2010年04月26日

花のイタリアそば紀行

 ある日、石臼の会蕎麦打ち会に、お蕎麦屋さんの看板娘 さくら姫さんがやってきた。なんでも漫画でそば紀行“を描いて出版したという。
読ませて頂いたところ、これがまぁ〜元気の良いこと、なんだか嬉しくなった。私までキャピキャピと若返った気分。初めてのイタリア観光を素直な目線で楽しんだことが全140ページ程に綴られており、そのうちにイタリアそば探検(17ページを割いている)“という章が作ってあった。


そもそも、この漫画を書いたのは、蕎麦屋の常連さんに「イタリアで二八の蕎麦を食べてきた」と聞き、それなら自分も!というのが動機らしい。イタリアそば探検(17ページを割いている)という章では、ソバ粉の料理 ポレンタ(西洋蕎麦掻き? トウモロコシの粉を使ったものが主流であるが、ソバの産地では、ソバ粉入りも一般的。) や、シャット(ヒキガエルの意味。ソバ粉の生地でチーズを包んで揚げるもの。ぷっくりとしたカエルのお腹に似ているので、この名前で呼ばれる。も登場し舌鼓を打つ様子が描かれている。ピッツォケッリ(このエッセイ漫画では、二八蕎麦として扱われていたソバ粉を使ったパスタ。多くは短冊状のショートパスタか、幅広平打ち麺の形状。日本でも高級スーパー、イタリア食材専門店などで乾麺で売っているところも。ソバ粉の比率は日本同様各種バリエーション有り。 日穀製粉のHPには、製麺レシピ有り。)には、持参の麺つゆを掛けて食べてみたりもしていた。


こんなに可愛らしい漫画を描く看板娘のいる蕎麦屋さん、いいなぁ。お父さんの打つこだわりの蕎麦をなにより自慢に思い、家族皆で盛りたてている様子も伝わってくる。商売繁盛間違いなしだなぁ…なぁんて余計なことを想ったりもして。  


つい先ごろ石臼の会(m)さんが受講し、ブログ記事となったソバ博士のそば講座2010『ソバの国、東欧から博士きたる』 4/17特別開催でも、これらの料理が取り上げられたこともあり、このブログ的にもちょうど時事ネタであったので、エッセイ漫画をご紹介してしまうことに。 
 本表紙.jpg





「花のイタリアそば紀行」
さくら姫 著
角川学芸出版
角川出版企画センター
1200円(税別)




  


ということで、
漫画を読んで楽しくなった私としても、補足になるのでは?と、老婆心ながら一言添えさせてもらえれば…
蕎麦というと日本人だけが食べているような錯覚を持っている人も多いのだけれど、穀物としてソバの生産量を見れば海外のほうが圧倒的に多く、日本はむしろ下位に位置している。
生産量トップクラスのロシアでは子供からお年寄りまで滋味深いソバ料理に親しんでいる地域も広いし、中国 ウクライナ フランス アメリカ ブラジル ポーランドなど北欧諸国 カナダ カザフスタン なども日本よりずっと生産量が多い。

そんな世界中のソバ産地では、当然ソバ料理がいろいろな形で発達した。だからソバ粥やガレットばかりでなく、麺で食べているところも結構あるのだ。製麺方法は、日本のように細く細く切る方法ではなく、心太のような押し出し式が圧倒的に主流ではあるのだけれど。たとえば押し出し式製麺方法の韓国冷麺にもソバ粉が含まれているものが多いことは、良く知られている。特に韓国江原道という地域では、ソバ粉の割合の多い冷麺を名物郷土料理と謳っているらしい。
 

江戸ソバリエの講師でもあるイナサワ商店の「社長が行く世界のそば紀行

を読むと、写真入りでフランス ベトナム 中国雲南省 ネパールの様子も分かる。

 ソバって、益々楽しい。
posted by 笑門来福 at 19:04| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(1) | ■「脳学」レポート&著作物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月19日

ソバ博士のそば講座2010
『ソバの国、東欧から博士きたる』 4/17特別開催

今回のソバ博士のそば講座講師はスロベニア国立リュベリヤーナ大学のイワン・クレフト教授。

クレフト教授は神戸学院大学の客員教授も兼ねており、同大の池田栄養学部教授の招聘により来日中のところを、日程を都合して臨時講座開催にこぎつけた次第。
変わった蕎麦料理を食べさせて下さるとの誘いにつられて参加してきました。


 当日の次第は
1.講義開始以前に「シャット」の生地調整

2.講義「ヨーロッパに於ける蕎麦の栽培と利用」
講義風景.jpg




3.「ポレンタ(Polenta」調理と試食

前夜神戸にて、粗挽きとうもろこし粉+蕎麦粉+チーズを練り、ひと晩寝かせておいたたものを、5mm位の薄切りにし、フライパンで焼き、クリームチーズなどを塗って食べる。
このような蕎麦料理があるのかと感心する。
ポレンタ.jpg




4.「ヂガンチ(ジガンツィ:Ziganci」調理と試食

蕎麦粉にゆっくり湯を加え蕎麦掻き状にする。塩少々とバターを適量加えるが、日本の蕎麦掻きのように一気に混ぜることは行わない。最後には小さな団子状になる。
洋風蕎麦掻きとはこんなものかしら、高崎の「おおの」さんというお店の「チーズ風味蕎麦掻き」の遠縁かなと思う。
ヂガンチ.jpg




5.「蕎麦粉入りパン」試食

主催者が京都にて入手した50%蕎麦粉を入れたパンや蕎麦粉の入った生地にクルミやプルーンを入れたパンを試食する。ボソボソとした食感はやむをえないのが、蕎麦と聞いただけで口にしてしまう。
クレフト教授はこの間、脇目も振らずせっせと料理をこしらえて下さる。
ソバ粉入りパン.jpg




6.「シャット(Ciatto」調理と試食

講義前に調整していた生地(蕎麦粉+小麦粉を水に溶きイーストを加えて発酵させたもの)に角切りした熟成チーズを入れ、チーズの各片に生地をまぶしたのち、油で揚げる。
小粒アメリカンドッグのチーズ入り。ただし生地の甘さ控えめというところ。
生地が余ったので、生地だけのシャットも登場する。こちらもあっさりしてまた良し。
シャット断面.jpg

以上で、珍しい蕎麦の料理を楽しく試食している間に時間はどんどん経過してしまった。
この間、クレフト教授は、蕎麦料理の調理人として楽しげに振るまってくださったのではあるが、本業は、タスマニアでのソバ栽培に関する技術指導、世界蕎麦シンポジウムの開催者、国際蕎麦学会誌「Phagopyrum」の初代編集長など国際的に多大な貢献をなさっている畏れ多い先生であるはずのだが。
調理風景.jpg
 
なお、ソバ博士のそば講座は今年も種まきの時期からスタートする予定で準備中のことです。
興味のある方はこちらをご覧下さい。(m)
 
posted by 石臼の会会員 at 22:09| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | ■「耳学」いろいろと薀蓄を | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月02日

“さ・し・す・せ・そ”で作る<江戸風>小鉢&おつまみレシピ

江戸風小鉢&おつまみレシピ.jpg  






著者:車  浮代(くるま うきよ)
出版社:PHP研究所
発売:417日発行予定
価格:1365








江戸ソバリエ・ルシック講師 福田先生の大塚「なべ家」が、新刊『<江戸風>小鉢&おつまみレシピ』時代小説家 車 浮代(くるま うきよ)著、に紹介された。
自食の時代といわれる今日、手作り料理 蕎麦前の準備などのご参考にいかがだろうか。

  料理でさ・し・す・せ・そと言えば、和食の調味料と、それを使った味付けの順番を、分かりやすく語呂合わせで表したものだということは、今さら言うまでもない。普通の大人なら、恐らく大方の方がご存じだろう。手近な食材でチャチャっと作れる簡単江戸風レシピ68品の紹介そのものは、この本の魅力の13。と、私は思った。それにも増して、時代小説家の著したレシピ本だけに、再現したり、アレンジしたレシピから、余計なものをそぎ落としたシンプルで粋な江戸っ子の価値観を控え目に紹介しているところが素敵だ。

 
「風流つまみ」に“揚げそば”が載っていたきりで、「〆の楽しみ」の頁にも蕎麦がでてこないのが、少し残念ではあったが、江戸の料理書「素人庖丁」「年中番菜録」「豆腐百珍」「万宝料理秘密箱」など、レシピの元ネタを明かしたり、“江戸ばなし”として解説が入っているあたり、江戸ソバリエ講座をチラリと覗いてきたような楽しさがあり、パラパラとめくって1時間ほどで一気に読んでしまった。江戸料理の美味しそうな写真に悩殺されて、給料日後だったならば大塚「なべ家」に即予約を入れていただろう……、ともあれ、美味しい日本酒片手に度々開きたい、肴になりそうな本である。

posted by 笑門来福 at 08:51| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ■「脳学」レポート&著作物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする