2010年08月01日

小川町「田舎蕎 里山」


江戸ソバリエ講座第一期生の岡部正二さんのお店「里山」は、「そば」の幟がなければ通り過ぎてしまいそうな、のどかな田園風景の中にあります。 開店のきっかけは、サラリーマン時代に紹介された長坂「翁」の高橋名人の蕎麦との出会いでした。その美味しさに魅かれ数回通ううち、「美味しい蕎麦が食べたければ自分で打てばよい。」という結論に達します。彼が目指したのは、50年程前には日常生活の中にあった普通の蕎麦でした。



 彼の蕎麦修行に師は居ません。図書館で調べたり、蕎麦屋の店先で打つ職人の技を見よう見真似で覚えました。自分の納得のいく蕎麦を作るための創意工夫が店内の各所に見られます。


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    石臼を固定した机       日本酒の樽を使った捏ね鉢台   

 骨董屋を3年半探し歩いて手に入れた石臼に、木を削って取っ手を取り付け、学習机に穴をあけ石臼を固定し、引き出しの部分に板を渡して挽いた蕎麦粉を受けるボールを乗せます。蕎麦粉を捏ねるボールを支えるのは日本酒の樽です。 車庫を改装して建てた店内には、あちこちに蕎麦関連の雑誌が置かれ、新聞の切抜きなどの蕎麦情報が柱にピン止めされています。食卓は檜の木材を買って作った特注品、卓上の爪楊枝入れと七味唐辛子を置くお皿は奥様の手作りで温かみを添えています。


 蕎麦粉は会津玄そば、つなぎはうどん用の小麦粉農林
61号、打ち粉は常陸秋そばを使った二八蕎麦で、七味唐辛子は「信州善光寺大門町八幡屋磯五郎」。昆布、鰹節、椎茸で出汁を取り、かえしには三温糖と養命酒製造のみりん「家醸」
を使っています。8月の旧盆に、ミレーの「種をまく人」さながらに畑に会津玄そばをばら撒き、木の枝を引きずって土と混ぜるという農法で、収穫量によっては、自家栽培の蕎麦がお店に出るそうです。つけ汁の味は体調によって変化する自分の舌には頼らず、分量や時間をきっちり守って作ります。




 調理接客全て
1人でこなすため、120食限定で、対応しきれない人数のお客さんはお断りしています。常連客のほかは偶然通りがかったお客さんがほとんどなので20食でも残る日もあるそうですが、その味が認められ、2008年初版「埼玉のうまい蕎麦75」に載りました。また、今年8月下旬発売予定、幹書房「休日の蕎麦と温泉めぐり 福島・栃木・茨城・群馬・埼玉」にも掲載されるようです。


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 夏も冬もメニューは田舎もり
750円とざるそば800円(各150g)のみ。大盛りは200gで+200円です。蕎麦を盛る特注のざるは、「上げ底」ならぬ「下げ底」になっていて、見た目よりずっとボリュームがあります。しっかり打たれたお蕎麦は腰があって、かみ締めると蕎麦独特の香りがして、食後に満足感があります。「お蕎麦を食べたー。」と言う感じ。




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 週
2日の定休日は、渓流釣りと庭の草花の手入れをして過ごす岡部さん。「蕎麦は別腹」の「バラ」と「薔薇の花」の「バラ」をかけ、珍しい高級品種を含む100種類以上の薔薇の花を眺めながら蕎麦を味わえる店「そばら」を展開するのが彼の夢です。
 お店を出る時ふと見上げると、江戸ソバリエ認定証の拡大コピーが飾られていました。受講番号は気合で手にした003番。 



田舎蕎 里山(
2004731日開店)
住所:埼玉県比企郡小川町高谷2021
電話:0493741800
営業時間:11:3014:00 
定休日:火、水曜日

13席 喫煙可  駐車場 5
東武東上線 小川町駅より徒歩60

関越自動車道 嵐山小川I.Cより車で8


          文責 
晴れ女



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posted by 石臼の会会員 at 01:00| 東京 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | ⇒埼玉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする