毎年恒例、8回目となった江戸ソバリエ「石臼の会」信州蕎麦紀行に、初参加した。美味しい思いを報告したい。
連休最終日の10月11日(祝)朝、三鷹駅前に江戸ソバリエ「石臼の会」会員10名が参集し、献身的なドライバーの操る2台の車に分乗。強力な晴れ男・女の出現で?或いは日頃の善行?の甲斐あって、前日までの豪雨が嘘のような好天の中、一路信州へ。至福の一泊二日、蕎麦紀行が始まる。
昼前に上田着
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2010年10月27日
2010年10月25日
長野 北志賀竜王高原
「石臼挽き蕎麦香房 山の実」
この日目指したのは、北志賀竜王高原。冬期はスキー場のゲレンデの中にあるレストハウスで、春〜秋の土・日・祝祭日に、期間限定で蕎麦を食べさせてくれるお店だ。この度は連休明けの火曜日に、予約を入れてもらって伺った。
急な坂道をグイグイと上った車が辿り着いたのは、シーズンならばリフト降り口、素晴らしい眺望が広がる場所だ。ひんやりと澄んだ空気に思わず深呼吸し、下界を見渡す。お店の入口階段や店内は、雪が積もればスキーブーツを履いたまま、ガッガッガッと上がってこられるよう、頑丈でゆったりと作られていた。すぐ目に飛び込んで来たのは、暖かな火の揺らめく石釜で、いかにも美味しいビザがでてくるぞぉ〜っと、否応なく期待が高まる。
■■3つのソバの楽しみ方
■■ いくつかある平日のランチセット(要予約)の中で、山の実 ¥2000.-は、蕎麦 + 手挽き蕎麦掻き + 石窯焼き蕎麦Pizzaの3つを楽しめるお得なセットメニューである。品書きでこれを見て、「2000円は…安いっ! 多分、一つずつの量が極少なんだろうなぁ…」などと失礼ながら思った。
ところが、これがどうしてどうして凄いっ!のだ。質・量ともに素晴らしい。余りの美味しさに、お腹がいっぱいになりながらも、更に追加オーダーをするという暴挙にでてしまった。
蕎麦粥
丸抜きと優しいお出汁のバランスが心地よい。滋味深いソバの実の恵みを、余すことなく美味しくいただけることに感謝。
手挽き蕎麦がき
写真に収める事が出来たのだろうか、美しい薄緑色の粒々。
玄ソバの質、挽き具合、甘皮の様子、吟味したソバの丸ごとの美味しさを、そのままの形で全部出そうという店主の意思を感じる。添えられたのは、塩と山葵。これはもぅ、本当にご馳走っ。
須賀川そばピッツァ
自家製粉ソバ粉をベースに、極々薄〜〜くのした(甘皮を打粉かわりにつかっていた。これがまた凄く良い)ピッツァ台を拵え、信州白味噌とチーズ、ねぎ・えのき・ソバの実をのせて、石窯でカリッと焼いたもの。薄く香ばしいソバ粉のピッツァ台が、絶品。これは、もぅ何枚でも食べたいっ!ということになって…。
秋映えりんごのそばピッツァ
を、追加オーダー。
ご近所で育てているのか?もぎたての“秋映え”を薄くスライス。先程と同じソバ粉のピッツァ台にのせて、カリッとね。
これを最後にいただいたので、リンゴの甘みがちょうどデザートのようになり、満足満足。
■■生粉打ち蕎麦
■■ 長野県下高井郡山ノ内町須賀川(自家栽培)・富山県南砺市城端町蓑谷・茨城県猿島郡三和町などで育てられたソバの実を、その日の朝自家製粉し、北志賀の湧水のみでつないだ、生粉打ち蕎麦を出す。
北信州のこの界隈では、オヤマボクチ(雄山火口)を繋ぎに使う歯ごたえや喉越しを重んじる蕎麦が、郷土の蕎麦であり、北信州の観光情報を発信しているサイトなどでも、地域が大切に伝えてきたオヤマボクチ(雄山火口)の蕎麦打ちの体験企画をしたり、情報発信している程なので、この辺りでは例外的な蕎麦屋なのかもしれない。
ということで、生粉打ち蕎麦。
昨年度の玄ソバを使っており、朝から挽いたと聞いた。しかし、その美しい薄緑色は、まるで新そばのように初々しく鮮やかだった。澄んだ空気の中、清冽な湧水で打った蕎麦らしく、ほんのりとした甘みと、品のよい穀物の香りで、軽やかな印象。上のような地域的事情から?長〜い蕎麦が好まれるのであろうか?こちらも、長〜く整えられた細打ちだった。
ごちそうさまでした。
東京に帰ってから、ちょっと忙しい日が続き、信州関連の記事アップが遅れた。やっと一息ついて写真を眺めていたら、「山の実」の蕎麦コースの美味しさを思い出し、また食べたくて堪らなくなった。あの山の中にあって、スキーのオフシーズンだからこそ、あの数々なのだろうが…ご近所にあったら、どんなに良いか…。 ゴールドぺーパードライバーの私には、遠すぎるぅ あぁ〜どこでもドアが欲しい。
■住所長野県下高井郡山ノ内町竜王高原■電話0269-33-7577■営業日 春から秋(凡そ4月末〜11月中頃)の土・日・祝祭日 ※平日は不定休のため要予約で、日時は応相談 冬期は北志賀ホリデーインのスキー・ゲレンデ併設レストランとなり、蕎麦は品書きから外れる。■営業時間 11:30〜14:30売り切れ御免■アクセス北志賀ホリデーインHPのアクセスのページをご覧いだだくのが便利。
お店のHP
2010年10月24日
長野上田「おお西」
38歳から蕎麦の道に入ったご主人大西利光さんは、20余年前に世田谷の蕎麦屋をたたみ、蕎麦の本場信州に店舗を移した。この度念願かなって、発芽蕎麦や水捏ね更科生一本で超有名なこちらへ、江戸ソバリエ仲間と伺う。
情緒ある蔵が続く美しい街並みの中、白壁に格子窓の「おお西」があった。江戸時代から続く名家が、生糸問屋として使っていた建物を、店主が惚れ込んで蕎麦店舗に改装したものである。何故か兵馬俑?が立っている表から、暖簾の掛った格子戸をくぐると、すぐ右手に広々とした蕎麦打ち場があり、左手土間にテーブル席、奥にも座敷が見える。どっしりとした太い梁に、開け放たれた庭に続く空間、広ぉ〜い。
■■天麩羅&蕎麦掻き焼き
■■ 品書きを眺めると…まず、予備知識の無かった“蕎麦掻き焼き”がとても気になった。蕎麦掻きの“焼き”は初めてのような気がする。同行者の中で「おお西」初訪者は、私と…あとは少なかったのだが…あちらこちらで口ぐちに「焼き…!?!」と呟くのが聞こえたので、皆、同じように興味をもったのであろう。新しいメニューなのか??
焼いた焦げ色はなく灰白色の外側は、固〜くガッチリと焼き固められていた。中も…わりに固め。少し酸味のある味噌でいただく。
そして信州の特産品高麗人参が、天麩羅になったものも食べてみた。
柔らかめの牛蒡のような歯ごたえ。薬草のような匂い、ほろ苦さもあってやはり体に良さそうな味。お疲れの方には、沢山食べて頂こう。
品書きの飲み物の欄に「果実酒」があったので、高麗人参酒か?それともハチミツ漬け?なのか、座敷の隅に高麗人参の入った液体の瓶が並んでいた。
そして、舞茸の天麩羅
流石、秋の信州っ! 香り 歯ごたえ、文句なく美味しい。思わず「もぅ一皿お願いしますっ」となった。天麩羅はどちらも天つゆでなく、塩で。
■■蕎麦5種
■■ いよいよ蕎麦である。いよいよいよいよっ!!だ。
この日はいろいろな蕎麦を食べてみたいということで、5種類の生粉打ち(10割)蕎麦を、皆でシェア。どんな順番に食べてほしいというお店の意向はないようで、オーダーした蕎麦は、全種類ほとんど同時にドドドドドと出てきた。
だから皆、手当たり次第 箸をのばして
1種類目 更科そば
もぅ〜〜何年も何年も前に、この“水捏ねのさらしな生粉打ち蕎麦”を、(多分?)最初に打った大西利光さんの記事を読んだ記憶があり、添えられた写真にプラスチックの下敷き状のものが何枚も写っていた。腫れものに触るように、このプラ下敷きで粉を扱い、見事麺に仕立てるのである。
それを今日この日いただけると思った!ら…なんとも残念なことに、水捏の更科は、1鉢単位(4人前)の予約をしないと食べられない。同様にそば会席、そば寿司、変わりそばなども予約が必要だそうだ。こちらで修業した方から聞いたところでは、この水捏ね更科の予約注文は、そう頻繁に入らないそうである。
※水捏の更科についての詳細は、ブログ内 西麻布「祈年 手打茶寮」の記事を読んでいただければ幸いです。
ということで、この日は湯捏ねの更科生粉打ち(10割)だ。
透明感のある輝くように真っ白な細打ちの更科は、しっかりと長さも十分。品の良い更科の仄かな甘みが感じられた。
2種類目 発芽そば切り
こちらのお店で、特許及び商標登録出願中の発芽そば切りは、ソバの実をほんの少し発芽させてから麺にする。もともとソバは、豊富な栄養を持った健康食品であるが、発芽させることにより更に栄養価も増すという。お店のHPに、「発芽そばのできるまで」というページがあり、手順・レシピも公開している。説明書きによれば、発芽期に発生する糖化酵素による甘みの増加、餅のような食感、独特のぬめりが特徴だ。
ややもっちりとした麺で、気になるほどのヌメリは感じない。独特の風味が濃く、私は好きだ。
3種類目 挽きぐるみそば
“甘皮をとったソバの実を、摺り臼で挽いたソバの粉で打った蕎麦”とHPにある。丸のまま、直球勝負でソバそのものの風味を感じたい蕎麦だ。今回同行のソバ打ち仲間は、普段、粗挽きの挽きぐるみを好む傾向にあるメンバーではある。
4種類目 田舎そば
黒茶褐色のそれは、この日いただいた5種類の蕎麦で最も細打ちである。
5種類目 四季そば
この日の四季そばは、山椒切り。一般的に更科粉は、変わり蕎麦として使われる事が多いので、その教科書通りのオーソドックスな使い方。爽やかな山椒の香りで、女性陣一番人気。
酒蔵や味噌屋さん、お洒落なパン屋さんや雑貨屋さん、柳町保命水の周辺を散策する人も多く、美しい観光地だ。創造的なご主人大西利光さんの名前も轟いているし、伺ったのが連休の最終日ということで、店内は混雑していた。だから、オーダーの時でさえも、お店の方と必要以上にお話する機会はなかったが、長野の県民性が現れているのか?入れ替わりやってくる花番さん(地元の主婦?お嬢さん方?)が、皆しっとりほのぼのしていて優しい雰囲気の接客だった。
■住所長野県上田市中央4-9-8■電話0268-24-5381■営業時間11:00〜18:00(蕎麦がなくなり次第閉店)■定休日不定休■アクセスJR・しなの鉄道・上田電鉄別所線 などの上田駅から1.2km北。北国街道を徒歩15分。柳町保命水の手前隣。
お店のHP
日本経済新聞に掲載された発芽蕎麦の通信販売
詳細もこちら↑のお店HPにあります。
※通販の発芽蕎麦は、冷凍で9割蕎麦。
情緒ある蔵が続く美しい街並みの中、白壁に格子窓の「おお西」があった。江戸時代から続く名家が、生糸問屋として使っていた建物を、店主が惚れ込んで蕎麦店舗に改装したものである。何故か兵馬俑?が立っている表から、暖簾の掛った格子戸をくぐると、すぐ右手に広々とした蕎麦打ち場があり、左手土間にテーブル席、奥にも座敷が見える。どっしりとした太い梁に、開け放たれた庭に続く空間、広ぉ〜い。
■■天麩羅&蕎麦掻き焼き
■■ 品書きを眺めると…まず、予備知識の無かった“蕎麦掻き焼き”がとても気になった。蕎麦掻きの“焼き”は初めてのような気がする。同行者の中で「おお西」初訪者は、私と…あとは少なかったのだが…あちらこちらで口ぐちに「焼き…!?!」と呟くのが聞こえたので、皆、同じように興味をもったのであろう。新しいメニューなのか??
焼いた焦げ色はなく灰白色の外側は、固〜くガッチリと焼き固められていた。中も…わりに固め。少し酸味のある味噌でいただく。
そして信州の特産品高麗人参が、天麩羅になったものも食べてみた。
柔らかめの牛蒡のような歯ごたえ。薬草のような匂い、ほろ苦さもあってやはり体に良さそうな味。お疲れの方には、沢山食べて頂こう。
品書きの飲み物の欄に「果実酒」があったので、高麗人参酒か?それともハチミツ漬け?なのか、座敷の隅に高麗人参の入った液体の瓶が並んでいた。
そして、舞茸の天麩羅
流石、秋の信州っ! 香り 歯ごたえ、文句なく美味しい。思わず「もぅ一皿お願いしますっ」となった。天麩羅はどちらも天つゆでなく、塩で。
■■蕎麦5種
■■ いよいよ蕎麦である。いよいよいよいよっ!!だ。
この日はいろいろな蕎麦を食べてみたいということで、5種類の生粉打ち(10割)蕎麦を、皆でシェア。どんな順番に食べてほしいというお店の意向はないようで、オーダーした蕎麦は、全種類ほとんど同時にドドドドドと出てきた。
だから皆、手当たり次第 箸をのばして
1種類目 更科そば
もぅ〜〜何年も何年も前に、この“水捏ねのさらしな生粉打ち蕎麦”を、(多分?)最初に打った大西利光さんの記事を読んだ記憶があり、添えられた写真にプラスチックの下敷き状のものが何枚も写っていた。腫れものに触るように、このプラ下敷きで粉を扱い、見事麺に仕立てるのである。
それを今日この日いただけると思った!ら…なんとも残念なことに、水捏の更科は、1鉢単位(4人前)の予約をしないと食べられない。同様にそば会席、そば寿司、変わりそばなども予約が必要だそうだ。こちらで修業した方から聞いたところでは、この水捏ね更科の予約注文は、そう頻繁に入らないそうである。
※水捏の更科についての詳細は、ブログ内 西麻布「祈年 手打茶寮」の記事を読んでいただければ幸いです。
ということで、この日は湯捏ねの更科生粉打ち(10割)だ。
透明感のある輝くように真っ白な細打ちの更科は、しっかりと長さも十分。品の良い更科の仄かな甘みが感じられた。
2種類目 発芽そば切り
こちらのお店で、特許及び商標登録出願中の発芽そば切りは、ソバの実をほんの少し発芽させてから麺にする。もともとソバは、豊富な栄養を持った健康食品であるが、発芽させることにより更に栄養価も増すという。お店のHPに、「発芽そばのできるまで」というページがあり、手順・レシピも公開している。説明書きによれば、発芽期に発生する糖化酵素による甘みの増加、餅のような食感、独特のぬめりが特徴だ。
ややもっちりとした麺で、気になるほどのヌメリは感じない。独特の風味が濃く、私は好きだ。
3種類目 挽きぐるみそば
“甘皮をとったソバの実を、摺り臼で挽いたソバの粉で打った蕎麦”とHPにある。丸のまま、直球勝負でソバそのものの風味を感じたい蕎麦だ。今回同行のソバ打ち仲間は、普段、粗挽きの挽きぐるみを好む傾向にあるメンバーではある。
4種類目 田舎そば
黒茶褐色のそれは、この日いただいた5種類の蕎麦で最も細打ちである。
5種類目 四季そば
この日の四季そばは、山椒切り。一般的に更科粉は、変わり蕎麦として使われる事が多いので、その教科書通りのオーソドックスな使い方。爽やかな山椒の香りで、女性陣一番人気。
酒蔵や味噌屋さん、お洒落なパン屋さんや雑貨屋さん、柳町保命水の周辺を散策する人も多く、美しい観光地だ。創造的なご主人大西利光さんの名前も轟いているし、伺ったのが連休の最終日ということで、店内は混雑していた。だから、オーダーの時でさえも、お店の方と必要以上にお話する機会はなかったが、長野の県民性が現れているのか?入れ替わりやってくる花番さん(地元の主婦?お嬢さん方?)が、皆しっとりほのぼのしていて優しい雰囲気の接客だった。
■住所長野県上田市中央4-9-8■電話0268-24-5381■営業時間11:00〜18:00(蕎麦がなくなり次第閉店)■定休日不定休■アクセスJR・しなの鉄道・上田電鉄別所線 などの上田駅から1.2km北。北国街道を徒歩15分。柳町保命水の手前隣。
お店のHP
日本経済新聞に掲載された発芽蕎麦の通信販売
詳細もこちら↑のお店HPにあります。
※通販の発芽蕎麦は、冷凍で9割蕎麦。
2010年10月15日
西麻布「祈年 手打茶寮」
激しい雨!なんとまぁ〜悪天候(東関東ではJR3〜4路線が止まった)の中、お洒落な西麻布へ向かう。乃木坂の駅に着いた時には、空が少し明るくなってきて、これは幸先良さそう。開店時間少し前に到着できそうだから、もしかすると道に面した蕎麦打ち場の作業を、ちらりと覗く事ができるか?と、お店に急ぐ。
■■“水”で、さらしな生一本
■■何がそんなに嬉しいかっ、珍しいのか?って…。
ご存知の通りさらしな粉(御前粉とも)は、ソバの実の中心部分。でんぷん質が主体で、粒子が細かい。喉越しや食感が良く透明感があって、軽やかで独特の甘みのある蕎麦となる。
ところが、さらしな粉は粘りの役割を果たしてくれるたんぱく質が殆どないから、なかなか繋がらない。だから、さらしな生一本(生粉打ち・十割)にするならば、熱湯をつかって水回しをする“湯ごね”にするのが一般的なのだ。難儀なこの打ち方は、TV番組にもなり、NHKの番組「アインシュタインの眼」で以前この湯ごねの「幻の蕎麦 “さらしな生一本”の謎」が放映された。
番組に名前の出る昭和の蕎麦聖こと片倉康夫さんの最後の内弟子で、いつも参考にさせて頂いている永山寛康さんのブログにも、さらしな生一本の記事があるので、よろしければご参考に。
このように難儀なさらしな生一本。それを更にさらに、こちらのお店は、水捏ねで麺にするというのだから、凄いと思うのだけれど…どう?
もぅ〜〜何年も何年も前に、この“水捏ねのさらしな生粉打ち蕎麦”を、(多分?)最初に打った長野県上田「手打百藝 おお西」大西利光さんの記事を読んだ記憶があり、添えられた写真にプラスチックの下敷き状のものが何枚も写っていた。腫れものに触るように、このプラ下敷きで粉を扱うのである。今でも手品を見たような不思議な気持ちで、その写真の記憶をたどる。
ということで、
西麻布「祈年 手打茶寮」のご主人は、この長野県上田「手打百藝 おお西」で3年ほど修業をした。残念なことに打つところは拝見できなかったが、おそらく、同じような手法で打っているのだろう。打つところを見てみたいなぁ!!
興味津々で質問する私に、既に打ってあるものを見せてくださった。発泡スチロールトレーに1食分ずつ個別に乗せてあるものを、ワインセラーのような冷蔵庫?から出し、正真正銘!本当にほんとうに水捏ねだということで、ちょっと触らせてもくださった。
ご厚意に甘え1本持ち上げようと麺の端に触ると、ハラリと崩れ…「あぁ〜ごめんなさい(^_^;)すみません。」ぬふぉっ!更科粉は、繋がったフリをしているが、その実つながってない。 その崩れた端を取り除き、パクリと口へ運んでしまう。なんとっ!美味しいっ!!まるで和三盆のよう。品の良い仄かな甘みっ!こんなに美味しく感じるのは、私が蕎麦好きだからか?まるのままの生のさらしな粉の美味しさに参った。
■■発芽ソバ
■■
蕎麦の丸抜きを発芽させて生地に打ち込む“発芽蕎麦”は、これまた長野県上田「手打百藝 おお西」大西利光さんの名物蕎麦だ。発芽した蕎麦の栄養などに関する細かな数値については、幾つも論文があるし、蕎麦専門誌で度々特集記事が掲載されたり、本にもなったのでそれら専門の文章を読むとして、大まかに言って皆が大好きな?フラボノイド類(ポリフェノール)、ミネラルやビタミン類が、栄養価の高い蕎麦粉と比較しても一層豊富になるという。こういった紙の上での知識はあったものの、実は発芽したソバできちんと打った蕎麦を、まだいただいたことがなかった。
■■実食っ!
■■こちらのお店の蕎麦は、すべて生粉(十割)打ちである。なかでもどうしてもいただきたかった水捏ねの更科蕎麦、そして発芽蕎麦。
ということで、
吟穣二色¥1,700。- 吟白(ぎんぱく・更科の水捏ね)と豊穣(ほうじょう・発芽蕎麦)の盛り合わせをお願いした。
まず、横長のせいろ 左側に盛られた 吟白(更科蕎麦)を何も付けずに手繰る。透明感のある真っ白な細打ち。キュッと締まった麺に、しっかりとした弾力を感じる。茹でる前のホロリと崩れた麺の姿から、でんぷん質特有の劇的変身である。この甘み、このプリっとした歯触り、技による水捏ねの威力か?粉固有の特製か?判断はつかないけれど、凄い。
山葵をほんの少し麺に乗せ、ちょっと甘めでしっかりした汁にちょこんと浸して手繰れば、より美味しくなった。
次に、横長のせいろ 右側に盛られた豊穣(発芽蕎麦)を。スプラウトの緑色や特有の粘りを想像していたが、ちょっと違った。ブラウンがかった細打ちは、粒感が残って穀物としての風味があり、粘りは然程強くない。出して頂いた塩をパラリとして頂いても美味しく、何か普通の蕎麦とは微妙に違う これがスプラウト部分の香り?というような何かが加わった穀物香?が、癖になりそう。すっかり気に入ってしまった。
薬味は、山葵とねぎ。
「今日のもりは“新蕎麦”です」と聞き、もぅ〜こうなれば、せっかくなので?冷たい蕎麦の最後の1種類もいただいてしまおう。
定番のもり(粗目挽き)¥1000.-、
粗いぞぉ…と構えていた為か?その前にいただいた発芽蕎麦の強い穀物感が後を引いていた為か、始めは強力なインパクトがなく、大人しく感じた。しかし、食べ進むうち、軽やかに若い初々しい香味が押し寄せてきた。基本30メッシュの篩いを使い、それに更にあれこれと工夫を施しているという。
■■そばぁ〜と
夏の名残り、この季節が最後の品書き「蕎麦掻きアイス」\300.-を頂いた。これは、冬になれば他のデザートメニューとの入れ替えを検討しているという。美しい菖蒲の器に盛られた、小豆アイス風味の蕎麦掻きと言ったところか。
■■あれこれ
■■ 蕎麦徳利には、私の必要量の3〜4倍はあろうかと吃驚する程の量の蕎麦汁が、気前良く入っていた。3種類の蕎麦を手繰ったので???なのか? 余ったものは、どうするのだろう。知人の蕎麦屋では、蕎麦徳利を使っていても一度客席に出した汁は、厨房に戻すことなく、必ず廃棄すると言っていた。多くの蕎麦屋では、同じような考えだろう…だからこの量は、貧乏性の私には、ちょっともったいないようにも感じられた。
蕎麦猪口は、美しく軽い漆器で、修業先 長野県上田「手打百藝 おお西」とも同じ。どんぶりなども大ぶりな「おお西」と、同じ漆器を使っている。
こんなに聞いてもいいかなぁ〜と遠慮しつつも、ついついあれこれ伺ってみると、玄蕎麦の仕入れ先も、自家製粉のその工夫も、使っている石臼も(―私などは見た事もない、珍しい目たてをした粗挽き用石臼も見せて頂いた。つい先ごろ石臼の講座を聞いてきたばかりなので、とても興味深く拝見―)何もかも、包み隠すことなく、若く柔和なご主人が親切に即答してくださり、実物を見せて下さる。きっと“しっかりと修業せずには、真似したくとも真似できない。技があるから”だなぁ〜と感激した。
お洒落な大人の街西麻布にあって、明るくモダンな店内は、ちょっとしたデートにも、女性同士の集まりにも良さそう。品書きによれば、とても興味深く美味しそうな肴もいろいろあるので、次は是非、多品種をいろいろ分けて食べられる人数で伺い、蕎麦前からゆっくりと楽しみたい。蕎麦前好きも、蕎麦打ち好きも、心から楽しめるお店だ。
ごちそうさまでした。
■住所港区西麻布1-15-9ラ・アルタ1F■電話03-6447-2308■営業時昼:土、日、祝のみ11:30〜15:00(14:30ラストオーダー)/夜:18:00〜24:00(23:15ラストオーダー)※日、祝は22:00まで(21:30ラストオーダー)■定休日月曜(ただし休日の場合は翌日)毎月25日の夜(ただし土日の場合は直前の金曜日の夜) ■アクセス 東京メトロ千代田線 乃木坂駅 5番出口 徒歩8分、日比谷線・大江戸線 六本木駅 2番出口 徒歩12分
お店のHP
別の日の西麻布「祈年 手打茶寮」
ブログ内 2010年12月1日の記事へ
水捏ね更科生一本見学会
別の日の西麻布「祈年 手打茶寮」
ブログ内2010年11月23日の記事へ
■■“水”で、さらしな生一本
■■何がそんなに嬉しいかっ、珍しいのか?って…。
ご存知の通りさらしな粉(御前粉とも)は、ソバの実の中心部分。でんぷん質が主体で、粒子が細かい。喉越しや食感が良く透明感があって、軽やかで独特の甘みのある蕎麦となる。
ところが、さらしな粉は粘りの役割を果たしてくれるたんぱく質が殆どないから、なかなか繋がらない。だから、さらしな生一本(生粉打ち・十割)にするならば、熱湯をつかって水回しをする“湯ごね”にするのが一般的なのだ。難儀なこの打ち方は、TV番組にもなり、NHKの番組「アインシュタインの眼」で以前この湯ごねの「幻の蕎麦 “さらしな生一本”の謎」が放映された。
番組に名前の出る昭和の蕎麦聖こと片倉康夫さんの最後の内弟子で、いつも参考にさせて頂いている永山寛康さんのブログにも、さらしな生一本の記事があるので、よろしければご参考に。
このように難儀なさらしな生一本。それを更にさらに、こちらのお店は、水捏ねで麺にするというのだから、凄いと思うのだけれど…どう?
もぅ〜〜何年も何年も前に、この“水捏ねのさらしな生粉打ち蕎麦”を、(多分?)最初に打った長野県上田「手打百藝 おお西」大西利光さんの記事を読んだ記憶があり、添えられた写真にプラスチックの下敷き状のものが何枚も写っていた。腫れものに触るように、このプラ下敷きで粉を扱うのである。今でも手品を見たような不思議な気持ちで、その写真の記憶をたどる。
ということで、
西麻布「祈年 手打茶寮」のご主人は、この長野県上田「手打百藝 おお西」で3年ほど修業をした。残念なことに打つところは拝見できなかったが、おそらく、同じような手法で打っているのだろう。打つところを見てみたいなぁ!!
興味津々で質問する私に、既に打ってあるものを見せてくださった。発泡スチロールトレーに1食分ずつ個別に乗せてあるものを、ワインセラーのような冷蔵庫?から出し、正真正銘!本当にほんとうに水捏ねだということで、ちょっと触らせてもくださった。
ご厚意に甘え1本持ち上げようと麺の端に触ると、ハラリと崩れ…「あぁ〜ごめんなさい(^_^;)すみません。」ぬふぉっ!更科粉は、繋がったフリをしているが、その実つながってない。 その崩れた端を取り除き、パクリと口へ運んでしまう。なんとっ!美味しいっ!!まるで和三盆のよう。品の良い仄かな甘みっ!こんなに美味しく感じるのは、私が蕎麦好きだからか?まるのままの生のさらしな粉の美味しさに参った。
■■発芽ソバ
■■
蕎麦の丸抜きを発芽させて生地に打ち込む“発芽蕎麦”は、これまた長野県上田「手打百藝 おお西」大西利光さんの名物蕎麦だ。発芽した蕎麦の栄養などに関する細かな数値については、幾つも論文があるし、蕎麦専門誌で度々特集記事が掲載されたり、本にもなったのでそれら専門の文章を読むとして、大まかに言って皆が大好きな?フラボノイド類(ポリフェノール)、ミネラルやビタミン類が、栄養価の高い蕎麦粉と比較しても一層豊富になるという。こういった紙の上での知識はあったものの、実は発芽したソバできちんと打った蕎麦を、まだいただいたことがなかった。
■■実食っ!
■■こちらのお店の蕎麦は、すべて生粉(十割)打ちである。なかでもどうしてもいただきたかった水捏ねの更科蕎麦、そして発芽蕎麦。
ということで、
吟穣二色¥1,700。- 吟白(ぎんぱく・更科の水捏ね)と豊穣(ほうじょう・発芽蕎麦)の盛り合わせをお願いした。
まず、横長のせいろ 左側に盛られた 吟白(更科蕎麦)を何も付けずに手繰る。透明感のある真っ白な細打ち。キュッと締まった麺に、しっかりとした弾力を感じる。茹でる前のホロリと崩れた麺の姿から、でんぷん質特有の劇的変身である。この甘み、このプリっとした歯触り、技による水捏ねの威力か?粉固有の特製か?判断はつかないけれど、凄い。
山葵をほんの少し麺に乗せ、ちょっと甘めでしっかりした汁にちょこんと浸して手繰れば、より美味しくなった。
次に、横長のせいろ 右側に盛られた豊穣(発芽蕎麦)を。スプラウトの緑色や特有の粘りを想像していたが、ちょっと違った。ブラウンがかった細打ちは、粒感が残って穀物としての風味があり、粘りは然程強くない。出して頂いた塩をパラリとして頂いても美味しく、何か普通の蕎麦とは微妙に違う これがスプラウト部分の香り?というような何かが加わった穀物香?が、癖になりそう。すっかり気に入ってしまった。
薬味は、山葵とねぎ。
「今日のもりは“新蕎麦”です」と聞き、もぅ〜こうなれば、せっかくなので?冷たい蕎麦の最後の1種類もいただいてしまおう。
定番のもり(粗目挽き)¥1000.-、
粗いぞぉ…と構えていた為か?その前にいただいた発芽蕎麦の強い穀物感が後を引いていた為か、始めは強力なインパクトがなく、大人しく感じた。しかし、食べ進むうち、軽やかに若い初々しい香味が押し寄せてきた。基本30メッシュの篩いを使い、それに更にあれこれと工夫を施しているという。
現在のところ!雨の日に訪れ、希望するお客には、無料で大盛りにするサービスをしている。ということで、この定番のもり(粗目挽き)写真は、大盛り。
■■そばぁ〜と
夏の名残り、この季節が最後の品書き「蕎麦掻きアイス」\300.-を頂いた。これは、冬になれば他のデザートメニューとの入れ替えを検討しているという。美しい菖蒲の器に盛られた、小豆アイス風味の蕎麦掻きと言ったところか。
■■あれこれ
■■ 蕎麦徳利には、私の必要量の3〜4倍はあろうかと吃驚する程の量の蕎麦汁が、気前良く入っていた。3種類の蕎麦を手繰ったので???なのか? 余ったものは、どうするのだろう。知人の蕎麦屋では、蕎麦徳利を使っていても一度客席に出した汁は、厨房に戻すことなく、必ず廃棄すると言っていた。多くの蕎麦屋では、同じような考えだろう…だからこの量は、貧乏性の私には、ちょっともったいないようにも感じられた。
蕎麦猪口は、美しく軽い漆器で、修業先 長野県上田「手打百藝 おお西」とも同じ。どんぶりなども大ぶりな「おお西」と、同じ漆器を使っている。
こんなに聞いてもいいかなぁ〜と遠慮しつつも、ついついあれこれ伺ってみると、玄蕎麦の仕入れ先も、自家製粉のその工夫も、使っている石臼も(―私などは見た事もない、珍しい目たてをした粗挽き用石臼も見せて頂いた。つい先ごろ石臼の講座を聞いてきたばかりなので、とても興味深く拝見―)何もかも、包み隠すことなく、若く柔和なご主人が親切に即答してくださり、実物を見せて下さる。きっと“しっかりと修業せずには、真似したくとも真似できない。技があるから”だなぁ〜と感激した。
お洒落な大人の街西麻布にあって、明るくモダンな店内は、ちょっとしたデートにも、女性同士の集まりにも良さそう。品書きによれば、とても興味深く美味しそうな肴もいろいろあるので、次は是非、多品種をいろいろ分けて食べられる人数で伺い、蕎麦前からゆっくりと楽しみたい。蕎麦前好きも、蕎麦打ち好きも、心から楽しめるお店だ。
ごちそうさまでした。
■住所港区西麻布1-15-9ラ・アルタ1F■電話03-6447-2308■営業時昼:土、日、祝のみ11:30〜15:00(14:30ラストオーダー)/夜:18:00〜24:00(23:15ラストオーダー)※日、祝は22:00まで(21:30ラストオーダー)■定休日月曜(ただし休日の場合は翌日)毎月25日の夜(ただし土日の場合は直前の金曜日の夜) ■アクセス 東京メトロ千代田線 乃木坂駅 5番出口 徒歩8分、日比谷線・大江戸線 六本木駅 2番出口 徒歩12分
お店のHP
別の日の西麻布「祈年 手打茶寮」
ブログ内 2010年12月1日の記事へ
水捏ね更科生一本見学会
別の日の西麻布「祈年 手打茶寮」
ブログ内2010年11月23日の記事へ
2010年10月08日
10月8日は、そばの日
今日は、そばの日らしいです。数字語呂合わせや新そばの季節などを考慮に入れて、今日に決められたとか。
今日から東京都麺類協同組合では、組合員の協賛店で「そばの日、スクラッチキャンペーン」を行うそうです。当該店でお蕎麦を食べると、旅行券(50000円分10本)やお食事券(500円分5000本)が当たる…かも。
2010年10月06日
駒込「手打ちそば 玉江」
幸せな事に、とある企画に呼んで頂き伺った。なにしろ、運よく予約受付してもらっても、1〜2年先に順番が回ってくるようなお店である。そこで「昨日入った新そばですよ」とせいろを出して頂いたのだから、これを幸せと言わず何と言う?
■■蕎麦
■■
焙りわかめ
島根県産の板わかめを、大きな焙炉(ほいろ)で、更にパリッとさせて…うぅ〜〜ん美味しい。
「焙りわかめ1〜2口:日本酒1合」の関係が成り立ちそうな気が…でも、我慢。
そばクレープ
特製肉味噌、葱、スプラウト、胡瓜、錦糸卵を適宜巻いて食べる。
しっとりと焼きあげられたそばクレープと、コクのある肉味噌の相性がとてもよく、何枚でも食べたくなる。ちょっと一杯の肴にもよさそう…なんだけれど…なんとか我慢。
せいろ
北海道・幌加内産キタワセ種、美しい二八の細打ちの蕎麦。
辛汁は、すっきりしていて円やか。
ご主人自らテーブルに運んでくださったせいろを見た瞬間、手間を掛け丁寧に拵えられた蕎麦だ、と感じた。初めに「辛汁で食べる前に、ちょっとこちらを、どうぞ」と、ほんのり薄紅色をした広島の藻塩を添えてくださったので、喜んで試してみると、藻塩のやわらかな塩味で、蕎麦のほのかな甘みが一層ひきたち、新そばらしい青々とした若い香りも存分に楽しめた。
蕎麦湯は、釜の湯のごく自然なもの。
■■蕎麦後
■■ (そばぁ〜と?デザート)
レモンリキュール・ジュレ
爽やかなレモンの酸味とほんのり苦味のあるジュレに、そば茶がパラパラっとトッピングされている。
口の中で全く違う2種類の食感が楽しく、さっぱりクリアーな大人のデザート。
■■宿根ソバ
■■
見送りに出て下さったご主人が、お店の前に植えてある宿根ソバを指して「やっと花が咲いてきたんですよ」と教えて下さった。見ればこん盛りと茂った中に、小さな小さな白い花がポツリポツリと。花の盛りはこれからだそうだ。株の根元は、いかにも宿根で、本当にまるで「木」のようにがっしりとしていた。地上部分は冬になると枯れてしまうが、地下部分には太くたくましい根を残しており、春になると再び芽を出す多年草だからだろう。
普段我々が食べている普通ソバや、韃靼ソバは、一年草だから、ソバは植物学的に大別してみると3種あることになる。宿根だけが、多年草で野生種として生き残ったことの不思議を、誰かに教えて貰いたい。あぁ〜毎日、教えて貰いたい事ばかりが山積みである。
■■
■こちらのお店を訪問したい方は、まず電話で交渉である。そして、めでたくその日が来たならば、必ず地図を持ってでかけよう。初めて訪れるのに住宅街の中のお店は、見つけ辛い。
穏やかで親切なご主人の繰り出す、素晴らしい蕎麦。これを、絶対ゆっくりとコースで頂きたいっ!!!強く願えば、希望が叶う!! といいな。
ごちそうさまでした。
そうそう、おまけ情報として「玉江」は、主催:東京商工会議所文京支部 共催:文京区産業連合会/文京区商店街連合会/文京区観光協会が、選定した2010食の文京ブランド100選で、「特別賞」の「1」に選ばれている。ちなみに、「2」は、ミシュランで星をもらっている日本料理 一二三庵が続き、特別賞は「5」まである。
今年の100選の中の蕎麦関連は、他に「池の端 藪蕎麦」「肴町 長寿庵」「進開屋」「蕎麦切 森の」「手打古式蕎麦」「手打そば 田奈部」「夢境庵」「にしんそば やぐ羅」などがある。
■住所文京区本駒込5-34-6 ■電話そば工房03-5814-0955/予約専用03-5814-0977/事務局03-3828-0654 ■営業時間完全予約制である為に、概ねお昼の時間〜夜の時間までをご相談にて。■定休日不定 ■アクセスJR駒込駅東口徒歩9分、東京メトロ南北線 駒込駅徒歩10分
■蕎麦打ち体験教室完全予約制 材料費共3500円
二八のそばを5人分打って持ち帰り。試食もできる。
■手打ち蕎麦用具販売 こね鉢 麺棒 のし板 小間板 切り板 包丁 ブラシ その他 オリジナル製品を製作。特に麺棒は、吟味した木材を十分に天然乾燥をして加工したものを取りそろえている。
別の日の駒込「玉江」2010年11月22日の記事
■■蕎麦
■■
焙りわかめ
島根県産の板わかめを、大きな焙炉(ほいろ)で、更にパリッとさせて…うぅ〜〜ん美味しい。
「焙りわかめ1〜2口:日本酒1合」の関係が成り立ちそうな気が…でも、我慢。
そばクレープ
特製肉味噌、葱、スプラウト、胡瓜、錦糸卵を適宜巻いて食べる。
しっとりと焼きあげられたそばクレープと、コクのある肉味噌の相性がとてもよく、何枚でも食べたくなる。ちょっと一杯の肴にもよさそう…なんだけれど…なんとか我慢。
せいろ
北海道・幌加内産キタワセ種、美しい二八の細打ちの蕎麦。
辛汁は、すっきりしていて円やか。
薬味には、辛み大根とねぎ。
ご主人自らテーブルに運んでくださったせいろを見た瞬間、手間を掛け丁寧に拵えられた蕎麦だ、と感じた。初めに「辛汁で食べる前に、ちょっとこちらを、どうぞ」と、ほんのり薄紅色をした広島の藻塩を添えてくださったので、喜んで試してみると、藻塩のやわらかな塩味で、蕎麦のほのかな甘みが一層ひきたち、新そばらしい青々とした若い香りも存分に楽しめた。
蕎麦湯は、釜の湯のごく自然なもの。
■■蕎麦後
■■ (そばぁ〜と?デザート)
レモンリキュール・ジュレ
爽やかなレモンの酸味とほんのり苦味のあるジュレに、そば茶がパラパラっとトッピングされている。
口の中で全く違う2種類の食感が楽しく、さっぱりクリアーな大人のデザート。
■■宿根ソバ
■■
見送りに出て下さったご主人が、お店の前に植えてある宿根ソバを指して「やっと花が咲いてきたんですよ」と教えて下さった。見ればこん盛りと茂った中に、小さな小さな白い花がポツリポツリと。花の盛りはこれからだそうだ。株の根元は、いかにも宿根で、本当にまるで「木」のようにがっしりとしていた。地上部分は冬になると枯れてしまうが、地下部分には太くたくましい根を残しており、春になると再び芽を出す多年草だからだろう。
私は、宿根ソバで打ったものを食べてみたいと思ったこともあるが、残念なことに、成熟する前にパラパラと脱粒してしまうらしく、粉にして利用することは、なかなか難儀だと聞いた。
だから何かに使うとすれば、根と茎を肝炎・胃痛に、葉を豊富なルチンの効用を期待して、毛細血管の強化・動脈硬化症・高血圧症にと、漢方薬的に使うとな。
まぁ〜それよりも健康野菜のようにして、葉や茎を食べれば良いのではないか? ということで、ご主人にお許し頂いて、葉を一枚食べてみた。すこ〜しエグミがあって、咬んでいると極々僅かに粘りも出た。なかなかイケるような気もする。いかにも体に良さそう?なんだか効きそう(いったいあなたの何に?と言うなかれ)である。
普段我々が食べている普通ソバや、韃靼ソバは、一年草だから、ソバは植物学的に大別してみると3種あることになる。宿根だけが、多年草で野生種として生き残ったことの不思議を、誰かに教えて貰いたい。あぁ〜毎日、教えて貰いたい事ばかりが山積みである。
■■
■こちらのお店を訪問したい方は、まず電話で交渉である。そして、めでたくその日が来たならば、必ず地図を持ってでかけよう。初めて訪れるのに住宅街の中のお店は、見つけ辛い。
穏やかで親切なご主人の繰り出す、素晴らしい蕎麦。これを、絶対ゆっくりとコースで頂きたいっ!!!強く願えば、希望が叶う!! といいな。
ごちそうさまでした。
そうそう、おまけ情報として「玉江」は、主催:東京商工会議所文京支部 共催:文京区産業連合会/文京区商店街連合会/文京区観光協会が、選定した2010食の文京ブランド100選で、「特別賞」の「1」に選ばれている。ちなみに、「2」は、ミシュランで星をもらっている日本料理 一二三庵が続き、特別賞は「5」まである。
今年の100選の中の蕎麦関連は、他に「池の端 藪蕎麦」「肴町 長寿庵」「進開屋」「蕎麦切 森の」「手打古式蕎麦」「手打そば 田奈部」「夢境庵」「にしんそば やぐ羅」などがある。
■住所文京区本駒込5-34-6 ■電話そば工房03-5814-0955/予約専用03-5814-0977/事務局03-3828-0654 ■営業時間完全予約制である為に、概ねお昼の時間〜夜の時間までをご相談にて。■定休日不定 ■アクセスJR駒込駅東口徒歩9分、東京メトロ南北線 駒込駅徒歩10分
■蕎麦打ち体験教室完全予約制 材料費共3500円
二八のそばを5人分打って持ち帰り。試食もできる。
■手打ち蕎麦用具販売 こね鉢 麺棒 のし板 小間板 切り板 包丁 ブラシ その他 オリジナル製品を製作。特に麺棒は、吟味した木材を十分に天然乾燥をして加工したものを取りそろえている。
別の日の駒込「玉江」2010年11月22日の記事
2010年10月05日
東京スカイツリー現場見学会の報告
10月2日(土)午後、参加者14名。会費は1人3,500円(実費精算)。コースは予定通り、水上バスで大都市東京の景色をながめ、スカイツリーの現場を見学し、長浦で寺方蕎麦を賞味しました。
好天に恵まれて、ヒガンバナやハギが咲く浜離宮恩賜公園は、各自で自由に散策。浜離宮から桜橋までの水上バスは、池田さんのご厚意で無料乗船券をいただき、船上の風景を満喫しました。
歴史的に由緒ある隅田川の川風も心地よく、スカイツリーが右や左にと移り変わる姿と、大都市東京の水上からの眺めは一見に値するものが有りました。
水上バスを降り、隅田川に架かる唯一の歩行者専用橋「桜橋」をわたり、向島の見番通りをスカイツリー現場へと向かう路地ごとに、スカイツリーが次第に大きく見えてきます。現場で見上げる雄姿にはさすがに首が疲れました。よくぞこんな狭いとこ(約36,900u)に世界一のタワーを建てたものだとただただ驚きです。完成時の高さは634(何故ムサシでしょう?)メートルです。
見学会の締めくくりは寺方蕎麦「長浦」です。
まずはビールで喉をうるおし、店長から寺方蕎麦の汁の特徴は「みりんを使わず大豆の旨味で味を調える」と云うお話を伺い、実際に蕎麦汁の元の味を各人ごとに味わい、そば湯で薄めたときにどのようにバランス良くのびるか(薄まるか)を、一人ひとりが試して確認させていただくことが出来ました。
蕎麦の味も寺方蕎麦と妙興寺蕎麦の二種類を比較し、その違いを賞味することが出来、大変良い勉強になったと思います。
文 小林尚人
写真 池田 満
好天に恵まれて、ヒガンバナやハギが咲く浜離宮恩賜公園は、各自で自由に散策。浜離宮から桜橋までの水上バスは、池田さんのご厚意で無料乗船券をいただき、船上の風景を満喫しました。
歴史的に由緒ある隅田川の川風も心地よく、スカイツリーが右や左にと移り変わる姿と、大都市東京の水上からの眺めは一見に値するものが有りました。
水上バスを降り、隅田川に架かる唯一の歩行者専用橋「桜橋」をわたり、向島の見番通りをスカイツリー現場へと向かう路地ごとに、スカイツリーが次第に大きく見えてきます。現場で見上げる雄姿にはさすがに首が疲れました。よくぞこんな狭いとこ(約36,900u)に世界一のタワーを建てたものだとただただ驚きです。完成時の高さは634(何故ムサシでしょう?)メートルです。
見学会の締めくくりは寺方蕎麦「長浦」です。
まずはビールで喉をうるおし、店長から寺方蕎麦の汁の特徴は「みりんを使わず大豆の旨味で味を調える」と云うお話を伺い、実際に蕎麦汁の元の味を各人ごとに味わい、そば湯で薄めたときにどのようにバランス良くのびるか(薄まるか)を、一人ひとりが試して確認させていただくことが出来ました。
蕎麦の味も寺方蕎麦と妙興寺蕎麦の二種類を比較し、その違いを賞味することが出来、大変良い勉強になったと思います。
文 小林尚人
写真 池田 満
ラベル:東京スカイツリー
小岩「無村居」
こちらのお店は、江戸ソバリエ認定の店(Edo Sobalier Friendly Shop)である。だから当然、蕎麦を愛し惚れ込んだご店主がいる。しかしそれだけでなく、“日本酒”のしかも特に“燗酒”のラインナップが、クラクラするほど魅力的で、これを飲まずには…どうしてもどうしてもいられない。日本酒の醍醐味、燗酒の魅力を知っている人には、もぅ間違いなくお勧めの店だ。
■■蕎麦前
■■この日も同行者は、我が家の筆頭飲兵衛組頭。まっ、早い話が私の連れ合いである。この男、困った事に“三度の飯”よりも酒が好き。そして更に麺喰い(実績が証明するように、残念ながら面喰いではない)である。「もちもちした米粒よりも、つるつるっと麺がいい」と言い放つ、ソバリエの亭主として見上げた?人物だ。したがって、私がソバリエの活動と称して蕎麦屋に誘うと、二つ返事で同意する。というか、率先して機会を作るのである。
で、この日の筆頭飲兵衛組頭、出発時は珍しく乗り気でなかった。出先でいくつか雑事を片付けなければならない私の行動が、まどろっこしく退屈なようで、いつまでも苦虫を噛み潰して、更にそれを濃く煎じた苦いお茶をバケツ一杯も呑んだような顔をしていた。ところが、開店5〜6分前の小岩「無村居」のご主人が、「いらっしゃい。どうぞ」と言って、早めに暖簾を出して下さるのを目にするなり機嫌が好転し、更に品書きに目を通すと、満面の笑みに変わった。まったくもって、現金なものである。まぁ〜それほどまでに、飲兵衛の気持ちを和ませる物が、こちらの店にはあるという事だ。
ということで
まず、恵比寿ビール。
手書きのコースターが素敵で、添えられた蕪の漬物が、嬉しい。
すぐに、純米酒三種ののみくらべ(2合)\2000.-をお願いする。
結局この日は、これを2セット飲んでしまった。品書きから選んだ燗酒は、神亀辛口、ひこ孫、竹鶴純米吟醸、小笹屋竹鶴、日置桜、八割搗き強力の6種類。もぅ〜〜どれもこれも本当に素晴らしい!!しっかりとした旨み・豊かな力のある酒。日本酒万歳っ!燗酒万歳っ!である。
上の写真は、筆頭飲兵衛組頭が、「こりゃぁ〜堪らないっ!」と、相好を崩す 葱焼き¥300.-と、自由に選べる猪口の数々。
つぶ貝\500.-
私、貝類が大好物でして…。そうそう、そう言えばこちらの店の「牡蠣蕎麦」も、もぅその季節になるなぁ。待ち遠しい。
三種盛り
辛味噌 奈良漬 蕎麦味噌
天ぷら盛り合わせ¥1200.-(二人前)
野趣豊かな人参が、良かったぁ。
そして、柔らかな烏賊も。
■■蕎麦
■■
湯だく\1000.-
熱々の蕎麦湯に浮かぶ麺も、ちゃ〜んとしてヘタレていない。
おろし生姜の効いた熱々でとろみのあるつけ汁、これは、美味しくて とっても温まるぅ。
冬の定番になりそうだ!
初めて頂き、すっかり気に入ってしまった。
二色せいろ\1000.-
二八と十割がいただける。一枚目は、二八。薬味は、オーソドックスにねぎと山葵。
今は、北海道幌加内・田丸農場産「ほろみのり」、新蕎麦だぁ。
次に、十割
粗めに挽かれており、しっかりとした風味がある。美味しい。
蕎麦前も、そばがき せいろ かけそば かき揚げ 甘味と、お蕎麦をいろいろ頂ける「蕎三彩」¥2000.-などのセットメニューも、どれもこれもお得感満載で美味しい、気さくなご主人の魅力的もあって、度々通いたくなるお店である。
あぁ〜満足っ♪満足っ♪大満足っ♪
ごちそうさまでした。
■住所東京都江戸川区西小岩1-29-5■電話03-5889-2810■定休日月・火、ただし祝日は営業■営業時間11:30〜14:30/17:30〜21:00 ■アクセスJR総武線小岩駅 徒歩4分
※定休日の月・火曜日に限って、貸切で蕎麦パーティーを楽しめる。駅からも近いし、蕎麦屋deコンサートなど、楽しい企てのある方は、連絡してみることをお勧めする。気さくに相談に乗ってくれること請け合い。
江戸ソバリエ認定の店(Edo Sobalier Friendly Shop)
お店のHP へ
江戸ソバリエ認定の店リストページへ
2010年12月4日小岩「蕪村居」の記事へ
2010年12月12日小岩「蕪村居」の記事へ
■■蕎麦前
■■この日も同行者は、我が家の筆頭飲兵衛組頭。まっ、早い話が私の連れ合いである。この男、困った事に“三度の飯”よりも酒が好き。そして更に麺喰い(実績が証明するように、残念ながら面喰いではない)である。「もちもちした米粒よりも、つるつるっと麺がいい」と言い放つ、ソバリエの亭主として見上げた?人物だ。したがって、私がソバリエの活動と称して蕎麦屋に誘うと、二つ返事で同意する。というか、率先して機会を作るのである。
で、この日の筆頭飲兵衛組頭、出発時は珍しく乗り気でなかった。出先でいくつか雑事を片付けなければならない私の行動が、まどろっこしく退屈なようで、いつまでも苦虫を噛み潰して、更にそれを濃く煎じた苦いお茶をバケツ一杯も呑んだような顔をしていた。ところが、開店5〜6分前の小岩「無村居」のご主人が、「いらっしゃい。どうぞ」と言って、早めに暖簾を出して下さるのを目にするなり機嫌が好転し、更に品書きに目を通すと、満面の笑みに変わった。まったくもって、現金なものである。まぁ〜それほどまでに、飲兵衛の気持ちを和ませる物が、こちらの店にはあるという事だ。
ということで
まず、恵比寿ビール。
手書きのコースターが素敵で、添えられた蕪の漬物が、嬉しい。
すぐに、純米酒三種ののみくらべ(2合)\2000.-をお願いする。
結局この日は、これを2セット飲んでしまった。品書きから選んだ燗酒は、神亀辛口、ひこ孫、竹鶴純米吟醸、小笹屋竹鶴、日置桜、八割搗き強力の6種類。もぅ〜〜どれもこれも本当に素晴らしい!!しっかりとした旨み・豊かな力のある酒。日本酒万歳っ!燗酒万歳っ!である。
上の写真は、筆頭飲兵衛組頭が、「こりゃぁ〜堪らないっ!」と、相好を崩す 葱焼き¥300.-と、自由に選べる猪口の数々。
つぶ貝\500.-
私、貝類が大好物でして…。そうそう、そう言えばこちらの店の「牡蠣蕎麦」も、もぅその季節になるなぁ。待ち遠しい。
三種盛り
辛味噌 奈良漬 蕎麦味噌
天ぷら盛り合わせ¥1200.-(二人前)
野趣豊かな人参が、良かったぁ。
そして、柔らかな烏賊も。
■■蕎麦
■■
湯だく\1000.-
熱々の蕎麦湯に浮かぶ麺も、ちゃ〜んとしてヘタレていない。
おろし生姜の効いた熱々でとろみのあるつけ汁、これは、美味しくて とっても温まるぅ。
冬の定番になりそうだ!
初めて頂き、すっかり気に入ってしまった。
二色せいろ\1000.-
二八と十割がいただける。一枚目は、二八。薬味は、オーソドックスにねぎと山葵。
今は、北海道幌加内・田丸農場産「ほろみのり」、新蕎麦だぁ。
次に、十割
粗めに挽かれており、しっかりとした風味がある。美味しい。
蕎麦前も、そばがき せいろ かけそば かき揚げ 甘味と、お蕎麦をいろいろ頂ける「蕎三彩」¥2000.-などのセットメニューも、どれもこれもお得感満載で美味しい、気さくなご主人の魅力的もあって、度々通いたくなるお店である。
あぁ〜満足っ♪満足っ♪大満足っ♪
ごちそうさまでした。
■住所東京都江戸川区西小岩1-29-5■電話03-5889-2810■定休日月・火、ただし祝日は営業■営業時間11:30〜14:30/17:30〜21:00 ■アクセスJR総武線小岩駅 徒歩4分
※定休日の月・火曜日に限って、貸切で蕎麦パーティーを楽しめる。駅からも近いし、蕎麦屋deコンサートなど、楽しい企てのある方は、連絡してみることをお勧めする。気さくに相談に乗ってくれること請け合い。
江戸ソバリエ認定の店(Edo Sobalier Friendly Shop)
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2010年10月03日
葛飾柴又「そば切り 日曜庵」
気持ちの良い高い秋の空、乾いた空気、ぐんぐん遠くまで歩けそうな気分。よぉ〜〜しっ!ということで、運動靴を履いて出掛ける。勢い込んでお店に到着したが、例によって例の如く店の前には行列があった。待つ事10分、これじゃぁ〜“粗挽き”は…もぅ…だろうなぁ。
■■蕎麦前
■■ 取り合えず、ハートランドビール¥650.-。お通しに、ほんのり塩味の蕎麦チップス。
そして、鴨焼き(バルサミコ酢)¥1200.-をお願いした。
紫蘇の散った大根おろしが添えられ、肉厚でジューシーな鴨としし唐の辛味、香ばしく焼かれたねぎが、ビールにもよく合う。
なごり雪(ざる豆腐)¥650.-は、風味の濃いしっかりとした、それでいてクリーミーな滑らかさのある豆腐。
塩や、紫蘇(エゴマ)オイルと醤油で頂くようになっている。うぅ〜〜ん美味しい。こりゃぁ〜やっぱり日本酒が欲しくなる。すぐに、松の司(滋賀・特別本醸造)\900.-、米鶴かっぱ(山形・限定特別純米超辛口)\900.-、Jソガ・ソガペールエフィス(長野・純米吟醸生酒 美山錦)¥1350.-を、トントントンといただくことに。日本酒には、美味しいちりめん山椒と塩が添えられた。(結局?結果的に?沢山飲んだので?ちりめん山椒のおかわりも下さり・・・\(^o^)/美味し嬉し。)
にしん¥1100.-
■■蕎麦と薬味
■■
目当ての「粗挽き蕎麦」は、1日限定12食。この日は順番待ちノートに記帳された人数が、私の前でも12人をはるかに超していたので・・・、席に着くや否ややはり「粗挽き、終わりました」と花番さんの声を聞く。まぁ〜これは店に着いてすぐの様子からして、想定の範囲内。ところが続けて「今日は、お天気もよく、いろいろ早めに終わってしまったので…」という。このいろいろって、粗挽きと何?と何?だろう。これが、まだ午後1時になったばかりの言葉だっ!まったくもって凄いなぁ。
ということで、必然的に「せいろ」\950.-である。
蕎麦の甘みがしっかりと感じられる風味の濃い細打ち。とにかく素材の存在感が凄い。そして、アーティスティックなせいろの薬味。見ての通り、ねぎの切り方が普通と違う。
銀色に鈍く光る器は、「竹やぶ」の阿部孝雄さんの作品を思い出させ、勝手な想像として、竹やぶ→吟八亭→日曜庵の師弟図式が浮かぶ。
テーブルまで来てくださったご主人は、黒姫や水府などの契約農家で、手刈り天日干しした2.5トンの玄ソバを、真空低温(5度)保存する貯蔵場所を確保するために、嬉々としてご自宅の庭を潰した人だ。「玄ソバをきっちりと管理し、2年ほど熟成させることで、ソバ本来の甘みや旨みが前にでてくる」と説明してくださった。当然、この日いただいた「せいろ」も2008年度産のもので、この熟成貯蔵を経てから、やっと店の蕎麦として日のめを見たものだ。
■■蕎麦湯
■■ この蕎麦湯は、これで“一品”になりそうなくらいのもの。どろぉ〜っと、しっかり濃厚、つぶつぶ有りで、作り込んである。
忙しいだろうにそれでも、厨房からちょくちょく出てきて気軽に蕎麦談義してくださるご主人は、更に資料や写真を見せて下さった。パラパラとめくって見ただけでも、蕎麦関連の水の硬度について、石臼挽きとロール挽きのソバ粉の顕微鏡写真、自家製寒晒しソバの工程記録写真…とにかく、あれもこれも、どれもそれも、多義にわたるソバそのもの、あるいはソバ周辺の事柄が盛りこんであるファイルだった。やっぱり蕎麦に魅入られてのめり込むと、こういう事がどうしても知りたくなっちゃうんだなぁ。不肖笑門来福、まだほんの入り口ではありますが、同じ蕎麦に嵌る者として、その気持ち、よぉ〜〜く分かりますです。はい。
白状すれば、お店に伺う前は「営業日を増やしてくれればいいのにぃ〜」と失礼ながらほんの少し思っていた。この日「最初の7〜8年は、ひたすら食べ歩きましたよ」と仰ったご店主が、修業した店などの噂は聞いていたけれど、それらを経験し、更に自分で研鑽研究した結果、現在のお店の蕎麦の形があるんだなぁと納得した。各工程ともとても手間の掛る、言うなればスペシャル自家製粉に週の前半を費やすから、金・土・日が営業日というのも、致し方ない頷ける営業形態なのかもしれない。
お店の建物や設え、漆器具・細く繊細で蕎麦の感触を堪能できる箸や小皿にいたるまで、すべてご主人が吟味し、或いはデザインしたという。女性にも蕎麦を楽しんでもらえるよう意識して作った“というだけあって、シンプルでいながら、細部までお洒落で素敵だ。次回は、もっと朝早くの到着をめざし、女性同士のランチと洒落こむことにしよう〜っと。
■■おまけ・・・
■■ 帝釈天のざる蕎麦?
この日は、「日曜庵」すぐ横の柴又「帝釈天」へも、お参りに行ってきた。あっ、それそれ、あのぉ…ほれ、“矢切の〜ぉ♪渡ぁしぃ〜♪”も・・・ね。
こうして腹ごなしにいろいろ見て回った中に、面白いものを発見。それは、参道を抜け、二天門から帝釈天に入って正面の「帝釈堂」と「本堂」を結ぶ渡り廊下にあった彫刻だ。
なんでも帝釈天のみどころの一つは彫刻で、特に、帝釈堂内陣の外側にある十枚の胴羽目彫刻は、仏教経典の中でも最も有名な「法華経」の説話を彫刻したものらしく、関東大震災に遭って一旦は彫刻材を焼失したものの、大きな欅(1枚板の大きさは、ふすま大)をなんとか調達し、大正末期より昭和九年に至る十数年の歳月を費して完成したと解説されていた。のだが…。
解説とちがう場所のこれ↑が、何なのかの説明は、見つけられなかった。でも・・・面白くって・・・気になって・・・。私には、男性二人が向かい合って、燗酒&蕎麦をやりつつ話こんでいるように見えるぅ。もてなす側の男性のざるは既に空になり、竹の網目が彫り込んで・・・あるように見えた。客人方の蕎麦?は、まだたっぷりと残って、右側の女性は「さてもぅ、熱いお茶を入れたものかどうかなぁ」と、ニコニコしつつ話を聞いているようなぁ…。ということで、想像力の逞しい私が勝手に作話暴走しそうなので・・・この彫刻についてご存知の方、誰か教えてくださいませ。
■その他参考
柴又帝釈天・大客殿は(※1)東京都選定歴史的建造物(選定番号48)に指定される。題経寺諸堂内及び二天門の建築装飾彫刻は、葛飾区の登録文化財となっている。
東京都選定歴史的建造物とは、東京都景観条例に基づいて選定される建造物で、建築後50年を経過した歴史的価値を有する建造物(ただし文化財は除く)で、景観上重要なものを選定しており、建築当時の状態で保存されていること、外観が容易に確認できること、も基準になっている。神田「まつや」(選定番号41)や「かんだやぶそば」(選定番号39)など、須田町にある界隈の名店も選定されている。
ブログ内 神田「まつや」東京都選定歴史的建造物のくだり・・・記事へ
ブログ内 神田「やぶそば」東京都選定歴史的建造物のうだり…記事へ
■住所葛飾区柴又7-13-2 ■電話03-5668-0084 ■営業日金・土・日・祝 ■営業時間11:30〜18:00(売り切れ仕舞い) ■アクセス京成金町線「柴又駅」下車徒歩5分。北総公団線「新柴又駅」下車徒歩15分。JR小岩駅より京成バス(金町行)に乗り20分程、「柴又帝釈天」下車徒歩3分。
JR金町駅より京成バス(小岩行)に乗り10分程、「柴又帝釈天」下車2分。目標となる柴又帝釈天裏の駐車場から、道を渡った路地2軒目。
■■蕎麦前
■■ 取り合えず、ハートランドビール¥650.-。お通しに、ほんのり塩味の蕎麦チップス。
そして、鴨焼き(バルサミコ酢)¥1200.-をお願いした。
紫蘇の散った大根おろしが添えられ、肉厚でジューシーな鴨としし唐の辛味、香ばしく焼かれたねぎが、ビールにもよく合う。
なごり雪(ざる豆腐)¥650.-は、風味の濃いしっかりとした、それでいてクリーミーな滑らかさのある豆腐。
塩や、紫蘇(エゴマ)オイルと醤油で頂くようになっている。うぅ〜〜ん美味しい。こりゃぁ〜やっぱり日本酒が欲しくなる。すぐに、松の司(滋賀・特別本醸造)\900.-、米鶴かっぱ(山形・限定特別純米超辛口)\900.-、Jソガ・ソガペールエフィス(長野・純米吟醸生酒 美山錦)¥1350.-を、トントントンといただくことに。日本酒には、美味しいちりめん山椒と塩が添えられた。(結局?結果的に?沢山飲んだので?ちりめん山椒のおかわりも下さり・・・\(^o^)/美味し嬉し。)
にしん¥1100.-
■■蕎麦と薬味
■■
目当ての「粗挽き蕎麦」は、1日限定12食。この日は順番待ちノートに記帳された人数が、私の前でも12人をはるかに超していたので・・・、席に着くや否ややはり「粗挽き、終わりました」と花番さんの声を聞く。まぁ〜これは店に着いてすぐの様子からして、想定の範囲内。ところが続けて「今日は、お天気もよく、いろいろ早めに終わってしまったので…」という。このいろいろって、粗挽きと何?と何?だろう。これが、まだ午後1時になったばかりの言葉だっ!まったくもって凄いなぁ。
ということで、必然的に「せいろ」\950.-である。
蕎麦の甘みがしっかりと感じられる風味の濃い細打ち。とにかく素材の存在感が凄い。そして、アーティスティックなせいろの薬味。見ての通り、ねぎの切り方が普通と違う。
銀色に鈍く光る器は、「竹やぶ」の阿部孝雄さんの作品を思い出させ、勝手な想像として、竹やぶ→吟八亭→日曜庵の師弟図式が浮かぶ。
テーブルまで来てくださったご主人は、黒姫や水府などの契約農家で、手刈り天日干しした2.5トンの玄ソバを、真空低温(5度)保存する貯蔵場所を確保するために、嬉々としてご自宅の庭を潰した人だ。「玄ソバをきっちりと管理し、2年ほど熟成させることで、ソバ本来の甘みや旨みが前にでてくる」と説明してくださった。当然、この日いただいた「せいろ」も2008年度産のもので、この熟成貯蔵を経てから、やっと店の蕎麦として日のめを見たものだ。
■■蕎麦湯
■■ この蕎麦湯は、これで“一品”になりそうなくらいのもの。どろぉ〜っと、しっかり濃厚、つぶつぶ有りで、作り込んである。
忙しいだろうにそれでも、厨房からちょくちょく出てきて気軽に蕎麦談義してくださるご主人は、更に資料や写真を見せて下さった。パラパラとめくって見ただけでも、蕎麦関連の水の硬度について、石臼挽きとロール挽きのソバ粉の顕微鏡写真、自家製寒晒しソバの工程記録写真…とにかく、あれもこれも、どれもそれも、多義にわたるソバそのもの、あるいはソバ周辺の事柄が盛りこんであるファイルだった。やっぱり蕎麦に魅入られてのめり込むと、こういう事がどうしても知りたくなっちゃうんだなぁ。不肖笑門来福、まだほんの入り口ではありますが、同じ蕎麦に嵌る者として、その気持ち、よぉ〜〜く分かりますです。はい。
白状すれば、お店に伺う前は「営業日を増やしてくれればいいのにぃ〜」と失礼ながらほんの少し思っていた。この日「最初の7〜8年は、ひたすら食べ歩きましたよ」と仰ったご店主が、修業した店などの噂は聞いていたけれど、それらを経験し、更に自分で研鑽研究した結果、現在のお店の蕎麦の形があるんだなぁと納得した。各工程ともとても手間の掛る、言うなればスペシャル自家製粉に週の前半を費やすから、金・土・日が営業日というのも、致し方ない頷ける営業形態なのかもしれない。
お店の建物や設え、漆器具・細く繊細で蕎麦の感触を堪能できる箸や小皿にいたるまで、すべてご主人が吟味し、或いはデザインしたという。女性にも蕎麦を楽しんでもらえるよう意識して作った“というだけあって、シンプルでいながら、細部までお洒落で素敵だ。次回は、もっと朝早くの到着をめざし、女性同士のランチと洒落こむことにしよう〜っと。
■■おまけ・・・
■■ 帝釈天のざる蕎麦?
この日は、「日曜庵」すぐ横の柴又「帝釈天」へも、お参りに行ってきた。あっ、それそれ、あのぉ…ほれ、“矢切の〜ぉ♪渡ぁしぃ〜♪”も・・・ね。
こうして腹ごなしにいろいろ見て回った中に、面白いものを発見。それは、参道を抜け、二天門から帝釈天に入って正面の「帝釈堂」と「本堂」を結ぶ渡り廊下にあった彫刻だ。
なんでも帝釈天のみどころの一つは彫刻で、特に、帝釈堂内陣の外側にある十枚の胴羽目彫刻は、仏教経典の中でも最も有名な「法華経」の説話を彫刻したものらしく、関東大震災に遭って一旦は彫刻材を焼失したものの、大きな欅(1枚板の大きさは、ふすま大)をなんとか調達し、大正末期より昭和九年に至る十数年の歳月を費して完成したと解説されていた。のだが…。
解説とちがう場所のこれ↑が、何なのかの説明は、見つけられなかった。でも・・・面白くって・・・気になって・・・。私には、男性二人が向かい合って、燗酒&蕎麦をやりつつ話こんでいるように見えるぅ。もてなす側の男性のざるは既に空になり、竹の網目が彫り込んで・・・あるように見えた。客人方の蕎麦?は、まだたっぷりと残って、右側の女性は「さてもぅ、熱いお茶を入れたものかどうかなぁ」と、ニコニコしつつ話を聞いているようなぁ…。ということで、想像力の逞しい私が勝手に作話暴走しそうなので・・・この彫刻についてご存知の方、誰か教えてくださいませ。
■その他参考
柴又帝釈天・大客殿は(※1)東京都選定歴史的建造物(選定番号48)に指定される。題経寺諸堂内及び二天門の建築装飾彫刻は、葛飾区の登録文化財となっている。
東京都選定歴史的建造物とは、東京都景観条例に基づいて選定される建造物で、建築後50年を経過した歴史的価値を有する建造物(ただし文化財は除く)で、景観上重要なものを選定しており、建築当時の状態で保存されていること、外観が容易に確認できること、も基準になっている。神田「まつや」(選定番号41)や「かんだやぶそば」(選定番号39)など、須田町にある界隈の名店も選定されている。
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■住所葛飾区柴又7-13-2 ■電話03-5668-0084 ■営業日金・土・日・祝 ■営業時間11:30〜18:00(売り切れ仕舞い) ■アクセス京成金町線「柴又駅」下車徒歩5分。北総公団線「新柴又駅」下車徒歩15分。JR小岩駅より京成バス(金町行)に乗り20分程、「柴又帝釈天」下車徒歩3分。
JR金町駅より京成バス(小岩行)に乗り10分程、「柴又帝釈天」下車2分。目標となる柴又帝釈天裏の駐車場から、道を渡った路地2軒目。