて良いのが、いいなぁ〜。真似しようっと。
「まだ飲みたい人は、各自精算方式です」と並べられた本日用意の日本酒。ありゃまぁ〜素晴らしい。これって、何かの罠ではないだろうかぁ。でも、今日は勉強に来たのだから…仕方ない、我慢がまん。いや、でも…術中に嵌ったと見せかけて…いや…、うぅ〜ん、まっいいか、まんまと罠に嵌ろうっと。ということで、お手を煩わせて恐縮ながら、竹鶴を1合 燗にしてもらう。
野良坊菜 煮浸
林幸子先生が、遊び心をもって作った変わり煮浸し。野良坊菜の花に見立てた炒り卵が、寒天(+ゼラチン)の中で咲いている。大好きな柚子胡椒の風味が爽やかぁ。
一.利蕎麦
まず、あいもり
左:中太打ち
東京桧原村在来種 手刈り天日干し H24SY 丸抜き電動石臼挽き & 同種の玄ソバをドイツのセラミック臼で粗挽きしたもの を二八で。
右:細打ち
埼玉県奥武蔵吾野産 交配種 手刈り天日干し 共同栽培H24SY 丸抜き電動石臼挽き & 同種の玄ソバをドイツのセラミック臼で粗挽きしたもの を外一で。
どちらも凝っているなぁ。
(※ここで言っていいのかどうか…分かりませんが、我らが石臼の会会員萱草庵さんでも、この通称トム臼(=ドイツのセラミック臼)を最近導入し、従来の石臼と合わせて、変化のある面白い粉を作っていろいろ出してます、です。はい。菊谷さんを始め、ソバをどこまでも探究するって素敵です。<m(__)m>)
二枚目
埼玉県入間郡三芳産 茨木在来&常陸秋そば交配種H24SY 丸抜き電動石臼挽き&茨城県旧岩瀬町産 常陸秋そば H24SY 丸抜き電動石臼挽き。これは、先ほど、グー先生とのコラボに使われ台となったものだ。菊谷さんが、裏方として控え目に表現する?つるっキリッとして、綺麗な薄緑色が小粋で江戸っぽい感じ。
三枚目
「並」蕎麦としてだしている感じのもの
茨城県旧岩瀬町産 常陸秋そばH24SY 丸抜き電動石臼挽き & 栃木県益子町産 常陸秋そば H24SY 玄ソバをドイツのセラミック臼で粗挽きしたもの を二八で24時間熟成させたもの。
四枚目
「吟」としてだしている感じのもの
富山県山田清水産 山田清水在来種 天日干し 電動石臼挽き H23SY & 栃木県益子町産 常陸秋そば 水洗い玄ソバをドイツのセラミック臼で粗挽きしたもの を外一で24時間熟成させたもの。
巣鴨「菊谷」さんでは日頃の品書きに「利き蕎麦」があって、2種類(時に、3種も)の蕎麦を食べられるのだけれど、今日のはまた取り分けゴージャスで、特別。うわぁ〜利き蕎麦面白いっ。
最初の合い盛りでバシッと決めたかと思うと、2枚目でお江戸っぽい清々しさを表しつつ度量の広さを示し、3枚 4枚目と風味と穀物感を増し、こんなんもあるんだぞぉ〜と、やってくれた。同じ甘みと表現するにも、少しずつ甘みの種類も違うし、風味も違う。産地ごとのソバの特性を開いて見せるのも面白いし、菊谷さんの場合のように、産地や挽き方をそれぞれ工夫し、時々にカスタマイズして、狙った香味を表現しているのも凄いな。いやはやホント面白楽しい。いやはやホント有難い。
一.任腕甘味
春〜〜っ!」を感じる一品。桜餅?というか、中の独活はほろ苦さを生かしつつ、ほんのり甘く柔らかく煮たものが、桜色の薄皮と塩漬けの桜葉で包んである。今回のコースの独活は、それぞれのレシピで、食感や味がそれぞれ全部違って、凄く楽しい。今まで何とかの一つ覚え的に、天ぷらにするか、和え物か、きんぴら位しか思い浮かばなかったけれど、こんなにバラエティー豊かに変身できる食材なんだなぁ。
いやぁ〜満足、満足。楽しく美味しく勉強になった。
なんと表には出ていらっしゃらなかったけれど、裏方にニコニコ笑顔の寺西名人が厨房にいらしたのも、見てしまった。凄い。
「夏の章」が待ち遠しい。
手打ちそば「菊谷」HP
お店のブログ「蕎麦滑降」
※こちらは、石臼の会ブログ右端「気になるプロのブログ」カテゴリから、巣鴨地蔵通り「手打ちそば 菊谷」ブログという表示で、常時リンクをはっているところと同じ。
■住所豊島区巣鴨4−14−15■電話03−3918−3462■営業時間平日・土曜日・祝日 11:30〜21:00(中休み無し)ラストオーダーは20:30。売り切れ次第閉店。■定休日火曜日。但し、祝日や「4」のつく日は営業し、翌週の月曜は振替休業■アクセス都電荒川線 庚申塚駅徒歩3分 /都営地下鉄西巣鴨駅徒歩8分 /JR山手線巣鴨駅・都営地下鉄巣鴨駅 徒歩10分
posted by 笑門来福 at 07:59| 東京 ☀|
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