2012年05月29日

牛込神楽坂「巽蕎麦 志ま平」

久〜しぶりにお邪魔するものの、向かう道々いただくものは決めていた。旨みの濃い味わい深いものを欲して「志ま平」さんを目指すのだから、迷いがない。だから、戸をガラガラっと開くなり「深山をお願いします」と、きっぱり。


 

蕎麦



すると迎えたご主人が、「久しぶりでしょ、以前の深山と変えたんですよ」と。伺えば、挽きぐるみを糠篩(概ね1520メッシュほどの篩だそうだ)で篩った北海道8:福井2のブレンドで、以前と製粉の方法がかわったそうだ。今日はそれを4日間熟成させた「熟成の深山」も出せるという。あぁ〜志ま平さんでも、熟成蕎麦をやっていたのか。最近、ちらりほらりと熟成をやるお店に遭遇する。粗挽きの熟成、こりゃぁまた楽しみということで、あらためて「それでは、熟成の深山お願いします」ということに。



 神楽坂「志ま平」深山.jpg

4日間熟成の「深山」1000





神楽坂「志ま平」熟成深山.jpg 

ムワァ〜濃い、濃醇!穀物感が凄い。

香ばしいカカオのような香りが、すぐ後ろに隠れている。

粒の食感も残り、強いインパクト。



こちらのお店の、甘みを抑えた辛口の濃く旨みのある辛汁は、薄削りの本枯れ節から和食の職人さんのような手法で出汁をとる。大仰なドッシリ感がなくとも、インパクトの強い深山にも倒されない・負けない辛汁。夜のコースをいただくと、スープや肴の美味しさに、かえしを入れた料理のバラエティー豊な展開を学ぶこともでき、とても参考になる。



蕎麦後そばぁ〜とデザート



少し軟らかめに滑らかに作った蕎麦掻でつぶ餡を包んで、きな粉をまぶす。カウンター越しに見る作業の手早く軽やかなこと。「蕎麦掻はタイミング。過ぎれば腰抜けのようになる」と、秘訣を教えてもらった。なるほどねぇ〜、そうそうそう言えば、ほんと思い当たる節がいくつもある。



 

 神楽坂「志ま平」伊吹だんご.jpg

伊吹だんご 500



神楽坂「志ま平」伊吹だんご断面.jpg

うぅ〜ん美味しい
柔らかな皮部分も、この甘過ぎないつぶ餡も大好き。




ご主人と蕎麦の話しに大きな花が咲き、いろいろいろいろ教えていただき、ついつい長居してしまった。申し訳ない。ご主人から、数日前に熟成の「深山」と普通の深山」蕎麦ったと伺い、面白そうだと興味がわいた。私も、一緒に両方手繰ってみれば良かったと、家に帰った後になって思った次第。



■住所新宿区納戸町33■電話03-5261-8381■営業時間12:0014:0018:00ぐらい〜蕎麦売り切れまで■定休日■アクセス都営江戸線牛込神楽坂駅徒歩5分、東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅徒歩7分、東京メトロ東西線神楽坂駅徒歩9



    次項有お店のHP





posted by 笑門来福 at 10:02| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 新宿・豊島・渋谷区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月28日

石田式 二口ガス使用 出汁ひき鍋




石田式出汁ひき鍋.jpg


価値:
一般的な鍋の基本構造は円筒型で、大量に出汁をひくには直径も大きくなり、業務用の大口ガスコンロが必要となる。しかし、本品ならば家庭用のガスコンロを使って、一回で充分に濃い21Lの出汁をひくことができる。(真水36L→煮詰り率60%21L


仕様:
板金溶接加工による横幅60cm×奥行き25cm×高さ30cmの直方体ステンレス鍋。出汁抜き用蛇口・両袖取っ手付き。


用途:
ガスコンロの手前二口にまたがるように鍋を据え、両方のバーナーの火力で高温・大量出汁ひきをする。
3040人分のそば汁を一回で作れる)



製作:
大田区の金属加工会社に特注(材料指定・サイズ・形状デザイン・取っ手・蛇口・内側目盛り・・・)


開発製作:ClubAD蕎麦打ち異業種交流会主催
     
江戸ソバリエ「石臼の会」蕎麦打ち指導

     石田大三



         ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)


趣味で、頻繁に蕎麦打ちをする人でも、家庭で21Lの出汁を必要とする人は、そうそういない。私などは日頃、辛汁を少ない分量でどうやって美味しく作るか、心を砕いているくらいだから・・・。そんなこんなで、石臼の会蕎麦打ち会の時にも、度々蕎麦汁を提供してくださる石田氏には、いつもいつも感謝していたのだが、こんなに凄い道具を使っていたとは。この大掛かりな発明品を見るに付け、石田氏のパワフルにして広範囲な活動にあらためて思い至り、石臼の会蕎麦打ち指導者って凄いなぁ〜と、延いては石臼の会賛美、どうだぁっ!ってな自画自賛的な記事に。





posted by 笑門来福 at 17:38| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) |  蕎麦打ち道具作り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

石田式 携帯用連結麺棒

自宅以外で蕎麦を打つ時に、持って行きたい蕎麦打ち道具が幾つかある。長い麺棒を難儀しながら持ってゆくのも仕方がないのかと思っていたら、蕎麦打ち指導担当にして石臼の会きってのアイデアマン石田氏が、面白便利なものを考案作成した。


ぴかぴか(新しい)   ぴかぴか(新しい)   ぴかぴか(新しい)   ぴかぴか(新しい)   

石田式携帯麺棒.jpg


価値:
出張蕎麦打ちに欠かせない持ち込み3道具を一つのバッグに収めることができる。

(持ち込み3道具=包丁・小間板・麺棒。この内、麺棒が長く、特に電車利用の場合にその扱いに苦慮していた。)


用途:
打って飲む電車出張蕎麦打ちのとき、自転車で蕎麦打ち道場に通うとき、 海外等に飛行機で移動して蕎麦打ちをするとき。


仕様:
組み立て時750mm(外径25mm×長さ375mm×2)アルミ鏡面仕上げ、ワイヤーリンケージ、緩み止めナット付き。


制作費:約3000

開発製作:ClubAD蕎麦打ち異業種交流会主宰

江戸ソバリエ「石臼の会」蕎麦打ち指導

石田大三

   
                ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)


工作ベタな笑門来福としては、正直ちょっと構造はどうなっているのか、良くわからなかった。ともあれ、分割して運び、現地で組み立てることが出来る。




posted by 笑門来福 at 17:37| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) |  蕎麦打ち道具作り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

今年も「江戸ソバリエ認定講座」あり〼

蕎麦好きの皆さまに、嬉しいお知らせです。第9回江戸ソバリエ認定講座、受講生募集中!との情報が入りました。

722日から始まる講座を受講し、江戸ソバリエに認定されると、なんと!めでたいことにぴかぴか(新しい)石臼の会入会資格ぴかぴか(新しい)も取れます。「何がめでたいんだよ。石頭だか、石焼き芋だかぁ〜知らないよ。石臼の会なんざぁ〜入りたくもないわい。」という方も、まぁ〜聞いてください。もともと受講生同士の食べ歩きから、会を発足することとなった石臼の会としましても、蕎麦が繋いでくれる素敵な江戸ソバリエ仲間のできることを、心より歓迎しております。




もし、蕎麦に興味がある、蕎麦打ちをやってみよう、麺が好きだ、食べ物に関心がある、和食に興味がある、食文化を勉強してみたいという方は、受講してみてはいかがでしょうか。それぞれの専門家が講師となっておりますので、素晴らしいひと夏の経験となることでしょう。

たとえば、講座や講師は以下の通り


江戸の蕎麦



錦町更科 堀井市朗



蕎麦粉



北東製粉 重田耕治



味醂



角谷文治郎商店 角谷利夫



蕎麦猪口



戸栗美術館 中島由美



蕎麦打ちの基本



たかさご 宮澤佳穂



蕎麦汁



元ヒゲタ醤油 加藤哲哉



蕎麦の歴史



江戸ソバリエ協会 ほしひかる



日本酒



菊正宗酒造 村田 祥



甘味



蕎麦打ち名人 寺西恭子


和菓子研究家 高由貴子



蕎麦打ち体験



江戸流手打蕎麦鵜の会


または、桜流蕎麦打ち研究会


日本酒と甘味の講座は、選択制です。

和菓子研究家 高由貴子は、石臼の会会員です。

講座は、全て日曜日に、千代田区内で開催です。




受講申し込み方法など詳細は、江戸ソバリエ協会HP 
    次項有第9江戸ソバリエ認定講座」


ラベル:資格 蕎麦
posted by 石臼の会会員 at 14:16| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ■「耳学」いろいろと薀蓄を | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

石田式 「猫の手」

まず、蕎麦を打つ時に、そろえたい道具が幾つかある。それらを難なく使いこなすのには、若干の練習が必要である。まぁ〜美味しい蕎麦の為に、日々精進して地道に体得してゆくしかないであろうと思っていたら、蕎麦打ち指導担当にして石臼の会きってのアイデアマン石田氏が、面白便利なものを考案作成した。



熟練者にとっては、わけなく簡単に遣いこなせても、初心者にとってはなかなか難しいものの一つが、麺棒。


石田式猫の手.jpg


これを使えば、麺棒技の「猫の手」がうまくできない初心者でも、いきなりスイスイるんるんと意のままに延すことができる。


ただし、ぴかぴか(新しい)本当の価値は「延しの原理」が理解できるぴかぴか(新しい)ことと、ブルドーザー延しからロードローラー延しに変るので「麺が傷まない→切れにくい」こと。






仕様:
「のこぎりガイド」(鋸の角度を安定させるためのグリップ付小間板)を利用して、キャスターとスキッドを付けた。


用途:
初心者・手が不自由な方・延しに疲れた蕎麦打ちのプロ・手打ちと製麺機の中間(第三の道)を求めている方。


製作費:5000円程度



開発製作:ClubAD蕎麦打ち異業種交流会主宰

江戸ソバリエ「石臼の会」蕎麦打ち指導

石田大三



 

posted by 石臼の会会員 at 14:15| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) |  蕎麦打ち道具作り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

石田式 こま板

まず、蕎麦を打つ時に、そろえたい道具が幾つかある。それらを難なく使いこなすのには、若干の練習が必要である。まぁ〜美味しい蕎麦の為に、日々精進して地道に体得してゆくしかないであろうと思っていたら、蕎麦打ち指導担当にして石臼の会きってのアイデアマン石田氏が、面白便利なものを考案した。

熟練者にとっては、わけなく簡単に遣いこなせても、初心者にとってはなかなか難しいものの一つが、こま板。まな板の上の麺体の、更に上に乗せて、蕎麦包丁の進み幅を調節する、定規のような役割をしてくれる大切な道具である。形状に地域性があり、「必要ない。使わん!」という方もおられるが、美しい細打ちの蕎麦を打つために必要不可欠と考える人が多い。

そこで、石田式 こま板




    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)    ぴかぴか(新しい)

石田式こま板.jpg


価値:
こま板がブレることなく真っ直ぐ送られていくので、麺体の最後まで無駄にすることなく長い蕎麦が切れる。


仕様:
こま板は透明アクリル板でできており、かつ裏面全体(麺体に接する面)が三角形の波板状になっている。


用途:初心者、木製こま板で曲がり癖が治らない人。

製作費:3000円程度


開発製作:ClubAD蕎麦打ち異業種交流会主宰

江戸ソバリエ「石臼の会」蕎麦打ち指導

     石田大三



 

      
   ぴかぴか(新しい)  ぴかぴか(新しい)  ぴかぴか(新しい)  ぴかぴか(新しい)  ぴかぴか(新しい)  ぴかぴか(新しい)


私、笑門来福はへそ曲がりだからか、包丁おくりが斜めになっているのだろう、いつも最後のほうに三角に麺体が残る。だから「これはいいっ!」と思い、早速 発明王石田氏に「“ちょうだい”の念」を送ってみたのだが・・・。


笑門来福:「いいなぁ。欲しいなぁ。」「ひょっとして量産したら、売れると思いますが・・・。」


石田氏:「・・・某ハンズに、材料が全部揃っているから、自分でつくるといいですよ。」


笑門来福「・・・」


ということで、既に件のこま板は、希望者に嫁入りが決まっておった。残念っ。欲しい人は、不器用でも工作にチャレンジですな。



posted by 笑門来福 at 14:14| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) |  蕎麦打ち道具作り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月17日

伊豆高原「グルメ厨房 生田」

1日ドライブして、熱海「多賀」南伊豆町「つかさ庵」と蕎麦を食べ歩いた。もぅそろそろ帰路につかなくっちゃ・・・と〆に伺ったのが、こちらのお店。なんたってオーナーシェフ山崎賢司さんの経歴が面白い。早稲田大学第一文学部卒業後、銀座三笠会館でフランス料理、南仏マノスク市オテルリ「ラ・フュスト」で南欧地中海料理、浅草ロシア料理店「マノス」等でロシア料理を学んだ後、練馬でキャベツロール専門店を7年営業。その後、蕎麦店を志し、山梨県長坂町「翁」、練馬「明月庵田中屋」で修行後、小田急生田「手打ちそば生田」を11年余り営業、その後伊豆高原に移転し、現在の伊豆高原「グルメ厨房 生田」を営業している。

そんなお店の看板には、鉄砲捕り猪肉・定置網地魚・手摘み山野菜とある。また、創作伊豆料理 心あたたかキャベツロール・・・、伊豆の地魚ブイヤベース・・・、自信の手作り蕎麦・・・、酒肴・猪肉・鮎・山野菜・・・とも。伺った日は、暮れなずんだ中その看板の前で、山男?のような芸術家?のような風貌のオーナーシェフが、なにやら灯篭のようなオブジェを創作中であった。

シェフが厨房にいないということは・・・ちょっと伺う時間が遅かったのか?お店は御仕舞いか?と心配になって「名物のロールキャベツ、まだ食べられますか?」と聞くと「キャベツロール、おだしできますよ」と。その場でロールキャベツとキャベツロールの違いを、チラッと説明してくださったのだが、私にはチンプンカンプン。うぅ〜ん面白い、面白いぞぉ〜、どんな料理なんだろう。益々期待が膨らみ店内へ。先客は居らず、「好きな席へどうぞ」と。




 

蕎麦前キャベツロールもね・・・



伊東市八幡野「生田塩辛.jpg







日本酒をお願いすると、
お通しに烏賊の塩辛











 










伊東市八幡野「生田」くれそんさらだ.jpg


クレソンサラダ450




 

メニューの中では、「蕎麦」の欄の上に「キャベツロール」があった。折角なので、その5種類の「キャベツロール」の中から2種を。


 

伊東市八幡野「生田」キャベツロール和風.jpg

醤油味(そばの実入り和風)700





伊東市八幡野「生田」キャベツロールプロバンス.jpg


プロヴァンス風(野菜たっぷり南欧風)850



どちらもしっかり煮込んであり、具財そのものにも味が付いて、包んでいるキャベツの色ももぅ暗褐色。





 

蕎麦




伊東市八幡野「生田」海老おろしそば.jpg


海老おろし1000



添えの薬味にねぎもあり、蕎麦屋らしい馴染みの組み合わせ。そう言えば、なんだか「明月庵田中屋」っぽいような気も・・・。



 



伊東市八幡野「生田」洋風クリーミーそば.jpg


洋風クリーミーそば1000



外見やネーミングから、生ハムの下は生クリームっぽい味を想像して口に運ぶと、意外やキッパリとした酸味があって、どちらかと言えばマヨネーズっぽい風味。




 

ご案内くださった江戸ソバリエ仲間の皆さま、今回も有難うございました。長い運転、下調べ・諸手配、細やかにいただくご配慮にも、感謝感謝です。



 

■住所静岡県伊東市八幡野1283-106 ■電話0557-54-0501■営業時間11301430 17002030■定休日木 ※オフシーズン時(2691012月)には不定期にお休みもあり、時として臨時休業日もあるので、特に遠方からお出かけの時は、営業の確認をオススメする。

■アクセス<電車>伊豆急線「伊豆高原駅」より桜並木経由のバス(大室山・シャボテン公園行または一碧湖行)で5分。大室山荘バス停下車。目印になりそうな「天使の美術館」の奥、右側56件目。<車>伊東市街より国道135線14km→「池入り口」の信号を右折、池通りを1.3km



  次項有 お店のHP



posted by 笑門来福 at 08:23| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ⇒静岡・愛知・岐阜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月15日

妙典「さくらそば」

2011105日にオープン。駅から歩いて56分とはいえ、住宅街のど真ん中だ、知らずに偶然店の前を通りかかってフラリと入る客は、まずいないだろう。きっとそろそろ静かになるだろう店内を想像して、平日13時半を回った頃に向ってみた。

するとなんと、予想に大きく反して! まず店の駐車場に、小さな子供を乗せる椅子を装備した自転車が、何台も何代もズラリと停まっており、ママ友ランチを楽しむ若い笑い声が、漏れ聞こえてくるではないか。幼稚園児PTAの集まりだろうか、この団体の平均年齢の若さに、ここは流行りのケーキ屋か?と。



妙典「さくらそば」蕎麦と庭.jpg


少し戸惑いつつも暖簾を押すと、ゆったりとしたスペースが大盛況。

声の主たちは、小上がりに陣取っていたし、広々と気持ちの良い庭に面したテーブル席では、いぶし銀の1人客がそれぞれに、本を読みながら蕎麦前をチビチビやっている。おぉ〜〜なんとも気持ちが良さそうだ。

そうか、皆さん思い思いにのんびりと過ごしているから、ランチピーク時間も長いのだな。





さて…と、品書きやらなにやらを見まわす。するといきなり、「普通のお蕎麦を是非、一度ご賞味ください。」と書いてある。お店からこの突然の「普通」宣言に、最初は「普通ってなんだろう?」となった。しかし、良く読むと「昔ながらの材料と気持ちで、……本当に良い材料を使い、最高で美味しい普通のお蕎麦を、是非一度ご賞味ください。」とあった。ほぉ〜そういうことか。奇を衒ったものではない、ということで「普通」と表現しているようだ。



若い店主さんは、主に立会川「吉田家」、そして銀座「明月庵 田中屋」でも、通算すれば20年程も修業をした後、こちら妙典「さくらそば」を開業したという。駐車場の看板にも、鰹節の事を書いている位だから、店主の言う「普通」がとても楽しみだ。




限定蕎麦御膳



妙典「さくらそば」蕎麦御膳 .jpg


蕎麦は「せいろ」と「かけ」を選べる。天ぷら、茶碗蒸し、かぼちゃと里芋の煮物、お新香、デザート、そして珈琲か紅茶が付いて、1500円。


蕎麦は、少しモチモチ感のある二八。釜前の仕事、水切り具合は、職人のソレで、昨日や今日蕎麦を打ち始めた者にはできない安定感。天ぷらは、所謂蕎麦屋さんの天ぷらの感じではない、立会川「吉田屋」の流れか。


妙典「さくらそば」珈琲とデザート.jpg

デザートも嬉しいし、珈琲も美味しい





他の品書きは、二八せいろ700円、かけ700円、天せいろ1500円、お新香300円だから、この煮物や茶碗蒸し、更にはデザートの付く限定蕎麦御膳は、とんでもなくコストパフォーマンスが良いのでは?




蕎麦湯は、完全ナチュラル系。汁徳利がなく、蕎麦猪口に予め辛汁が注がれて供されるのだが、私の場合大量に辛汁が余ってしまった。だから、空の蕎麦猪口を新しく一つ運んでもらうか迷ったけれど、茶碗蒸しの空いた器で蕎麦湯を楽しんだ。供する辛汁の量は、お店のほうでも悩ましいところだろう。



 





 

文化交流の場に…



「普通」の蕎麦を標榜するこちらのお店は、普通に「蕎麦だけ」のお店じゃないことを目指している。いろいろな文化交流の場にしたいという意欲的な店主さんと話していると、その事がじんわりと感じ取れる。お店の名前は、あの「サクラ大戦」に因んだということで、インテリアのテーマは大正ロマン風である。この冒険活劇的空想空間の中で、歌謡、演劇、オカルト、ロボット、更にはゲーム性も加えた幅広い要素を、ぐわぁ〜んと融合した万華鏡的な面白さを、蕎麦屋という空間運営にも、なんとか持ち込もうとしているようだ。

面白そうっ!
個性豊な蕎麦屋さんの奮闘を、陰ながら応援したい。




 

妙典「さくらそば」 飛び出す絵本.jpg


窓辺に飾られた飛び出す絵本の数々

店主さんは「遠慮なくどうぞ、開いてみても良いですよ」と。背表紙から察すると、新旧あるもののやっぱりファンタジー物が多い…。蕎麦関連本は、右端に数冊…みえる。




■住所千葉県市川市塩焼1-4-27■電話047-397-7717■営業時間1100143017002030■定休日■アクセス東京メトロ東西線 妙典駅 南口徒歩6分 /駐車場3台有り

 

posted by 笑門来福 at 08:37| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ⇒千葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月11日

名人が打つ超稀少ソバ種を手繰る@愚直庵

なんと、関係者が無理を重ねた末に手に入れた超稀少種○○ソバを、ワイルドに製粉した粉があるという。「えっ!○○ソバ?!」と絶句する私に「入手経路を含め○○の事を公開・詮索しない約束で、手繰らせてやらないでもない。」と、日頃お世話になっている某Mさまからお誘いをいただいた。「む・む・むっ!」慌てて口を押さえヒソヒソ声で「約束します。参加させてください」とお願いした。そういった事情があるので、○○は、例えばピー音だと思って、申し訳ないけれど眼を瞑ってもらいたい。


かくして集まった場所は、江戸ソバリエの秘密蕎麦打ち基地「愚直庵」である。

愚直庵とは



愚直庵とは、江戸ソバリエ仲間のIさまが、とある場所に開設した蕎麦打ちサロンである。

そこは、「一見さんお断り」仲間うちを対象としたサロンであることから、江戸ソバリエの蕎麦打ち場・教室などを紹介しているこのブログの当該ページには、庵主の要望もあり載せていない。


某駅から365歩(※庵主の脚の長さで。私の場合なら三百八十・・・えぇ〜い、どうせ私は脚が短いわい。)の愚直庵では日頃、吟味されたソバ粉は勿論のこと、庵主自身で作り上げた組立可動式の蕎麦打ち台や、出来上がった麺を茹でるのに使いやすい大鍋、大きな熱量のコンロ 鉢 麺棒など蕎麦打ち道具一式が全て揃っており、エプロンなど身支度さえ整えば手ぶらで行って蕎麦打ちを楽しむことができる。試食スペースである奥の和室には、あれこれ蕎麦前の持ち込みもOKとのことで、庵主Iさまは勿論、素敵な奥さまのお人柄も相まって、ゆっくり寛げる蕎麦三昧の為の素敵なサロンだ。

門前に愚直庵の看板は掛かっていない。





 

基本の教科書に載らない蕎麦打ち



今日の蕎麦切りは、3種。どれも美しい細打ち。

1.本日のメインイベント。○○ソバ ワイルド挽き

○○ソバは、奇跡のような事がいくつか重なり、ある場所で限定的に作られた種だ。その筋の方々に逸話は知られているけれど、玄ソバは勿論、粉も関係外部になかなか出てこないらしく、身近に「食べた」という人を知らない。


この状況下、秘密のルートで?今回入手された○○ソバの粉は、おそらく外皮も全部一緒に挽きこんでから篩ったもので、外皮がかなり残って、相当にゴワゴワざらざらしていた。粗い部分と細かな部分のバランスが微妙な上に少し乾き気味。割り粉を多めに入れることを想定して製粉したものだろうか。これを、あのT名人に十割で打ってもらうのだ。贅沢ぅ〜〜〜っ。

T名人が初見の超稀少種ワイルド挽きのこの粉に、どうやってアプローチするのか、見逃してはならない。丁寧な粉の扱い、水回しのなめらかさ、力みのない捏ねに、るんるん何だか自由自在ですねぇ凄いですねぇ〜るんるんと、見入っていたら、写真を撮ることをすっかり忘れた。覚えの悪い頭の中に、なんとか整理して記憶しておかねば。



2.埼玉三芳産 常陸秋ソバ種 無篩超粗挽き

石臼の会きっての変り蕎麦の名手Hさまは、最近は無篩超粗挽き十割に嵌っているようだ。今回も「じゃぁ〜まず、前座が打ちますかぁ」なぁ〜んて笑って、最初に打ち始めたけれど、その方法は後に見たT名人の丁寧で美しい蕎麦打ちとも共通点があった。

考え方として、なかなか水の入っていかない超粗い部分にきちんと水をまわす工夫をする。その後、他の部分と水分を均一化させる為に粉をなだめ賺す・・・叱咤激励・・・液状化を喚起(そんな言葉あるか?)・・・凡そソバ打ちに似つかわしくない変な言葉なのだけれどぉ〜なんと言うのかぁ〜うまく言葉にできない。過日行った超粗挽き無篩10割&掻き揚体験会@小岩「蕪村居」での蕎麦打ち方法とも、似ている部分がアレコレある。

私たち素人向けの基本的な教科書には載っていないいろいろな方法や考え方がある蕎麦打ちって、やっぱり本当に面白い。




3.愚直庵御用達 常陸秋ソバ

私たちの到着前に、愚直庵御用達のソバ粉で庵主が打っておいてくださった。打つところは見られなかったが、舟に入った美しくたおやかな細切りの麺を見て、うっとり。手繰るのが楽しみ。





 

蕎麦前


特別に、秘密基地内 囲炉裏設えの部屋へお邪魔した。ここでの炭火焼き蕎麦前は、本当に美味しい〜〜っ。し・あ・わ・せぇ口福


愚直庵子持ち鮎.jpg

卵がギッシリ子持ち鮎 & そら豆


その他にも、烏賊天ぷら 烏賊バター焼き 烏賊一夜干し、山葵の醤油漬け、かまぼこの温泉玉子掛け、産地の違う筍2種、豚さっぱり煮粒マスタード添え、大根煮物、蕗、などなどいろいろ。お酒もビールから始まって、いろいろぉ〜多種。




 

いよいよ蕎麦を手繰る



Hさまが取り分けておいた埼玉三芳産 常陸秋ソバ種超粗挽きで、庵主の奥さまが蕎麦掻を作ってくださった。軟らかく掻いたそれは、細やかで優しくふっくらとした出来上がり。いつもHさんが掻く埼玉三芳産 常陸秋ソバ種の蕎麦掻と、明らかに違うできあがり。同じ粉で、こんなに違いができるとは!面白い。蕎麦掻も奥が深いなぁ〜。

いよいよっ!!!

愚直庵 ○○ソバ.jpg

○○ソバ



香りがとても強く個性的。

打つのも見るからに難しそうだったけれど、ほんの僅かな茹で時間の違いで、優劣がグッとでたので、釜前泣かせでもある難しい粉のようだ。T名人の技で、細打ちにした外見は美しいけれど、外皮が舌触りに存在を強く訴えるし、主張の強い香りと相まってワイルドな強面の印象が残る。思わずBorn to be wildって、歌ったりなんかして。





愚直庵 超粗挽き無篩.jpg


埼玉三芳産 常陸秋ソバ種 無篩超粗挽き細打ち


打ち手のHさんが「まぁ〜なんとか繋がってるよぉ〜」と照れながら運ぶと、皆に「おぉ〜」と拍手を持って迎えられる。綺麗な細打ちの中に粒粒がギッシリ。風味が濃い。時々、石臼の会蕎麦打ち会でHさんが打つ埼玉三芳産と、ついつい比べる。粉のコンディションは直前に丸抜きを石臼で挽くほうが、やはり香り高くて良いかも・・・と密かに思ってもみたり。


 





 

愚直庵御用達ソバ粉.jpg


愚直庵御用達 常陸秋ソバ



間違いなく、美しくのど越しの良い、私たちに馴染みの美味しい蕎麦。毎日でも手繰りたくなる優しさに気持ちがホッとするし、背筋をすっと伸ばした庵主さまや奥さまが、この上質感をまるで当たり前のように供し続けることにも、心よりの敬意を抱く。奥さまの作る辛汁も、優しく円やか。







これらを、蕎麦だけで手繰ったり、辛汁にちょんと付けたり。


愚直庵変わり汁.jpg





また、嗜好を凝らした変り汁「雲丹と卵のソース」「クリーム花巻」「イタリアン・バジルオイル」などを付けたり、それはそれは贅沢な蕎麦探訪を繰り広げた。






 







 

蕎麦後





愚直庵蕎麦後.jpg



これだけ食べて飲んで・・・それでも・・・甘いものは別腹。お腹がいっぱいのハズなれど、何故かパクパクっと、不思議。大満足。



愚直庵主さま 奥さま 始め、ご指導くださり、無理な事をなんとか楽しく実現しようとお骨折りくださった皆さま、有難うございました。

posted by 笑門来福 at 09:57| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ■「手学」蕎麦打ち&畑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする