ご存知ですよね? 4の付く日は、あの“お婆ちゃんの原宿”巣鴨とげぬき地蔵さんの縁日ですよ。で、そんな事を朝のTV番組で話題にしていた24日。案の定?そのTVを見ていたと思しき母から電話が掛って来た。「久しぶりに美味しい鰻を食べたいのだけれど…買ってきてくれないかなぁ?ね?ね?」と。母がちょこっと食べたい鰻といえば、タレの甘さが控えめで、ふんわり柔らかな鰻ということで「尾花」か「にしむら」と相場が決まっている。しかし、足を痛めてからは「尾花」の座敷を敬遠していたから、巣鴨の縁日の風景→「にしむらの鰻」と連想したに違いない。地名を聞くとその場所の美味しいものが思い浮かぶ母である、なんだか懐かしくなったのであろう。なんてったって、「資生堂」と聞いて化粧品を思い浮かべずに、「ミートクロケット」と言う人だ。知っている人は知っているので笑ってしまうのだけれど、「ミートクロケット」は今も昔も銀座資生堂パーラーの名物料理だからして…食いしん坊のこの親にして、この娘ありなのか?…まぁ〜血は争えない。娘の私は朝のそのTVを見て、この6月に石神井町から巣鴨地蔵通りに移転オープンしたばかりの手打ち蕎麦「菊谷」のことを考えていたのだからね。
ということで、
地蔵通りを、都電庚申塚駅から都営三田線巣鴨駅まで一直線に南下する 「菊谷」で昼蕎麦→ちょこっとお地蔵さんにお参り→「にしむら」で鰻を折りに入れて貰い→「みずの」で塩大福もお土産に、というコースで、母娘の利害思惑が完全に一致しての巣鴨行き。
■■蕎麦
■■引越し前の石神井町「菊谷」は、蕎麦前も蕎麦も大満足ではあったが、飲んで帰るには我が家から遠く、たった一度お邪魔したきりだった。巣鴨まで出て来てくれれば、こっちのもんだ。(?いったい何が?)うほほい、移動距離が半分以下になったので、勝手に嬉しい。(というか、菊谷さんは、もともと巣鴨民だったらしい。)
頂いたのは、二種類の異なる蕎麦を別盛りにして出してくれる「利き蕎麦」¥1150.-
※仕込み状況によって三種類(1,500円)にしてくれる場合もあり。でも、縁日で「菊谷」も忙しいだろうこの日の蕎麦は、2種のみの扱い。
薬味は、山葵と大根おろし。葱が欲しい人は、別途お願いする。
蕎麦湯は、ナチュラル系蕎麦湯。
入口には、関係各方面から、また石森製粉からの開店祝いの花も置いてあった。決して広くはない厨房に、菊谷さん含む3名の方々が、あっちこっちへ飛びまわりとてもとても忙しそう。新しい人の流れ・厨房に慣れるまで、暫く大変なんだろう。お母様とおぼしき花番さんも、まだまだ慣れない様子ながらも生真面目で確実、とてもとても親切な接客ぶり、ほのぼのと好印象。母は強し!やっぱり頼りになりますなぁ。
木の魅力を感じる寛げる素敵なお店、開店の混雑が一段落したら、是非のんびりと蕎麦前もやりに夜伺いたい。
■■縁日の地蔵通り
■■ 菊谷さんのすぐ斜向かいにある「栄太郎」はその昔、奥には庭に面した休憩席が設えてあり、甘味かたがた涼やかな池も楽しめたように記憶しているのだが、知らぬまにビルに姿を変え…あぁ〜それにしても、木々の間を風が通り抜けるような心地好さや情緒が…。縁日の露店も様変わりして、バナナの叩き売りの口上や射的呼び込みの名調子、御面屋さんや水あめ屋さん、綿がしやカルメ焼き、ママゴト用品は完全に姿を消し、骨董品、健康食品と健康グッズ+α的な感じで、シルバーパワー全開の元気な通りになったとさ。
カメラをぶら下げた私に
「美味しいよぉ。撮って〜♪よろしくぅ♪」と縁日モードで声を掛けてくださった蕎麦稲荷寿司店もあったぁ〜、蕎麦つながりで パチリ。
そして今年の
すがも朝顔まつり
日時:平成23年7月2日〜7月4日
午前6時頃〜午後7時頃までを予定
場所:とげぬき地蔵尊高岩寺さま境内
巣鴨地蔵通り商店街沿い
この朝顔まつりの期間中は、懐かしい縁日露店が毎日出店!!するそうだ。
手打ちそば「菊谷」HP
お店のブログ「蕎麦滑降」
※こちらは、石臼の会ブログ右端「気になるプロのブログ」カテゴリから、巣鴨地蔵通り「手打ちそば 菊谷」ブログという表示で、常時リンクをはっているところと同じ。
■住所豊島区巣鴨4−14−15■電話03−3918−3462■営業時間平日・土曜日・祝日 11:30〜21:00(中休み無し)ラストオーダーは20:30。売り切れ次第閉店。■定休日火曜日。但し、祝日や「4」のつく日は営業し、翌週の月曜は振替休業■アクセス都電荒川線 庚申塚駅徒歩3分 /都営地下鉄西巣鴨駅徒歩8分 /JR山手線巣鴨駅・都営地下鉄巣鴨駅 徒歩10分
2011年06月29日
2011年06月27日
築地そばアカデミー井上明学長@ソバリエサロン
江戸ソバリエ倶楽部主催、月に一回概ね第4木曜日に開催されている情報の共有と懇親を目的としたソバリエサロン。特別講演としてこの日の講師は、築地そばアカデミー 井上明学長だ。今まで何度もご著書や各種メディアを通じての情報を目にしてきた あの井上明学長!が、蕎麦打ちの実演もするというので、万年初心者の私ではあるが講座末席に混ぜて頂いた。
あぁ〜それなのに…、あぁ〜もぅ本当に情けない事に、撮ったはずの写真が殆どもどれもこれも、散々であった。手が超高速で動くもんだから…なぁ〜んていい訳しつつ、仕方なしに肝心なところがない酷い写真とメモのみをブログに載せる。
■■39%未満で水回し
■■ 今日は、二八を39%未満の加水だという。いくら「水の入れ過ぎ、ズルだまに注意」ったって、私などは「ぎょ?」となる少ない数字である。どうやって纏まってゆくのか、のしてひび割れないのか?と、見つめる。
.水を、きっちりと39%の重量に計量する。(38%を計って、1%分を別にしておく)
.38%の分量を、一気に鉢のソバ粉に投入し、水回し。
私の普通と思っていた水回しでは、
ソバ粉が、粉→パン粉状→ビー玉サイズの粒→ゴルフボール位の大きさの粒→と順に大きく育って?行ってまとめに入る。という手順になるのだが、
井上学長の水回しの印象は、
粉→パン粉状→ギュッっとまとめ であった。体重を上手く利用するのがコツとのこと。
.まとめてみても、ちょっと足りないかな?と思ったら、残った別量りの1%分の水をほんの僅かに計量スプーンなどにとって、少し加える。
「38.3%〜38.5%位になるのじゃないか」と。「追加した分量も必ず量る」
最大に足しても39%までなのだから…驚く。加水完了の玉を触らせて頂いた所、やはり「硬い」と思ったのが正直な気持ち。「硬かったら、水を足すのは良い。でも、柔らか過ぎて粉を足すのはダメ」「水溶性たんぱく質の力を引き出す最も重要な段階なので、確実な作業をスピードをもって行うことが大切」とのこと。
これをどうやってのすのか。
■■厚さを計ってのすそして切る
■■
「上から見た形に拘っていても仕方がない、均一な厚さにのすのが目的」ということで、厚さのめやすになるプラスティックのスケールが数種類作られており、慣れないうちは、これらのスケールと時々眺め比べつつのしてゆく。
38.3%ほどの加水で作った麺帯の端々には、見ればやはり…ひびが入る。が、しかし、「コレで良い」「どうせ、ひび割れた端の所は食べない」「打ち方の綺麗な蕎麦でなく、食べて美味しい蕎麦を打っている」と力強い解説が入る。美味しい蕎麦は、こうして打つのだと。
打ち粉の使用量は、極々少しで、ほんの一つまみ程。
切り上がった蕎麦の面持ちは、剛毅朴訥な感じ。
■■仕上がった蕎麦は、90秒目安で茹で上げたものだ。加水率が少なくなればなるほど、麺の中の水分との熱交換に時間がかかるので、茹で時間が増えるのは当然だ。江戸ソバリエ講師であり、江戸蕎麦界のご意見番であった故藤村和夫先生に、「昔しから“生煮えは、釜前の恥”と言ったもんだよ。」と再三口を酸っぱくして教えて頂いた言葉の通り、少なすぎる茹で時間は、良くないと思っており、“コシ”があることと“生煮えで堅い”ことは、まったくの別だと日頃強く思うところであるが、この90秒には、やはりちょっと驚かされた。やはり38%〜39%の加水だとこうなるのだろう。
ギュ〜ッっと締まった蕎麦だった。90秒茹でてあっても、溶けていないというかぁ堅い。築地そばアカデミーでランチの蕎麦をいただくと、本日の蕎麦の割合と加水率を表示してあるけれど、その日の粉によってそれなりの超少加水で作られていたのか。その時その時の粉は見ておらず、表示だけを見ていたので、それがそれなりの超少加水で打たれていたということに、想いが至っておらず、唯単純にそういう粉なんだぁ〜と…お恥ずかしい限り。
■■雑感
■■「いろいろな蕎麦打ちがあるなぁ〜楽しいっ」と、改めて感じたし考えさせられもした。とにかくとにかく、加水率が少なくてびっくり。「打ち方の綺麗な蕎麦でなく、食べて美味しい蕎麦を打っている」という言葉を、ものの30分のうちに何度も何度も聞いた。打っているところを見せる蕎麦打ちでなく、実際に食べる蕎麦を打っているプロの言葉なんだと、重く受け止める。でも、あの堅さは、作業をする上では、なかなか難儀だ。私のように大きな体の割に非力な者は…だ。井上学長が「体重を利用してね」と仰っていたが、それを心強いと思う私は…うぅ〜ん、どうなんでしょ。あと、あのステンレスの鉢、いいなぁ欲しいなぁ。
ともあれ、
次回築地そばアカデミーのランチをいただく時は、もぅ少し心して手繰ることにしよう。
2011年06月13日
神楽坂「蕎楽亭」
伺った12時少し前の行列に、まずびっくり退散。ちょっと用事を済ませて再度覗いてみたら、大好きなカウンターに空席が。花番さんが、すまなそうに「カウンターでも良いですか?」と。大歓迎!とは、言葉にこそ出さず、「はい」とニッコリ笑って通してもらう。天ぷらを揚げる音が聞こえ、釜の見えるカウンター席が大好きなんです、ラッキー!
■■トマト蕎麦
■■蕎麦そのものも、とても美味しいのだけれど、またそれなのに、種物も捨てがたいこちらのお店で、暑くなって食べたくなるのが、この蕎麦。
「トマト蕎麦」¥1050.−(うどんでも可)
トッピングに白髪葱が乗ったトマト・バジル・玉ねぎそば汁ベースのトマトソース仕立て
夏だ、トマトだ、蕎楽亭。
下に見えているのが、丸抜きを石臼で自家製粉した粗引きの十割そば。最初に横からここダケを、二口・三口手繰る。この時、「あぁ〜美味しいっ!やっぱり “ざる”にすればよかった。これをたっぷりすっきり食べたい」となる。甘皮や粗挽きの粒子が見える細打ちは、ムッチリと濃厚な旨みと、しっかりとした香りがある。もぅこれが本当のご馳走。
でもなんとも優柔不断で我がままな事に、やはりトマトも食べたくなるから、次にソースを絡めていただく。フレッシュなトマトの酸味が強い方が好きな私には、最初一瞬玉ねぎの甘さが少々余分にも感じられたのだけれど、これがまた、蕎麦汁にあうように計算しつくされた甘さで、食べ進んでみて大満足。バジルの香りも爽やかに、うぅ〜ん、これもいいなぁ。し・あ・わ・せ♪
最後に、とろ〜〜り熱々のポタージュ系蕎麦湯を。
■■あれこれ
■■今まで、何度も何度もこちらのお店の事を記事にしたような気がしていて、過去記事にリンクをはろうと探してみたが、見当たらない。あれ?あれれ?他のところへ書いたのか?だんだん日常のことでも、記憶が曖昧になっており、自分の頭が信じられない。ボケの始まりか。
ともあれ、
ちょっと無愛想?というか素っ気ない感じがするけれど、情が篤いのでは?と思えるこちらのご主人は、会津のご出身。東北の人は、口は少なく心は温かいというから、ね。だから、今回の震災でも、悲しい思いをしていらっしゃることだろう。陰ながら応援しています。
何年か前の年の瀬、遅くに伺ったら、凍てつく外に並ぶ人を気遣って、暖をとる火を置いてくれた。その気遣いに寒さを忘れ、和んだような記憶がある。
そして、
誰もが知っている事だと思うけれど、修業先はあの猿楽町「松翁」で、独立して最初に牛込神楽坂に店をだし、ここ神楽坂に移った。ミシュランで☆をもらったことも、ご存知の通り。
上に書いた通り、基本の蕎麦(うどんも冷麦も、らしい)が絶品。それでも更に、酒呑みの気持ちのわかる素敵な蕎麦前も揃えており、種物も食べたくなる店だ。あぁ〜忘れちゃいけない、いわゆる蕎麦屋のカレーとちょっと違う「牛すじカレー蕎麦」もお勧め。
天ぷらは、猿楽町「松翁」仕込みだからか、外側サックリ軽く、中ほっこりの火の入り具合・揚げ具合も素晴らしく、ついつい沢山食べたくなるものだ。揚げたてを直ぐに食べて貰いたいということで、大きなカウンター越しの席を設えたのだろう。松翁のように揚げたてを一個毎に箸に摘まんで、店内を運ぶような事はしないようだが、その心は同じと感じる。
そうそう、
この6月は、月曜も休みにするそうだ。
お店のHP
■住所新宿区神楽坂3−6 神楽坂館1F■電話 03−3269−3233■営業時間11:00〜15:00/17:00〜21:00(月曜は夜のみ)■定休日日・祝■アクセスJR中央本線 飯田橋駅西口 徒歩5分/東京メトロ東西線・有楽町線・南北線飯田橋駅 B3出口徒歩3分/都営大江戸線牛込神楽坂駅 徒歩4分
■■トマト蕎麦
■■蕎麦そのものも、とても美味しいのだけれど、またそれなのに、種物も捨てがたいこちらのお店で、暑くなって食べたくなるのが、この蕎麦。
「トマト蕎麦」¥1050.−(うどんでも可)
トッピングに白髪葱が乗ったトマト・バジル・玉ねぎそば汁ベースのトマトソース仕立て
夏だ、トマトだ、蕎楽亭。
下に見えているのが、丸抜きを石臼で自家製粉した粗引きの十割そば。最初に横からここダケを、二口・三口手繰る。この時、「あぁ〜美味しいっ!やっぱり “ざる”にすればよかった。これをたっぷりすっきり食べたい」となる。甘皮や粗挽きの粒子が見える細打ちは、ムッチリと濃厚な旨みと、しっかりとした香りがある。もぅこれが本当のご馳走。
でもなんとも優柔不断で我がままな事に、やはりトマトも食べたくなるから、次にソースを絡めていただく。フレッシュなトマトの酸味が強い方が好きな私には、最初一瞬玉ねぎの甘さが少々余分にも感じられたのだけれど、これがまた、蕎麦汁にあうように計算しつくされた甘さで、食べ進んでみて大満足。バジルの香りも爽やかに、うぅ〜ん、これもいいなぁ。し・あ・わ・せ♪
最後に、とろ〜〜り熱々のポタージュ系蕎麦湯を。
■■あれこれ
■■今まで、何度も何度もこちらのお店の事を記事にしたような気がしていて、過去記事にリンクをはろうと探してみたが、見当たらない。あれ?あれれ?他のところへ書いたのか?だんだん日常のことでも、記憶が曖昧になっており、自分の頭が信じられない。ボケの始まりか。
ともあれ、
ちょっと無愛想?というか素っ気ない感じがするけれど、情が篤いのでは?と思えるこちらのご主人は、会津のご出身。東北の人は、口は少なく心は温かいというから、ね。だから、今回の震災でも、悲しい思いをしていらっしゃることだろう。陰ながら応援しています。
何年か前の年の瀬、遅くに伺ったら、凍てつく外に並ぶ人を気遣って、暖をとる火を置いてくれた。その気遣いに寒さを忘れ、和んだような記憶がある。
そして、
誰もが知っている事だと思うけれど、修業先はあの猿楽町「松翁」で、独立して最初に牛込神楽坂に店をだし、ここ神楽坂に移った。ミシュランで☆をもらったことも、ご存知の通り。
上に書いた通り、基本の蕎麦(うどんも冷麦も、らしい)が絶品。それでも更に、酒呑みの気持ちのわかる素敵な蕎麦前も揃えており、種物も食べたくなる店だ。あぁ〜忘れちゃいけない、いわゆる蕎麦屋のカレーとちょっと違う「牛すじカレー蕎麦」もお勧め。
天ぷらは、猿楽町「松翁」仕込みだからか、外側サックリ軽く、中ほっこりの火の入り具合・揚げ具合も素晴らしく、ついつい沢山食べたくなるものだ。揚げたてを直ぐに食べて貰いたいということで、大きなカウンター越しの席を設えたのだろう。松翁のように揚げたてを一個毎に箸に摘まんで、店内を運ぶような事はしないようだが、その心は同じと感じる。
そうそう、
この6月は、月曜も休みにするそうだ。
お店のHP
■住所新宿区神楽坂3−6 神楽坂館1F■電話 03−3269−3233■営業時間11:00〜15:00/17:00〜21:00(月曜は夜のみ)■定休日日・祝■アクセスJR中央本線 飯田橋駅西口 徒歩5分/東京メトロ東西線・有楽町線・南北線飯田橋駅 B3出口徒歩3分/都営大江戸線牛込神楽坂駅 徒歩4分
2011年06月10日
白金「利庵(としあん)」
洋風のお洒落な高級感のある街並み、付けたりかな、その名も白金プラチナ通りとか。その中にほっこりとした1軒だけの別空間がある。青々とした楓の葉、甕に泳ぐメダカ、風そよぐ涼やかな店先の、そうした風情にこそ吸い寄せられるように暖簾をくぐる。
店内のテーブルは、全て女性で埋まっていた。いつもにこやかな花番さんが、一人本を片手にビールで喉を潤す方に、相席を願えるかどうか、声を掛けて下さる。声を掛けられたほうも、笑顔で「どうぞ。どうぞ」と。思わずこちらも「すみませんお邪魔します。相席、有難うございます」と、お礼を言う。嬉しいじゃないですか、こういう遣り取りが。大好きなんです、こういう空気が。いいですねぇ、蕎麦屋って。
■■蕎麦前
■■
まず、ビール(中)¥650.−。
よぉ〜く冷えたビールと、お通しにカラリと揚がった海老の頭。
蕗の小鉢
山椒の芽の香りが爽やか
天ぷらの盛り合わせ
(2900円…か、3000円弱だったような気が)
直ぐに、菊正宗樽酒瓶詰め に、切り替えて
それを升に注いで1合を、おっととと。
■■蕎麦
■■
せいろう¥800.−
ご主人は、松戸「藪」→「一茶庵」で修業をしたとのこと。契約農家からで仕入れた玄ソバを、石臼挽き自家製粉し、細打ちの二八に。穀物香も旨みもバランスが良く、キュっと締まった麺は喉越し良く手繰れる。辛汁はやや甘め。
薬味は、山葵とねぎ。
■■あれこれ
■■ すぐ裏が、ご主人の実家 創業明治35年八百屋「三好商店」さん。いや、裏じゃなく、すぐ表の交差点のところが。ほんの数百歩。だから当然!?野菜が美味しい。葱や紫蘇は勿論の事、天ぷら盛り合わせの中の野菜も、品書きのそこここにある、あれやこれや。まただから?変わりそばの具材も楽しい。この日の変わり蕎麦は、「清見切り」だったのだけれど、入店が一足遅かったようで売り切れ御免となっていた。むむむ、残念。次回は、是非変わりを。
ほとんど観光地という場所柄か、中休みが無い事も有りがたい。この日は、都合で15時過ぎからお邪魔した。
そして、何と言っても嬉しいのが、花番さんの対応だ。いつ行っても、細やかな配慮と親しみやすい接客で、もの凄く混んでいても嫌な思いをしたことがない。こういった花番さんの凄さは、私個人の花番ランキングでいうならば、神田「まつや」を筆頭に…10指に入れたい。
■住所港区白金台5-17-2■電話03-3444-1741■営業時間11:30〜19:30■定休日月曜・火曜(祝日の場合は営業)■アクセス東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線 白金台駅1番出口 徒歩3分/JR山手線目黒駅東口 徒歩15分/
店内のテーブルは、全て女性で埋まっていた。いつもにこやかな花番さんが、一人本を片手にビールで喉を潤す方に、相席を願えるかどうか、声を掛けて下さる。声を掛けられたほうも、笑顔で「どうぞ。どうぞ」と。思わずこちらも「すみませんお邪魔します。相席、有難うございます」と、お礼を言う。嬉しいじゃないですか、こういう遣り取りが。大好きなんです、こういう空気が。いいですねぇ、蕎麦屋って。
■■蕎麦前
■■
まず、ビール(中)¥650.−。
よぉ〜く冷えたビールと、お通しにカラリと揚がった海老の頭。
蕗の小鉢
山椒の芽の香りが爽やか
天ぷらの盛り合わせ
(2900円…か、3000円弱だったような気が)
直ぐに、菊正宗樽酒瓶詰め に、切り替えて
それを升に注いで1合を、おっととと。
小皿に塩。
■■蕎麦
■■
せいろう¥800.−
ご主人は、松戸「藪」→「一茶庵」で修業をしたとのこと。契約農家からで仕入れた玄ソバを、石臼挽き自家製粉し、細打ちの二八に。穀物香も旨みもバランスが良く、キュっと締まった麺は喉越し良く手繰れる。辛汁はやや甘め。
薬味は、山葵とねぎ。
■■あれこれ
■■ すぐ裏が、ご主人の実家 創業明治35年八百屋「三好商店」さん。いや、裏じゃなく、すぐ表の交差点のところが。ほんの数百歩。だから当然!?野菜が美味しい。葱や紫蘇は勿論の事、天ぷら盛り合わせの中の野菜も、品書きのそこここにある、あれやこれや。まただから?変わりそばの具材も楽しい。この日の変わり蕎麦は、「清見切り」だったのだけれど、入店が一足遅かったようで売り切れ御免となっていた。むむむ、残念。次回は、是非変わりを。
ほとんど観光地という場所柄か、中休みが無い事も有りがたい。この日は、都合で15時過ぎからお邪魔した。
そして、何と言っても嬉しいのが、花番さんの対応だ。いつ行っても、細やかな配慮と親しみやすい接客で、もの凄く混んでいても嫌な思いをしたことがない。こういった花番さんの凄さは、私個人の花番ランキングでいうならば、神田「まつや」を筆頭に…10指に入れたい。
■住所港区白金台5-17-2■電話03-3444-1741■営業時間11:30〜19:30■定休日月曜・火曜(祝日の場合は営業)■アクセス東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線 白金台駅1番出口 徒歩3分/JR山手線目黒駅東口 徒歩15分/
2011年06月07日
池之端「蓮玉庵」
台風が近付き駆け抜けるという、朝から超荒れ模様。
混雑が予想される展覧会などは、こういう日に限る!ということで、和紙をつかった版画がお目当のレンブラント展へ。目論見が当たって、のんび〜り♪ゆっく〜り観て回ることができ、小腹がすく。
まぁそれで、何処の蕎麦屋にしましょうか? まだ、なんとなく何かを鑑賞したい気分が続くし、久〜〜〜しぶりに池之端「蓮玉庵」に、行くことにした。
■■もぅちょっとした文化財!
■■ なのに・・・勿体無い。
上野駅前すぐにある仲町通りのこの辺りは、ご存知の通り、非常に残念なピンク地帯になっている。昼から呼び込みのお兄さんが道に何人も立っており、せっかくの気分に水を指される。魅力的な老舗がぽつりぽつりと残る界隈は、ぶらぶら散策したい愛する東京の文化財的な地域でもあるのだから、この状況は折角の日本の観光資源を台無しにしているのではないかぁ?勿体無いなぁ。まったく、もぅ。黒門町の伝七親分は、町内のこの体たらくをどう思っているのかしらん。なんてね。
と、まぁ今日は、蕎麦の話から、さんざん脱線しそうな予感。
てなわけで、やっと木鉢会会員 池之端「蓮玉庵」の話し。
創業安政六年(1859年)、創業者の信州出身の窪田八十八が不忍池を眺め、蓮の葉の上にある玉のような蕾にちなみ「蓮玉庵」と、名付けたという。だから、どうもこの年以前から、蕎麦屋としては実質営業していたという説もあるようだ。
斎藤茂吉が「池之端の蓮玉庵に吾も入りつ上野公園に行く道すがら」と短歌に読んでいる他、森鴎外の「雁」や坪内逍遙、樋口一葉ら明治の文豪作品にもここ「蓮玉庵」は登場している。
特に手打ちの名手として知られた先代5代目沢島健太郎さんと大変親交の厚かった、久保田万太郎氏に依る看板と石額(左:写真)は、そのユニークさから貴重とされているらしい。この5代目は、浮世絵蒐集、写真家、俳人としても特異な存在であり、昭和42年には、「故沢島健太郎遺稿集」も刊行された。
手繰る蕎麦に辿り付く前に、まだまだ、古きよき蕎麦屋文化を楽しめる逸話が、たっぷりある。こちらのような老舗といわれるいくつかの蕎麦屋では、歴代の旦那衆(或いは名物女将)がそれなりの面白いポジションにいられたようで、遊ぶというと語弊があるけれど、趣味人としての暮らしを許されるというか、それなりの教養を求めらる空気があったのは確かだ。商いとは別に、各会との交流、文人との交流、風流を解し愛して保護するような気質も尊ばれた。
現在の6代目店主 澤島孝夫さんは、中央大学落語研究会の創設者。故桂文治師匠を大学のクラブ顧問にと拝み倒した実行力のある人で、当然落語にも造詣が深い。また、ジャズ鑑賞にものめり込んでおられたようで、喬木省三(たかぎしょうぞう)」のペンネームで「東京下町JAZZ通り」を仲間3名と共著としている。そして特にデューク・エリントンのレコード収集は日本一とも。「蓮玉庵」を会場に不定期で、スイングJAZZ中心のライブも開催しておられるが、キャパシティーの都合上、大きな宣伝はなし。江戸っ子らしくそれらの行いが、構えることもなく実に軽やかで茶目っ気がある。
こんな事をも含めて、知ってから行くか、行ってから知るか。知らないよりも知ったほうが面白い?と思った方は、以前こちらのブログでも「石臼の会」酔爺さんが紹介した、澤島孝夫さんが書いた、店の歴史、ご自分が見聞きしたり経験された話を載せた「蕎麦の極意」もオススメ。
蓮玉庵のお宝 ネット公開↓緑色の字をクリック
甚兵衛そばのせいろ(江戸末期)と釜揚げうどんの桶(昭和初期)
また、
写真は撮らなかったけれど
店内の蕎麦猪口コレクションも素敵。
■■やっと蕎麦前
■■伺ったのは中休み少し前の14時過ぎ。
こちらの品書きは、実になんというか、少な・・・ミニマム!つまりシンプルである。特に、昼の営業時間の肴となるような「おつまみ」は、基本的には、板わさ¥630.- 月見いも¥630.- やきのり¥400.- の3品のみ。この3品に夕方5時から、つくね¥630.- 玉子焼き¥630.-が加わるものの、居酒蕎麦屋的な店の多くなった昨今では、珍しい存在だろう。
まずは、中瓶ビール¥630.-
お通しに味噌牛蒡
別途この日は壁の短冊に、
特別バージョンのこの2品があった。
鴨の燻製¥630.-
穴子のゆず味噌¥630.-
天せいろそば¥1580.-を「天先」にてお願いした。
御酒(燗・菊水)¥630.- 冷酒 菊水の辛口¥1050.- 菊水の四段仕込300ml ¥1050.- と、日本酒は全て菊水。
私はすぐにビールから切り替えて、四段仕込に。
■■蕎麦と蕎麦汁
■■お声がけにて、天せいろの「せいろそば」を。
蕎麦は、教科書に載っているような江戸前の細打ちでキリリとしまった面構え。水切り具合も秀逸である。
前述「蕎麦の極意」に書いてあったのだが、こちらの辛汁は、蕎麦屋のスタンダードな辛汁の作り方とは、まったく違った調理方法だ。かえしを作らず、出汁にかえしの材料を足して一気に汁を作っているというのだ。なるほど醤油の味や甘みの部分が、それぞれにくっきりと、すっきりと生な感覚である。また、夏場の出汁には、劣化しやすい昆布が入っていない。
それが、蕎麦徳利はつかず、蕎麦猪口にて供される。
蕎麦湯は、ナチュラルなものを、どぉ〜んとテーブル上に大きなやかんで。飲み放題?と思ったら、そんなにたくさんの量は入っておらず、人数前に当然の量。
今は既に伝説となってしまった蕎麦屋 滝野川中里「やぶ忠」村瀬忠太郎が書いた「蕎麦通」の復刻版「そば通の本」サライ編集部に、あの 上野「藪」の鵜飼良平さんが、「解説」を以下のように書いている。
〜〜〜一部抜粋〜〜〜
もともと私の手打ちの技は、この本(=蕎麦通)にも出てくる蓮玉庵の親父(=先代の店主沢島健太郎さん。習ったのは、今から45年以上も前になる勘定のはず)に最初に習ったものですが、蓮玉庵の親父さんは、やぶ忠のご主人(=村瀬忠太郎)とも繋がりがあって、言ってみればこの本の著者(=村瀬忠太郎)は私の師匠筋にあたるわけです。著者が手技を伝えようとしてこの本に書かれたことを、私は蓮玉庵の親父を通して習っていたわけです。
※()書きは、私 笑門来福の勝手な注釈。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こういう訳だから、今や伝説となってしまった蕎麦屋 滝野川中里「やぶ忠」村瀬忠太郎さんや、「一茶庵」片倉康雄さんら、当代手打ちの名手といわれた夢のような面子の人たちが、こちらと深い交流を持って互いに切磋琢磨していたことになる。もぅそりゃぁ、蕎麦文化遺産と言いたいものではなかろうか。
■■あれこれ
■■今までも何を頼んでも、ダラダラと待たされたことはない。この日も若い花番さんに、終始てきぱきと気持ちよくご対応いただいた。種物の具材で出来上がるようなミニマムな「おつまみ」品書きも、蕎麦屋文化のある一つの伝統的スタイルであり、このシンプルさがこの種の店の真骨頂でもある。「蕎麦前をちょっと飲って、サッと蕎麦を手繰って出る。」店なのだ。老舗であっても、あまりの敷居の高さに敬遠する必要事もなく、肩肘張らずに楽しめる蕎麦屋って素敵だ。書いておきたいことが、もっともっとあった筈ではあるが、どうも筆足らずである。
界隈の環境の悪さに、心から同情しつつ、また別の機会に書き加えることにしたい。
■住所台東区上野2-8-7■電話03-3835-1594■営業時間平日11:30〜15:30/17:00〜19:30/ 日祝11:30〜19:00中休みなし■定休日月(ただし祝日の場合は翌日が休)■アクセス東京メトロ日比谷線 仲御徒町駅下車 徒歩5分、大江戸線上野御徒町駅 A5出口から164m、京成上野 広小路口から徒歩2分
混雑が予想される展覧会などは、こういう日に限る!ということで、和紙をつかった版画がお目当のレンブラント展へ。目論見が当たって、のんび〜り♪ゆっく〜り観て回ることができ、小腹がすく。
まぁそれで、何処の蕎麦屋にしましょうか? まだ、なんとなく何かを鑑賞したい気分が続くし、久〜〜〜しぶりに池之端「蓮玉庵」に、行くことにした。
■■もぅちょっとした文化財!
■■ なのに・・・勿体無い。
上野駅前すぐにある仲町通りのこの辺りは、ご存知の通り、非常に残念なピンク地帯になっている。昼から呼び込みのお兄さんが道に何人も立っており、せっかくの気分に水を指される。魅力的な老舗がぽつりぽつりと残る界隈は、ぶらぶら散策したい愛する東京の文化財的な地域でもあるのだから、この状況は折角の日本の観光資源を台無しにしているのではないかぁ?勿体無いなぁ。まったく、もぅ。黒門町の伝七親分は、町内のこの体たらくをどう思っているのかしらん。なんてね。
と、まぁ今日は、蕎麦の話から、さんざん脱線しそうな予感。
てなわけで、やっと木鉢会会員 池之端「蓮玉庵」の話し。
創業安政六年(1859年)、創業者の信州出身の窪田八十八が不忍池を眺め、蓮の葉の上にある玉のような蕾にちなみ「蓮玉庵」と、名付けたという。だから、どうもこの年以前から、蕎麦屋としては実質営業していたという説もあるようだ。
斎藤茂吉が「池之端の蓮玉庵に吾も入りつ上野公園に行く道すがら」と短歌に読んでいる他、森鴎外の「雁」や坪内逍遙、樋口一葉ら明治の文豪作品にもここ「蓮玉庵」は登場している。
特に手打ちの名手として知られた先代5代目沢島健太郎さんと大変親交の厚かった、久保田万太郎氏に依る看板と石額(左:写真)は、そのユニークさから貴重とされているらしい。この5代目は、浮世絵蒐集、写真家、俳人としても特異な存在であり、昭和42年には、「故沢島健太郎遺稿集」も刊行された。
手繰る蕎麦に辿り付く前に、まだまだ、古きよき蕎麦屋文化を楽しめる逸話が、たっぷりある。こちらのような老舗といわれるいくつかの蕎麦屋では、歴代の旦那衆(或いは名物女将)がそれなりの面白いポジションにいられたようで、遊ぶというと語弊があるけれど、趣味人としての暮らしを許されるというか、それなりの教養を求めらる空気があったのは確かだ。商いとは別に、各会との交流、文人との交流、風流を解し愛して保護するような気質も尊ばれた。
現在の6代目店主 澤島孝夫さんは、中央大学落語研究会の創設者。故桂文治師匠を大学のクラブ顧問にと拝み倒した実行力のある人で、当然落語にも造詣が深い。また、ジャズ鑑賞にものめり込んでおられたようで、喬木省三(たかぎしょうぞう)」のペンネームで「東京下町JAZZ通り」を仲間3名と共著としている。そして特にデューク・エリントンのレコード収集は日本一とも。「蓮玉庵」を会場に不定期で、スイングJAZZ中心のライブも開催しておられるが、キャパシティーの都合上、大きな宣伝はなし。江戸っ子らしくそれらの行いが、構えることもなく実に軽やかで茶目っ気がある。
こんな事をも含めて、知ってから行くか、行ってから知るか。知らないよりも知ったほうが面白い?と思った方は、以前こちらのブログでも「石臼の会」酔爺さんが紹介した、澤島孝夫さんが書いた、店の歴史、ご自分が見聞きしたり経験された話を載せた「蕎麦の極意」もオススメ。
蓮玉庵のお宝 ネット公開↓緑色の字をクリック
甚兵衛そばのせいろ(江戸末期)と釜揚げうどんの桶(昭和初期)
また、
写真は撮らなかったけれど
店内の蕎麦猪口コレクションも素敵。
■■やっと蕎麦前
■■伺ったのは中休み少し前の14時過ぎ。
こちらの品書きは、実になんというか、少な・・・ミニマム!つまりシンプルである。特に、昼の営業時間の肴となるような「おつまみ」は、基本的には、板わさ¥630.- 月見いも¥630.- やきのり¥400.- の3品のみ。この3品に夕方5時から、つくね¥630.- 玉子焼き¥630.-が加わるものの、居酒蕎麦屋的な店の多くなった昨今では、珍しい存在だろう。
まずは、中瓶ビール¥630.-
お通しに味噌牛蒡
別途この日は壁の短冊に、
特別バージョンのこの2品があった。
鴨の燻製¥630.-
穴子のゆず味噌¥630.-
天せいろそば¥1580.-を「天先」にてお願いした。
御酒(燗・菊水)¥630.- 冷酒 菊水の辛口¥1050.- 菊水の四段仕込300ml ¥1050.- と、日本酒は全て菊水。
私はすぐにビールから切り替えて、四段仕込に。
■■蕎麦と蕎麦汁
■■お声がけにて、天せいろの「せいろそば」を。
蕎麦は、教科書に載っているような江戸前の細打ちでキリリとしまった面構え。水切り具合も秀逸である。
前述「蕎麦の極意」に書いてあったのだが、こちらの辛汁は、蕎麦屋のスタンダードな辛汁の作り方とは、まったく違った調理方法だ。かえしを作らず、出汁にかえしの材料を足して一気に汁を作っているというのだ。なるほど醤油の味や甘みの部分が、それぞれにくっきりと、すっきりと生な感覚である。また、夏場の出汁には、劣化しやすい昆布が入っていない。
それが、蕎麦徳利はつかず、蕎麦猪口にて供される。
蕎麦湯は、ナチュラルなものを、どぉ〜んとテーブル上に大きなやかんで。飲み放題?と思ったら、そんなにたくさんの量は入っておらず、人数前に当然の量。
今は既に伝説となってしまった蕎麦屋 滝野川中里「やぶ忠」村瀬忠太郎が書いた「蕎麦通」の復刻版「そば通の本」サライ編集部に、あの 上野「藪」の鵜飼良平さんが、「解説」を以下のように書いている。
〜〜〜一部抜粋〜〜〜
もともと私の手打ちの技は、この本(=蕎麦通)にも出てくる蓮玉庵の親父(=先代の店主沢島健太郎さん。習ったのは、今から45年以上も前になる勘定のはず)に最初に習ったものですが、蓮玉庵の親父さんは、やぶ忠のご主人(=村瀬忠太郎)とも繋がりがあって、言ってみればこの本の著者(=村瀬忠太郎)は私の師匠筋にあたるわけです。著者が手技を伝えようとしてこの本に書かれたことを、私は蓮玉庵の親父を通して習っていたわけです。
※()書きは、私 笑門来福の勝手な注釈。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こういう訳だから、今や伝説となってしまった蕎麦屋 滝野川中里「やぶ忠」村瀬忠太郎さんや、「一茶庵」片倉康雄さんら、当代手打ちの名手といわれた夢のような面子の人たちが、こちらと深い交流を持って互いに切磋琢磨していたことになる。もぅそりゃぁ、蕎麦文化遺産と言いたいものではなかろうか。
■■あれこれ
■■今までも何を頼んでも、ダラダラと待たされたことはない。この日も若い花番さんに、終始てきぱきと気持ちよくご対応いただいた。種物の具材で出来上がるようなミニマムな「おつまみ」品書きも、蕎麦屋文化のある一つの伝統的スタイルであり、このシンプルさがこの種の店の真骨頂でもある。「蕎麦前をちょっと飲って、サッと蕎麦を手繰って出る。」店なのだ。老舗であっても、あまりの敷居の高さに敬遠する必要事もなく、肩肘張らずに楽しめる蕎麦屋って素敵だ。書いておきたいことが、もっともっとあった筈ではあるが、どうも筆足らずである。
界隈の環境の悪さに、心から同情しつつ、また別の機会に書き加えることにしたい。
■住所台東区上野2-8-7■電話03-3835-1594■営業時間平日11:30〜15:30/17:00〜19:30/ 日祝11:30〜19:00中休みなし■定休日月(ただし祝日の場合は翌日が休)■アクセス東京メトロ日比谷線 仲御徒町駅下車 徒歩5分、大江戸線上野御徒町駅 A5出口から164m、京成上野 広小路口から徒歩2分
2011年06月03日
福島双葉郡富岡町「オルガン」@幕張メッセ
名刺の整理をしていたら、先頃何気なくいただいたイベント蕎麦の実店舗が、福島双葉郡富岡町にあるらしいと分かり、元気にがんばっている方々の姿が嬉しくって、今頃になってアップしてみた。
■■オルガンイベント店舗
■■子供の日に、幕張メッセで開催された某催しに行った。結果として朝11時前から、最後は…えぇ〜っと21時頃だったかな…まで、ずぅ〜っと会場にいたので、小腹ふさぎに、ちょっとしたものをアレコレと食べる。
並んでいる10店舗の扱う料理は、まぁ〜俗に言うところの「JAM飯」「フェス飯」?含むあれこれで、ジャンルも値段もいろいろ。ハンバーガー、ハワイアン、創作タイ料理、金沢カレー、ヨーロピアンパブ、つけ麺、スペイン料理、無国籍ありで、五浦ハム(ハム焼)やら、クレープ、クリームチーズ入りプレッツエルありで、要するに何でもありありである。どうでも良いことだが、何故か複数の店で、同じバドワイザーを同一価格で扱っており、結局、どこで何杯飲んだか分からなくなるようになっているのか?「他の色はないのね〜♪ 若干飲んでみたい♪」
が、しかし、兎に角。
ずらりと並んだ店舗看板?の中に、「鶏汁そば」の文字を見て思い出したのが、山形の“肉蕎麦”だ。山形では、肉と言ったら「鶏」だそうで、元々は卵を産めなくなった廃鶏肉の活用で、昭和20年代後半に生まれた山形ではお馴染のメニューであると、以前江戸ソバリエ仲間に解説していただいた。山形では、通常のものを「肉そば」、鶏肉大盛りのものを「鶏そば」と呼んだ店があったとも。だから、この「鶏汁そば」は、山形由来なのか?と想像した訳だ。(ほんとうは、こちらは福島のお店だった。この繋がり、類似具合、土地の関係を今後手繰ってみたい。)そう思うと、私としては、これも食べない訳にはいかないではないか。(のかな?)
ということで、
妙に名前が長い?けれど、
手打ちそば・じっくり煮込んだ鶏出汁たっぷり「鶏汁そば」¥700.-を頂いた。
裏に小さな子供もチラリと見えた店舗スタッフを見渡しても、客席を見渡しても、若い!(イベント主催者は前説で、前日までと比べて、この日は大人比率がとても高い…などと言ってはいたが、でも、ね。)その客層に合わせているのか、或いは、ひと汗かいて塩分を欲するようになるとの予想からか、かけ汁は少々塩辛めで若者仕様。
そのかけ汁が、しっかり熱々か、或いは、きちんと冷えていると、もっと良かったのだけれど、イベント店舗の厨房施設の宿命なのか、薄い使い捨てのプラスティック容器を使う都合上、安全面を考慮し致し方ないのか、ちょっと中途半端な温度であることが気になった。しかし、どぉ〜んと乗った鶏肉は、思ったよりも大き目でボリューム感があったし、香ばしく焼き色を付けてあるのも、良かった。
■■オルガン実店舗
■■
こちらの未来食堂「オルガン」という店の実店舗は、そもそも世田谷上野毛で、故郷福島の食材を使って営業していた飲食店らしいのだが、地産地消で天然醸造の味噌や醤油等で調理した料理を提供したいと、震災前に福島県双葉町に店を移転したらしい。しかし、そこで今回の東日本大震災である。見つけたこのお店のブログは、あの3月から更新されていない。
上野毛時代から、方々のイベントに店をだしていたようであるから、今回の幕張メッセへの出店も、しごく当たり前の自然な営業形態なのであろうが、今、この時に、被災しながらに、いつもの暮らしをしようと頑張っていらっしゃる姿にも、心よりのエールを送りたい。
近未来食堂
オルガン
■住所福島県双葉郡富岡町中央1−44 セントラルビル2F (福島第一原発から10km圏内)■tel&fax 0240-22-4846 ■営業時間平日:18:00〜25:00(LO 24:30)/土曜:12:00〜25:00(LO 24:30)/休日:日曜